【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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新生活Ⅰ

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「ん――」

 目覚めると身体が重い。そらそうだミクちゃんが身体にくっついているから仕方ない。それにしても目覚めがいい。確かにお酒も飲んだし、久々に寝る前のココアも飲んだ。けれども一番の原因はミクちゃんの添い寝だろう。身体の体温の相性がいいのか物凄く深く眠れた気がする。SNSでたまに流れてくる惚気はこういう事だったのか。と思い知らされた。

 つい頭を撫でてしまう。そういえば懐いていた時の妹もこんな感じだったな。

「可愛いな」

 ――。つい口に出してしまった。思わずミクちゃんの方に顔を戻すが特に反応はしていないように思えた。聞こえていたら恥ずかしいからな。

 ミクちゃんをどかせた後、窓のカーテンを開けて日差しを浴び、その後は軽いストレッチをして身体を伸ばす。その後、洗面所で顔を洗う。これがいつもの俺のモーニングルーティーンだ。

「ナリユキさん、おはようございます――」

 そう声がしたので後ろを振り返ると、目を擦りながら眠そうに起きてこっちに向かって歩いてくるミクちゃんがいた。日差しを浴びたから起きたのだろう。まだ少し眠そうではある。

 ミクちゃんも顔を洗ったかと思うと。

「ナリユキさんパワーが必要なのでぎゅ~してください」

 起きて立ったと思えばそんな要求してくるミクちゃん。朝に要求されるのは初めてである。つかそもそもこんな要求酔っぱらっているときしかなかったぞ?

「分かったよ」

 内心、恥ずかしいが済ませたフリをして要求通りのハグを行った。やはりノーブラ状態のミクちゃんのおっぱいの感触は半端じゃない。物凄く柔らかい。

「普通に要求しましたけど、嫌なら拒否していいですからね?」

 完全に目が覚めたのか嬉しそうな表情を浮かべた後、申し訳なそうな顔をしていた。

「いや別に――むしろありがとうございますって感じだから」

 何がとは言えないから思わず顔を反らすと、ミクちゃんはニヤっと笑ってもう一度抱き着いて来た。

 何だろうこれ。同棲初日のカップルみたいじゃない?

「全国の非リアを敵に回しそうだからやめようぜ」

 そうやって半ばじゃれていると、コンコンとノックをする音がした。

「ご主人様。朝食のお時間です」

 一瞬忘れかけていた。そういえば、もう普通に従者サーヴァント達に朝の7時10分に声をかけるように依頼していた。もし、この時点で返事が無ければ部屋に入って、寝坊している俺を起こしてもいい言っている。

「分かった。あとで行くよ」

「かしこまりました。お待ちしております」

 するとミクちゃんがニヤニヤしているので。

「どうしたんだ?」

「何か、ナリユキさん本当に王様になっちゃいましたね」

「本当だよな。さあ行こうぜ」

「そうですね! あ、お昼ごはんは私が作りますので」

「ありがとう」

 すると、俺はミクちゃんに手を引っ張られこの部屋出た。前と変わらず平和だな。強いていうなら、ミクちゃんが俺に対して好意丸出しになったことくらいか。

 そこからしばらく歩いて、俺とミクちゃんの二人だけで席に着き、席に着いたことを従者サーヴァントが確認すると料理が運ばれてきた。

 何気に憧れていたんだ。異世界で食べる、異世界人が作る日本の朝食。白米、人参とワカメと大根の味噌汁、だし巻き、納豆、鮭の塩焼きが出てきた。まあ、俺は白米を食べないから無いんだけどね。

