88 / 597
協力要請Ⅱ
しおりを挟む
「そのルールってのは互いにかけるんやろ? どんな感じなん?」
「そうだな。私は幸いかけられていないが、他の人の話をすると、アードルハイム皇帝に攻撃や、攻撃とみなされるアクションを起こせば、その人とその人の親族全員の命を奪うというルールだ」
「酷い」
アズサもネオンちゃんも思わず口を覆った。確かに酷い――。しかもユニークスキルやから、割と一方的にルールを決めることが出来るねんな。例えばアルティメットスキルなら、クロノスさんが使う悪魔の審判やったら、対象者の今までの罪を清算し、その罪が重ければ重いほど相手を苦しめるアルティメットスキル。場合によったら確殺できるという恐ろしいスキルやけど、相手の罪が軽すぎた場合、クロノスさんにダメージが入るという制限がある。このように殺せる確率が高いスキルほど、何かしらの制限がされとる。
せやけど、ユニークスキルの場合、その制限があれへん。ナリユキさんのユニークスキル何か、普通なら何かしらのリスクがあってもいいけど、恐らく割と何でもポンポンと出せるスキルや。せやから、アードルハイム皇帝のスキルは相当厄介なはず。リスク無くポンポンと人の命奪えるからな。
「それは歩くなって命令でも人の命奪えるんか?」
「極論そうだね。アードルハイム皇帝が課すルールは、相手にメリットを与えるルールなら何でも良い訳さ。実際にその歩くなってルールを設けられて、十分な食料と水を与えるというルールを課して、拷問を受けた人間がいたぐらいだ。この国では兵士にさえなれば、何でも許される。兵士が正義だから皆兵士になりたがるんだよ。それでこれほど大きな軍事力を誇っている」
「マジで酷い話やな」
「やっぱり許されへんな」
「やっぱり? 前から気になってたけどお前は何でそない、ここに来てからちょこちょこ殺気だっとるんや?」
すると、ラングドールは悲しそうな目で見つめながら、口元に手を当てて口を開く。
「もしかして知り合い、友人の誰かが帝国兵に捕らわれているとか?」
すると、アズサは涙腺が崩壊したようやった。涙がこれでもかというくらい頬を伝ってる。
「何とか……できへんのですか?」
やっと言えた――。そんな感じの思いやった。胸に手を当てながら、拳を握りしめてる。そしてアズサの拳からは血が出てた――。こんな辛そうな顔を見たのは一緒にパーティーを組んでて初めてな気がする。
「それは残念ながらできない。勿論、過去に奴隷扱いされている人々を解放しようと試みた人がいた。それは私が慕っていた人だ。確かに何人かは解放することができたんだ。でもその後捕まり、好きなだけ犯された後、女性の性器を裂かれた後、先端が尖った木で串刺しにされて惨殺された。串刺し刑というやつだ」
吐き気がする――。俺でもそんなんやから――。
アズサとネオンちゃんの顔は蒼白してた。そらそうや。アンデッドのノーディルスは普通の顔しとったけど、目だけは怒ってる――。
その行為はいわゆる見せしめや。こうなりたくなかったら逃げる真似するなよ? お前たちは俺達のコレクションなんやから――。そういう恐怖心の植え付け方や。やんちゃしていたときも、ここまで酷いことはしてないけど、他校でそんな事してる輩がおった。未だに忘れられへん――。友達があんな惨いことされるなんて――。
「申し訳ない。気分を悪くさせてしまったみたいだ。だから、単独では行動できないけど、皆で力を合わせて自由を手に入れる。それが反乱軍の副団長の私と、団長の願いだ。さっきは無理やり承諾してくれたけど、もう一度ゆっくり考えてくれていい――。もし、もう一度協力してくれると言ってくれるのであれば、ティラトンというお店に来てくれ。そこで私の仲間が待っている」
そう言うとラングドールは席を立ち「それじゃあ待ってるよ」と言うとこの部屋を出て行った。
取り残された俺達は、えげつないくらい重い空気になってた。まるで、クエスト初日でパーティーメンバーの誰かが重傷を負って反省会をしているような――。そんな何とも言われへん空間やった。
「噂通りというか真実だったんだな。反抗すれば酷い拷問が待っているのは」
「そうやな。でも俺は今回は退けへん」
「レン――。少し嫌な質問をするぞ?」
「なんや?」
ノーディルスは真っすぐ俺の目を見てゆっくりと口を開いた。
「それが例え偽善者と揶揄されてもか?」
ふう――。と深呼吸した。
「そうや」
その溜めた深呼吸を吐き出すかのように言うと、ノーディルスは「そうか」と笑ってくれた。それが何とも言えへんくらいに胸がいっぱいになった。
「何かありがとうな」
「よせよ。ハズイだろ」
「人型化解いたら、骸骨の顔したアンデッドやのに、めちゃくちゃ人間臭いやんけ」
「人型化している時間が長いと、どんどん人間味が増すんだ。人型化は個体値が高い魔物ができる芸当だからな。強ければ強いほど人間に染まっていく」
そう言っているノーディルスは再度微笑んでくれた。
「ええ魔物と会うてよかったわ」
それだけ言うて2人の様子が気になって後ろを振り向いた。
真っすぐ見つめてくる、アズサとネオンちゃんの瞳には、心なしか俺とノーディルス以上の闘志を感じ取ることが出来た。
「そうだな。私は幸いかけられていないが、他の人の話をすると、アードルハイム皇帝に攻撃や、攻撃とみなされるアクションを起こせば、その人とその人の親族全員の命を奪うというルールだ」
「酷い」
アズサもネオンちゃんも思わず口を覆った。確かに酷い――。しかもユニークスキルやから、割と一方的にルールを決めることが出来るねんな。例えばアルティメットスキルなら、クロノスさんが使う悪魔の審判やったら、対象者の今までの罪を清算し、その罪が重ければ重いほど相手を苦しめるアルティメットスキル。場合によったら確殺できるという恐ろしいスキルやけど、相手の罪が軽すぎた場合、クロノスさんにダメージが入るという制限がある。このように殺せる確率が高いスキルほど、何かしらの制限がされとる。
