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客人Ⅲ
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「凄いな。これだけ風車がある国は見たことが無い」
ここは俺の屋敷から少し離れた草原。そこにはこの国の電力を担う風車がある。まあ国造りで序盤に設置したものだけどな。
「ナリユキ君。こんなに風車を置いて何をしているんだい? そして奥にある小屋は何だい?」
「とりあえず行ってみましょうか。悪いノア。ちょっと待っててくれ」
ランベリオンが先導して小屋の方へ案内していた。後ろを振り返ると、ノアが「いい子だ」と言って 地風竜に鶏肉の餌をやっている。こう見るとこの国で一番怒らせたらヤバいのは、殺戮兵器になるノアだけど、魔物に一番優しいのもノアなんだよな。強制的に従える事もできるし、普通に懐かせることもできるって割と最強じゃない?
つか、カルベリアツリーのダンジョンには 地風竜なんていなかったから、どうやって飼育方法を知ったのか気になる。あとで訊こう。
ランベリオンが小屋をノックして「は~い」可愛らしい声が聞こえた。
「我だ。ご客人がいるので少し邪魔するぞ」
そう言って小屋の扉を開けて、ミクちゃんが一番最初に入った後、カーネル王、クロノスさん、ルイゼンバーンさん、アリスさんの順番で入って行った。
まあ、ベルゾーグは馬車に乗ったまま瞑想しているんだけどね。本当に自由だな。
「いらっしゃいませニャ!」
そう出迎えてくれたのは、ここの風車の管理を任している獣人のナーニャ。獣耳というか猫耳をぴょこぴょこさせているので歓迎モードらしい。俺とミクちゃんが挨拶をすると満面の笑顔で返してくれた。
小屋に入ると風車の制御装置が奥にあり、その前には3脚の椅子がある。他の2人は風車の様子を見に行っているのだと予測できる。
「ルイゼンバーン様じゃないですか。あれ? そちらの方々は?」
すると、ランベリオンはカーネル王にアイコンタクトを送った。
「私はカーネル王だよ。宜しくね」
「僕はクロノスと申します」
「え? 本物ですか!? お会いできて光栄です!」
そう言ってナーニャはヘドバンばりに頭を何度も下げて挨拶をしていた。
「ナーニャ。折角だから御三方に説明してやれ」
「は、はい!」
ナーニャは緊張しているのか、深呼吸をして俺が教えたことを語り始めた。
「ここは風車の管理施設です。あそこにある制御盤でマーズベル共和国の電気が上手く供給されているかを管理しております」
「それは凄い。新たな発明だね」
「これは転生前の私とミクちゃんが住んでいたところの技術ですよ。自然の私達のライフラインに変えているのです。全ての家にパネルがあったのはお気づきになられましたか?」
「確かにあったね」
「あれはソーラーパネルって言って太陽光発電をしているのです。言うなれば、太陽光をエネルギーにして、電気に変えています」
「それいいね。この世界じゃスキルで電気を供給しているから、自然のエネルギーを町のライフラインにするって発想はないんだよね。それうちでも出来るかな?」
「装置さえ造ることできればできると思いますよ」
「じゃあ今度うちの技術員を連れてくるよ」
「いいですよ。じゃんじゃん盗んで行ってください。別に減るもんじゃありませんからね」
そこからもしばらくナーニャの説明が続いた。3人に対して、制御盤に人通り見せ、説明を行っていた。3人とも真剣に説明を聞いて「成程」と言いながら自分なりの言葉に変えて理解を深めていた。
「何かこういうのいいですね。私達が暮らしていた生活が、この世界の人達の役に立てるかもと思うと」
「そうだな。あ、でも車とかスキルで出さないからな」
「分かっていますよ。それは自然の原因になるからですよね?」
「それに世界観ぶち壊し出しな。でも燃料見つけたら核兵器搭載した自動ドローンとか造るかも」
「いや、それも駄目ですよ。ナリユキさんはそんなことしなくても、隕石みたいな巨大な岩山落としたらそれで済むんですから、できるだけスキルで戦いましょう」
「分かっているよ」
「やるなら、小型のドローン爆弾ですね。ほら、チャンピオン・ウォーに折り紙の飛行機みたいな、小型爆弾を搭載したドローン出ていたじゃないですか。あんな感じのやつ」
「いや、割と物騒だな。けど、マカロフはそう言った小型ドローン持っているかもしれないな」
「あなどれませんね」
そう話をしていると、3人は満足気な笑みを浮かべていた。
「ナリユキ君! 風車をもっと見たい!」
そこから小屋を出て風車を見て回った。
「ここにある風車の数は100機です」
「この100機が先程説明を受けた通り、マーズベルの電力を担っているわけだね」
「まあ、ここでピクニックなんかもをしてもいいんですよね。観光客がこの辺りで自然を感じながら、くつろいでくれれば、私としては満足です」
「ワイバーンのお昼寝場所にも最適だな」
そう言ってランベリオンは笑っていたが、それはそれで客が寄ってこないから、今の内だけにしてほしい。まあ後々、ワイバーンが怖くないってのも知れたらいいんだけどな。
「でも、それほど重要な役割を担っているのでしたら、魔物に襲われたら大変でしょう」
「確かにな」
クロノスの疑問にルイゼンバーンさんが頷いていたが、ミクちゃんがそれ聞いて得意気な笑みを浮かべている。
「それは私が結界を張っているから大丈夫ですよ。ここの風車を設置している高原には結界を張っているので、普通の魔物は侵入できません」
「成程。警備はきちんとしている訳か」
「そうですね」
「じゃあ、次行きましょうか。マーズベル湖に案内しますよ」
そう言って案内するのはマーズベル湖だった。俺もここから事態が進展するとは正直思わなかった。
ここは俺の屋敷から少し離れた草原。そこにはこの国の電力を担う風車がある。まあ国造りで序盤に設置したものだけどな。
「ナリユキ君。こんなに風車を置いて何をしているんだい? そして奥にある小屋は何だい?」
「とりあえず行ってみましょうか。悪いノア。ちょっと待っててくれ」
ランベリオンが先導して小屋の方へ案内していた。後ろを振り返ると、ノアが「いい子だ」と言って 地風竜に鶏肉の餌をやっている。こう見るとこの国で一番怒らせたらヤバいのは、殺戮兵器になるノアだけど、魔物に一番優しいのもノアなんだよな。強制的に従える事もできるし、普通に懐かせることもできるって割と最強じゃない?
