【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
66 / 597

客人Ⅰ

しおりを挟む
 待っているとベリトがカーネル王、ルイゼンバーンさん、クロノスさんが見えた。カーネル王は俺達の存在に気付くと、いつものひょうひょうとした感じで「やあ」と手を振っていた。ワイバーンに乗ってきたそうだから、流石にスーツでは無いらしい。アイスグレーのそこそこ派手な鎧を着ていて、相変わらずキラキラ王様感が出ている。いや、本当にキャラ濃いな。存在だけで面白いんだけど。

「ナリユキ様。私はこの辺で持ち場に戻ります」

「ありがとうな」

 俺はそう告げると、ベリトは持ち場に戻った。そして――。

「マーズベル共和国にようこそいらっしゃいました」

 数十人の従者サーヴァントがそう出迎えると、カーネル王も、ルイゼンバーンさんも、クロノスさんも「おお――」と声を漏らしていた。そしてその後カーネル王は笑顔に戻った。

「もう来ちゃったよ」

「お忙しいところ申し訳ございません」

 そうクロノスさんが謝ってくれたけど本当に早いな。まあ、わざわざ交渉に行かずに済んだから助かるんだけど。

「建国して間もないのに随分と発展しているね。それにあの大きな建造物は何だい?」

「あれは時計台ですよ」

「成程。あれは嫌でも目が付くね。観光スポットにして反応が良ければ、入場料を取るって算段だね?」

「バレていましたか。まあ今のところはただの時計台ですよ。あとはマーズベル森林を見渡す高台ですね」

「成程。で、ランベリオンはいないのかい?」

「朝稽古していたのでシャワーを浴びていますよ」

「シャワー?」

「水浴びのことですよ」

 ミクちゃんがすかさずフォローを入れてくれた。

「立ち話も何なんで中でゆっくりお話ししましょう。私の屋敷でくつろいで行って下さい」

「お気遣いありがとうございます」

 従者サーヴァントが先頭に立ち、会議室へと足を運んだ。

「どうぞかけて下さい」

 従者サーヴァントの案内で奥から順にかけていくと、すぐにコーヒーが人数分出された。俺、ミクちゃん、アリスさん、カーネル王、ルイゼンバーンさん、クロノスさんの分だ。そして、ちょうどいつも服に着替えてもらったランベリオンとベルゾーグが会議室に到着した。しかし、ベルゾーグに関しては、いつもの服だと上半身裸になるので、黒に白のストライプが入った少しカジュアルな着物を着てもらっていた。

「お、来たか。ベルゾーグそれ似合っているな」

 そう言うと、ベルゾーグはミクちゃんとアリスさんに目線を向けると、それに気付いた2人うんうんと頷いていた。ベルゾーグでも女性の目は気にするんだと思い、ちょっと安心した。ベルゾーグも満足しているのか、ほんの少し鼻を伸ばしているし平和で何よりだ。まあ顔がやたら整っているランベリオンとは違い、顔が濃いイケメンだしなコイツ。ぶっちゃけランベリオンがV系のボーカルで、ベルゾーグがやんちゃっ気あるジャニーズみたいな感じだ。そら着物も似合うわ。

 全員席に着くと、まず始めに口を開いたのはルイゼンバーンさんだった。

「ナリユキ殿。また、ヤバい魔物を仲間にしているな。ベルゾーグ殿といいアリス殿といい」

「まあ、今まで人間がマーズベルを国にできなかったのってこういう事だったのかと思いました」

「仮に魔物が国を造ったらそれはそれで大事だからな」

「まあ、ナリユキ君とミクさんがこっちの世界に転生してくれて本当に良かったよ。まあ、正直こんなにヤバい戦力が揃っていると、敵になったときが恐ろしすぎて喧嘩なんか売れないしね」

「別にカーネル王国がうちに手を出さない限りで大丈夫ですよ」

 と、俺が話をしていると、俺とカーネル王以外は異様な空気に包まれていた。あ、これ俺が言うと恐喝みたいになるのか。まあ王はこんな性格だからまず気にも留めていないだろうけど。

「あ、私の発言で空気を重くしちゃったね。失敬失敬」

 「あはは」ってめちゃくちゃ笑っているけど、ルイゼンバーンさんとクロノスさんは未だに凄い顔をしていた。この人の付き人は苦労するな。絶対。

「で、ナリユキ様。ここは都市でいいんですよね? 何というお名前にしたのですか?」

「ここはマーズベル共和国のリリアンという中心地です」

「それは何か意味が込められているのかな?」

「ええ。まあこっちの世界の前の世界で使われていた文字を使って組み合わせました。こう書くんです」

 俺はLife人生、 Rich豊か、 Plan計画と横に書き、その3つの文字の下に矢印をつけてLiRianリリアンと書いた。

「英語をもじったんだね」

 知ってるのかよ。いや、なんで知っているんだよ。

「ナリユキ君もミクさんも何で知っている? って思ったでしょ? なあに、英語の話はランベリオンから聞いていたから知っているのさ。まあ、ぶっちゃけた話、転生者が本を出していたりするからそれを見たりもしているんだけどね。いや、非常にいい言葉じゃないか! 素晴らしい名前だよ」

「僕も読書は好きなので、こういう知性がある言葉遊びみたいな名前の付け方好きですね」

「若いが情熱に溢れていて私も好きだな」

 なんだ。こいつ等めちゃくちゃ褒めてくるな。読書好き3人もいたのかよ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...