「わあ! 凄い! 卵焼きとみそ汁と納豆があります!」

 ミクちゃんはそう興奮しているが、料理を運んできた従者サーヴァントの、料理長を務めさせている、黒髪で20代後半の女性、レイナは不安気な表情を浮かべていた。

「どうした?」

「このようなお料理を作ったのは初めてだったので、ご主人様とミク様のお口に合うかどうか不安でして」

「味見はしたんだろ?」

「勿論です」

 そんなレイナの不安とは関係なしに、ミクちゃんは「いただきます」と両手を合わせてから、味噌汁を口に運んだ。

「美味しいですね! 昆布と鰹のお出汁はやっぱり最高ですね」

 と、めちゃくちゃ興奮していた。まずはミクちゃんと言った感じ、レイナは少しだけほっとしていた。となるとだし巻きを頂くか。

 こっちも驚く事に出汁がしっかり利いていて美味しかった。俺も一から出汁をとってだし巻きを作ったことがあるが、それよりかは確実に美味しい。

「うん。文句なしに美味しいよ。ただ、日々どうなったら美味しくなるか? だけの工夫は怠らないように。正直それは俺には分からないしな」

「かしこまりました。何かご用があれば念話でお呼び下さい。すぐに駆け付けます」

 そう言ってレイナはこの部屋から出て行った。やっぱり味が合うかどうか心配だったらしい。

「そういえばノア君は一緒に食べないんですね」

「何か、魔物小屋でのんびりするって言ってたからな」

「ノア君が獣臭くなる――」

「何の心配してるんだよ。ノアの部屋は俺の屋敷にあるんだし、別に用があればすぐにこっちに戻ってきて温泉なり入るだろ」

「それはそうですね。まあ念のために見ておかないと。それはそうとナリユキさん昨日ムラムラしなかったんですか?」

 唐突な質問に飲んでいたお茶が器官に入ってしまい、息を詰まらせた。いきなり何て事言うんだミクちゃんは。

「正直に言うとしていた」

 そう恥ずかし気に言いながら徐に鮭を食べていると、ミクちゃんの視線を物凄く感じた。ヤバい、絶対にニヤニヤしている。

「とりあえずこれからは毎晩、キスしてからのぎゅ~は確定ですね」

「マジ?」

「嫌ですか?」

「嫌じゃなけいど――恋人って訳でもないし、冷静に考えたらどうなんだろって」

「散々一緒に寝ていたのに急ですね。私のこと今日可愛いって言っていたじゃないですか」

「聞こえていたのね」

「勿論です。内心そのときめちゃくちゃ嬉しかったんですから」

「聞いていたのかよ。まあ、正直な話、時間さえ分かっていればミクちゃんを優先しているからな。俺の自分の気持ちに薄々は気付いていたけど、ミクちゃんもそう思ってくれているとは思ってなかったしな」

「めちゃくちゃアピールしていたのに、どんだけ自己肯定感低いんですか」

「まあ、色々あったから恋愛に対して後ろ向きだったんだよ」

「そうでしたか。でもまあ付き合っていないですけど、今の距離感最高なので良しとしましょう。私の場合付き合うって概念になるとどうも依存してしまうので」

「そんな気はしていた。ちょっとメンヘラなところあるよな」

「ば――バレている」

 ミクちゃんはそう言って驚いているが、一緒に長いこといればそれくらい分かるだろ。だから、童貞っていう強いコンプレックスがあったけど、極度のメンヘラと付き合ったりすれば、自己研鑽の時間が少なくなってしまうから、結局のところ生産性が悪くなってしまう。という予測を最近出来たので、結局パラダイムシフトを起こした転生する前の6ヶ月間は恋人は不要だったのだ。

「正直これから色々あると思うけど、ミクちゃんとランベリオンとはずっといてほしいって思っているよ。特にミクちゃんには離れてほしくないってな」

 俺が言ったことは凄い発言だと言った後に恥ずかしすぎて後悔した。誤魔化すふりをして味噌汁を一気に口に運んだ。ミクちゃんが黙っているので、反応が気になり顔を見てみると、「それいいですね」と照れ笑いをしながら言っていた。

 この当たり前の日常がいつまでも続けれるよう工夫しないと! と改めて意気込んだ。
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