つか、カルベリアツリーのダンジョンには 地風竜なんていなかったから、どうやって飼育方法を知ったのか気になる。あとで訊こう。
ランベリオンが小屋をノックして「は~い」可愛らしい声が聞こえた。
「我だ。ご客人がいるので少し邪魔するぞ」
そう言って小屋の扉を開けて、ミクちゃんが一番最初に入った後、カーネル王、クロノスさん、ルイゼンバーンさん、アリスさんの順番で入って行った。
まあ、ベルゾーグは馬車に乗ったまま瞑想しているんだけどね。本当に自由だな。
「いらっしゃいませニャ!」
そう出迎えてくれたのは、ここの風車の管理を任している獣人のナーニャ。獣耳というか猫耳をぴょこぴょこさせているので歓迎モードらしい。俺とミクちゃんが挨拶をすると満面の笑顔で返してくれた。
小屋に入ると風車の制御装置が奥にあり、その前には3脚の椅子がある。他の2人は風車の様子を見に行っているのだと予測できる。
「ルイゼンバーン様じゃないですか。あれ? そちらの方々は?」
すると、ランベリオンはカーネル王にアイコンタクトを送った。
「私はカーネル王だよ。宜しくね」
「僕はクロノスと申します」
「え? 本物ですか!? お会いできて光栄です!」
そう言ってナーニャはヘドバンばりに頭を何度も下げて挨拶をしていた。
「ナーニャ。折角だから御三方に説明してやれ」
「は、はい!」
ナーニャは緊張しているのか、深呼吸をして俺が教えたことを語り始めた。
「ここは風車の管理施設です。あそこにある制御盤でマーズベル共和国の電気が上手く供給されているかを管理しております」
「それは凄い。新たな発明だね」
「これは転生前の私とミクちゃんが住んでいたところの技術ですよ。自然の私達のライフラインに変えているのです。全ての家にパネルがあったのはお気づきになられましたか?」
「確かにあったね」
「あれはソーラーパネルって言って太陽光発電をしているのです。言うなれば、太陽光をエネルギーにして、電気に変えています」
「それいいね。この世界じゃスキルで電気を供給しているから、自然のエネルギーを町のライフラインにするって発想はないんだよね。それうちでも出来るかな?」
「装置さえ造ることできればできると思いますよ」
「じゃあ今度うちの技術員を連れてくるよ」
「いいですよ。じゃんじゃん盗んで行ってください。別に減るもんじゃありませんからね」
そこからもしばらくナーニャの説明が続いた。3人に対して、制御盤に人通り見せ、説明を行っていた。3人とも真剣に説明を聞いて「成程」と言いながら自分なりの言葉に変えて理解を深めていた。
「何かこういうのいいですね。私達が暮らしていた生活が、この世界の人達の役に立てるかもと思うと」
「そうだな。あ、でも車とかスキルで出さないからな」
「分かっていますよ。それは自然の原因になるからですよね?」
「それに世界観ぶち壊し出しな。でも燃料見つけたら核兵器搭載した自動ドローンとか造るかも」
「いや、それも駄目ですよ。ナリユキさんはそんなことしなくても、隕石みたいな巨大な岩山落としたらそれで済むんですから、できるだけスキルで戦いましょう」
「分かっているよ」
「やるなら、小型のドローン爆弾ですね。ほら、チャンピオン・ウォーに折り紙の飛行機みたいな、小型爆弾を搭載したドローン出ていたじゃないですか。あんな感じのやつ」
「いや、割と物騒だな。けど、マカロフはそう言った小型ドローン持っているかもしれないな」
「あなどれませんね」
そう話をしていると、3人は満足気な笑みを浮かべていた。
「ナリユキ君! 風車をもっと見たい!」
そこから小屋を出て風車を見て回った。
「ここにある風車の数は100機です」
「この100機が先程説明を受けた通り、マーズベルの電力を担っているわけだね」
「まあ、ここでピクニックなんかもをしてもいいんですよね。観光客がこの辺りで自然を感じながら、くつろいでくれれば、私としては満足です」
「ワイバーンのお昼寝場所にも最適だな」
そう言ってランベリオンは笑っていたが、それはそれで客が寄ってこないから、今の内だけにしてほしい。まあ後々、ワイバーンが怖くないってのも知れたらいいんだけどな。
「でも、それほど重要な役割を担っているのでしたら、魔物に襲われたら大変でしょう」
「確かにな」
クロノスの疑問にルイゼンバーンさんが頷いていたが、ミクちゃんがそれ聞いて得意気な笑みを浮かべている。
「それは私が結界を張っているから大丈夫ですよ。ここの風車を設置している高原には結界を張っているので、普通の魔物は侵入できません」
「成程。警備はきちんとしている訳か」
「そうですね」
「じゃあ、次行きましょうか。マーズベル湖に案内しますよ」
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