せやけど、ユニークスキルの場合、その制限があれへん。ナリユキさんのユニークスキル何か、普通なら何かしらのリスクがあってもいいけど、恐らく割と何でもポンポンと出せるスキルや。せやから、アードルハイム皇帝のスキルは相当厄介なはず。リスク無くポンポンと人の命奪えるからな。
「それは歩くなって命令でも人の命奪えるんか?」
「極論そうだね。アードルハイム皇帝が課すルールは、相手にメリットを与えるルールなら何でも良い訳さ。実際にその歩くなってルールを設けられて、十分な食料と水を与えるというルールを課して、拷問を受けた人間がいたぐらいだ。この国では兵士にさえなれば、何でも許される。兵士が正義だから皆兵士になりたがるんだよ。それでこれほど大きな軍事力を誇っている」
「マジで酷い話やな」
「やっぱり許されへんな」
「やっぱり? 前から気になってたけどお前は何でそない、ここに来てからちょこちょこ殺気だっとるんや?」
すると、ラングドールは悲しそうな目で見つめながら、口元に手を当てて口を開く。
「もしかして知り合い、友人の誰かが帝国兵に捕らわれているとか?」
すると、アズサは涙腺が崩壊したようやった。涙がこれでもかというくらい頬を伝ってる。
「何とか……できへんのですか?」
やっと言えた――。そんな感じの思いやった。胸に手を当てながら、拳を握りしめてる。そしてアズサの拳からは血が出てた――。こんな辛そうな顔を見たのは一緒にパーティーを組んでて初めてな気がする。
「それは残念ながらできない。勿論、過去に奴隷扱いされている人々を解放しようと試みた人がいた。それは私が慕っていた人だ。確かに何人かは解放することができたんだ。でもその後捕まり、好きなだけ犯された後、女性の性器を裂かれた後、先端が尖った木で串刺しにされて惨殺された。串刺し刑というやつだ」
吐き気がする――。俺でもそんなんやから――。
アズサとネオンちゃんの顔は蒼白してた。そらそうや。アンデッドのノーディルスは普通の顔しとったけど、目だけは怒ってる――。
その行為はいわゆる見せしめや。こうなりたくなかったら逃げる真似するなよ? お前たちは俺達のコレクションなんやから――。そういう恐怖心の植え付け方や。やんちゃしていたときも、ここまで酷いことはしてないけど、他校でそんな事してる輩がおった。未だに忘れられへん――。友達があんな惨いことされるなんて――。
「申し訳ない。気分を悪くさせてしまったみたいだ。だから、単独では行動できないけど、皆で力を合わせて自由を手に入れる。それが反乱軍の副団長の私と、団長の願いだ。さっきは無理やり承諾してくれたけど、もう一度ゆっくり考えてくれていい――。もし、もう一度協力してくれると言ってくれるのであれば、ティラトンというお店に来てくれ。そこで私の仲間が待っている」
そう言うとラングドールは席を立ち「それじゃあ待ってるよ」と言うとこの部屋を出て行った。
取り残された俺達は、えげつないくらい重い空気になってた。まるで、クエスト初日でパーティーメンバーの誰かが重傷を負って反省会をしているような――。そんな何とも言われへん空間やった。
「噂通りというか真実だったんだな。反抗すれば酷い拷問が待っているのは」
「そうやな。でも俺は今回は退けへん」
「レン――。少し嫌な質問をするぞ?」
「なんや?」
ノーディルスは真っすぐ俺の目を見てゆっくりと口を開いた。
「それが例え偽善者と揶揄されてもか?」
ふう――。と深呼吸した。
「そうや」
その溜めた深呼吸を吐き出すかのように言うと、ノーディルスは「そうか」と笑ってくれた。それが何とも言えへんくらいに胸がいっぱいになった。
「何かありがとうな」
「よせよ。ハズイだろ」
「人型化解いたら、骸骨の顔したアンデッドやのに、めちゃくちゃ人間臭いやんけ」
「人型化している時間が長いと、どんどん人間味が増すんだ。人型化は個体値が高い魔物ができる芸当だからな。強ければ強いほど人間に染まっていく」
そう言っているノーディルスは再度微笑んでくれた。
「ええ魔物と会うてよかったわ」
それだけ言うて2人の様子が気になって後ろを振り向いた。
真っすぐ見つめてくる、アズサとネオンちゃんの瞳には、心なしか俺とノーディルス以上の闘志を感じ取ることが出来た。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉
陣ノ内猫子
ファンタジー
神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。
お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。
チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO!
ーーーーーーーーー
これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。
ご都合主義、あるかもしれません。
一話一話が短いです。
週一回を目標に投稿したと思います。
面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。
誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。
感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる