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新生活Ⅲ
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とりあえず国管理チームは皆必死に働いていた。俺からすればもうちょっと手を抜いてもいいが、彼等からすれば俺の仕事のスピードが早いって感じているから、今みたいに必死になるんだろうな。
次は国防衛チームだ。俺の屋敷を中心として、マーズベル共和国の国境の東西南北に結界を張る 森妖精を配置している。そしてリリアンの門にはベリトを門番として配置している。今は誰も来ないだろうし、こんなことをする必要はないんだけどな。
「おはよう」
「おはようございますナリユキ様」
ベリトはそう言って膝をついて朝から暑苦しい挨拶を見せてきた。
「そんなかしこまらなくてもいいのに」
「いえ。これは私がしたくてしているだけなので」
「そうか。それより朝からエライ張り切っているな。始業開始は9時からでいいって言っていたのに」
「王国になった以上、警備は怠れません。彼女達も自らが志願して、職に務めているのですから」
「洗脳していないよな?」
「そのような姑息な事は行っておりません」
「成程ね。まあ何かあったら連絡くれよ」
「は! 一つだけご報告があります。マーズベル山脈の方角から3名、ワイバーンに乗ってこちらに向かって来ております。もう間もなく到着すると連絡が入ってきております」
「エライ派手な登場だな」
「恐らくカーネル王、クロノス、ルイゼンバーンと考えられます。乗ってきているワイバーンは、何やらランベリオンの部下のワイバーンのようなので問題は無いでしょう」
「そもそもあのお気楽王と、紳士なクロノスと、やたら情に熱いオッサンが裏切るとは思わんだろ。あとどれくらいで着くんだ?」
「10分ほどかと」
「割と速いな」
「ミクちゃん、屋敷に入れる準備だ」
「ですね!」
《レイナ、カーネル王が来るから今から準備しておけ》
《かしこまりましたご主人様。出迎える準備で宜しかったですね?》
《ああ。あとは美味しいコーヒーを用意しておいてくれ》
《かしこまりました。準備しておきます》
「やっぱり念話って便利ですね」
「そうだろ? 覚えたらよくね?」
「それはまたカルベリアツリーに登らないといけないですね。今の私じゃまだまだ無理ですし」
「ノアを倒す方法も無いもんな」
「そう考えるとカルベリアツリーの魔物ってめちゃくちゃ強いですよね」
「俺達がZ級の人間になるまでは無理だろうな。そもそもS級の幅が広すぎるんだよな」
「それは思いました。私、ナリユキさん、ノア君はS級の最上位クラスだと勝手に思っていますが」
「まあ妥当だな」
そうこう話をしているうちに屋敷に戻って来た。屋敷の前には何故かアリスさんが白いワンピースを着てお出迎えしてくれた。
「カーネル王が来ると伺いましたのでおめかししてみました。どうですか?」
照れくさそうに笑みを浮かべるアリスさんは、髪はツインテールでは無く下ろしていた。いつもと違うギャップってやつだ。全国のオタクの皆様。アリスたんって呼び方が実に相応しい何とも可愛い美少女が出てきましたよ。
そして俺はふと横を見ると、案の定ミクちゃんは目をキラキラと輝かせていた。可愛いもの目が無いミクちゃんには、男だろうと、女だろうと、魔物だろうと関係ない。
ミクちゃんはアリスさんの方に走って物凄い勢いでハグをした。アリスさんの身長は150cmくらいなので、ミクちゃんが当然上から抱きしめるような形になる。
美少女と美少女のハグ。これはこれで趣があるな。
「ナリユキさんどうですか?」
アリスさんは少しもじもじしながら聞いてきた。
「物凄く似合っているよ」
そう言うと、どこか不安気だった表情が一気に明るくなった。
「ランベリオン、ベルゾーグ汗を流してこい。カーネル王が来る」
「む? そうなのか?」
「カーネル王ってお主の友人だろ?」
「我は友人と思っているが、あっちは王だしな」
「お前は対等に喋っているから友人だろ? いいからさっさとシャワー浴びて、いつもの戦闘服に着替えてこい。あと、ベルゾーグは着物な」
「了解」
竹刀で剣術の朝稽古をしていた2人は急いで屋敷の中へ入って行った。あいつ等割と仲いいんだな。
「ナリユキさん。今思ったんですけど、ミドルネームかラストネームにマーズベルって入れるのどうですか? ランベリオンさんなら、ランベリオン・マーズベル・カーネルって名前にするとか」
「それいいな。アリス・マーズベルとかだな。でも俺達だと、ナリユキ・マーズベル・タテワキだし」
「ミク・マーズベル・アサギになりますね」
「何かダサいよな」
「私達以外に付けますか」
「勿論、合意の上でな」
そう言うと、アリスさんは首を激しく縦に振っていた。そして――。
「それ物凄くいいです! 何か一つになれた気がして深い絆が結ばれたみたいです!」
と、食い気味にアリスさんは大興奮している。
《ナリユキ様。カーネル王様、クロノス様、アドルフ・ズラタン・ルイゼンバーン様がリリアンにご到着されました》
《有難う。ベリトにこっちまで案内させろ》
《かしこまりました》
そう言うと、防衛している森妖精との通信は途絶えた。
「もう来るんですか?」
「ベリトが案内してこっちに向かってくる。思いっきり楽しんで帰ってもらおうぜ? 何なら今日も宴だな」
「それはそれは最高ですね」
こうして俺は、ミクちゃん、アリスちゃん、メイド服を着た従者達と共にマーズベル共和国の初来訪者を待った。
次は国防衛チームだ。俺の屋敷を中心として、マーズベル共和国の国境の東西南北に結界を張る 森妖精を配置している。そしてリリアンの門にはベリトを門番として配置している。今は誰も来ないだろうし、こんなことをする必要はないんだけどな。
「おはよう」
「おはようございますナリユキ様」
ベリトはそう言って膝をついて朝から暑苦しい挨拶を見せてきた。
「そんなかしこまらなくてもいいのに」
「いえ。これは私がしたくてしているだけなので」
「そうか。それより朝からエライ張り切っているな。始業開始は9時からでいいって言っていたのに」
「王国になった以上、警備は怠れません。彼女達も自らが志願して、職に務めているのですから」
「洗脳していないよな?」
「そのような姑息な事は行っておりません」
「成程ね。まあ何かあったら連絡くれよ」
「は! 一つだけご報告があります。マーズベル山脈の方角から3名、ワイバーンに乗ってこちらに向かって来ております。もう間もなく到着すると連絡が入ってきております」
「エライ派手な登場だな」
「恐らくカーネル王、クロノス、ルイゼンバーンと考えられます。乗ってきているワイバーンは、何やらランベリオンの部下のワイバーンのようなので問題は無いでしょう」
「そもそもあのお気楽王と、紳士なクロノスと、やたら情に熱いオッサンが裏切るとは思わんだろ。あとどれくらいで着くんだ?」
「10分ほどかと」
「割と速いな」
「ミクちゃん、屋敷に入れる準備だ」
「ですね!」
《レイナ、カーネル王が来るから今から準備しておけ》
《かしこまりましたご主人様。出迎える準備で宜しかったですね?》
《ああ。あとは美味しいコーヒーを用意しておいてくれ》
《かしこまりました。準備しておきます》
「やっぱり念話って便利ですね」
「そうだろ? 覚えたらよくね?」
「それはまたカルベリアツリーに登らないといけないですね。今の私じゃまだまだ無理ですし」
「ノアを倒す方法も無いもんな」
「そう考えるとカルベリアツリーの魔物ってめちゃくちゃ強いですよね」
「俺達がZ級の人間になるまでは無理だろうな。そもそもS級の幅が広すぎるんだよな」
「それは思いました。私、ナリユキさん、ノア君はS級の最上位クラスだと勝手に思っていますが」
「まあ妥当だな」
そうこう話をしているうちに屋敷に戻って来た。屋敷の前には何故かアリスさんが白いワンピースを着てお出迎えしてくれた。
「カーネル王が来ると伺いましたのでおめかししてみました。どうですか?」
照れくさそうに笑みを浮かべるアリスさんは、髪はツインテールでは無く下ろしていた。いつもと違うギャップってやつだ。全国のオタクの皆様。アリスたんって呼び方が実に相応しい何とも可愛い美少女が出てきましたよ。
そして俺はふと横を見ると、案の定ミクちゃんは目をキラキラと輝かせていた。可愛いもの目が無いミクちゃんには、男だろうと、女だろうと、魔物だろうと関係ない。
ミクちゃんはアリスさんの方に走って物凄い勢いでハグをした。アリスさんの身長は150cmくらいなので、ミクちゃんが当然上から抱きしめるような形になる。
美少女と美少女のハグ。これはこれで趣があるな。
「ナリユキさんどうですか?」
アリスさんは少しもじもじしながら聞いてきた。
「物凄く似合っているよ」
そう言うと、どこか不安気だった表情が一気に明るくなった。
「ランベリオン、ベルゾーグ汗を流してこい。カーネル王が来る」
「む? そうなのか?」
「カーネル王ってお主の友人だろ?」
「我は友人と思っているが、あっちは王だしな」
「お前は対等に喋っているから友人だろ? いいからさっさとシャワー浴びて、いつもの戦闘服に着替えてこい。あと、ベルゾーグは着物な」
「了解」
竹刀で剣術の朝稽古をしていた2人は急いで屋敷の中へ入って行った。あいつ等割と仲いいんだな。
「ナリユキさん。今思ったんですけど、ミドルネームかラストネームにマーズベルって入れるのどうですか? ランベリオンさんなら、ランベリオン・マーズベル・カーネルって名前にするとか」
「それいいな。アリス・マーズベルとかだな。でも俺達だと、ナリユキ・マーズベル・タテワキだし」
「ミク・マーズベル・アサギになりますね」
「何かダサいよな」
「私達以外に付けますか」
「勿論、合意の上でな」
そう言うと、アリスさんは首を激しく縦に振っていた。そして――。
「それ物凄くいいです! 何か一つになれた気がして深い絆が結ばれたみたいです!」
と、食い気味にアリスさんは大興奮している。
《ナリユキ様。カーネル王様、クロノス様、アドルフ・ズラタン・ルイゼンバーン様がリリアンにご到着されました》
《有難う。ベリトにこっちまで案内させろ》
《かしこまりました》
そう言うと、防衛している森妖精との通信は途絶えた。
「もう来るんですか?」
「ベリトが案内してこっちに向かってくる。思いっきり楽しんで帰ってもらおうぜ? 何なら今日も宴だな」
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