【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

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甘美

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 俺やランベリオンはあの後、温泉を存分に楽しんだ。お決まりの女湯覗きタイムも無い。というか、10代の男がこの国にはまだ存在していないからだ。そしてこの国は女性がめちゃくちゃ多い。人型の種族である、人間、獣人、森妖精エルフの9割は女性だ。魔物は鑑定士を見た限りでは、♂も♀もバランスが良かった。

 そうなる俺からすれば、他の国の観光客がこの国にハマってそのまま住みついてもらっても構わないのだ。まあ、その人の国の法律さえ守れていればの話だけど。

 L字型のウッドテーブルで、社長椅子に揺られながら考え事をしていた後、ランベリオンからくすねた本を、ココアを飲みながら読んでいた。この本には各国の成り立ちや、現状どうなっているかなどが記されているらしい。驚くことにこの本金貨一枚するのだとか。なので庶民が簡単に入手できるような代物ではないが、本自体は全部で500ページ程あり、非常に読みやすいビジネス書籍みたいな感じになっている。読解力がそこそこある小学生でも理解できるように工夫されている内容だ。ただ、他国の情報を記すという点では、この世界では重宝されているのか、金貨1枚という付加価値が与えられている。それを考えるとどこか情報系商材のような気もするが、まあ俺が買った訳でもないし気にしない。

 勿論、カーネル王国やレンファレンス王国が、どんな歴史や法律を定めてきたかなどが記されている。全部書いていたらキリがないので、その国の基盤を作ったものが記されているのだろう。

 例えば、カーネル王国は元々、人間だけの国で魔物の立ち入りを許さなかったらしい。しかし、ランベリオン達が他国の侵略で、市民が虐殺されているところを見るに堪えかねて、入国しようとしている兵士達を焼き払って敵国の戦力を大幅にダウンさせた。それによって市民が魔物に対する評価はどんどん高くなっていき、ランベリオンのような魔物がいることを認識したカーネル王国は、少しずつ魔物を国に受け入れていったと記されてる。この話は今から約800年程前の事らしい。気が遠くなる。

 そうやって少しずつ人間の助力をしていった魔物達は認められるようになり、勲章を与えることも惜しまない風潮になったと記されている。

 この著者、コヴィー・S・ウィズダムさんは様々な国を歩んで知恵を蓄えた人で、ランベリオンに聞くとこの本だけではなく、冒険物の本を書いたりもしているらしい。この本があまりにも面白かったので、今度この人の本を片っ端から読んでいきたいので、ランベリオンに案内してもらう。カーネル王国に大きな本屋さんがあるらしいので是非行ってみたい。

 ココアを飲み終えた頃、コンコンとノックする音が聞こえた。体内時計で分かるが今の時間はもう23時前となっていた。

「ナリユキさん入りますよ」

「ああ」

 いつもより遅いミクちゃんのお出ましだ。慣れていると言えば慣れているがパジャマ姿のミクちゃんはいつも通りに可愛い。

 ミクちゃんはそのままベッドに腰をかけたので、俺もベッドに腰をかけた。因みにミクちゃんは枕を持っていない。もはや、寝るのが当然になっているので、枕も2つ用意していいるからだ。

「結構飲んでいたけど今日は大丈夫なのか」

「まあ、温泉入れたくらいですしね。それにしても今日は色々ありましたね」

「そうだな」

「だってベルゾーグさんや、アリシアさん、そしてアリスちゃんも味方になりましたからね」

「だな、それを考えるとミーシャ以外は全員S級だもんな」

「そうですね。あとは普通に 人魚姫マーメイドの皆様にも力を貸してほしいですが――」

「ミクちゃんが台無しにしたからな。そいや、何でそんなことになったんだよ」

「それは言えないです」

「え? 何で?」

 もう一度尋ねるとミクちゃんは顔を少し紅潮させながら布団を被って寝転がった。

「トップシークレットなんですよ」

 俺も部屋の電気を消して隣で寝転がると、ミクちゃんは俺の顔をじっと見てきた。

「なんだ?」

 そう言うとミクちゃんは黙って俺に顔を近付けてきた。

 首元に右手を回されたかと思うと、そのままミクちゃんの唇が俺の唇に重なった。あまりにも甘美で柔らかい感触に思考停止してしまう。

「やっぱり自分からするのは恥ずかしいですね」

 ミクちゃんも顔を紅潮させているが、恐らく俺の方が紅いのだろう。如何せん耳の先まで熱を感じているからだ。その姿がミクちゃんにとったらどう映っているのか分からないが、どこか悪戯じみた顔をしていた。

 そして、もう一度顔が近付いて来たので、唇が重なったと思えば、口の中にミクちゃんの舌が入って来る感覚があった。こういったことは初めてだったので、一瞬意味が分からなかったが、ミクちゃんの首元に腕を回しながら、ゆっくりミクちゃんの舌の動きに合わせていった。

 キスが好きな人の気持ちがここでようやく分かった。ドーパミンとβエンドルフィンが噴水のように湧き出てきて、それはもう俺の脳内はエライことになっている。ずっとしていたいという欲に駆り立てられる。30秒ほどした後、ミクちゃんは俺の顔を一度離して、俺の胸に顔をしばらく埋めた後、上目遣いをしてきた。

「えっちしませんか?」

 何とも悪い子である。こんな誘われ方をこんな可愛い女の子にされて断る人がいるのだろうか――。いやちょっと待って冷静に考えたら23時過ぎてね?

「えっち? 23時過ぎているから明日にしよ?」

 俺の馬鹿!! 童貞卒業できたのに!

「23時過ぎているからですか?」

「よくご存じで。えっちしたら長くなるだろ?」

「それはそうですけど」

 少し拗ねそうなミクちゃんに顔を近付けると、ミクちゃんはそのまま受け入れてくれた。

「っん……」

 そう可愛らしい声が聞こえると余計に俺の幸福度は増していき、頭がどうにかなりそうだった。それに胸板には二つの柔らかい感触がある。

 布団のなかで電気も消しているのに、パジャマが少しはだけて見えている胸の谷間は何故だか鮮明に見えた。

「ミクちゃん。今日ナイトブラしていないの?」

「そうですよ。何でかは敢えて言いませんけどね。別に触ってもいいですからね?」

 ミクちゃんの挑発に手を一瞬手を差し伸べたが、ピタリと止めた。

 凄い抽象的だけどここでミクちゃんのおっぱいを触ったら寝れないような気がする。

「せめて今日はぎゅ~して寝ていいですか?」

「ああ」

 そう返事すると、ミクちゃんは寝転がり俺に抱き着いていきた。髪の甘い香りやら、胸の感触やらでもう大変。さっきのキスもあるし、ナニカがビンビンになっているのは言うまでもない。

「前、ナリユキさんと寝ると落ち着くって言ったじゃないですか?」

 そう言って胸に顔を埋めるのを止めて、再び上目遣いになるミクちゃん。マジで何でこんな可愛いの。

「実はもっと言うと、好きな人の寝息を聞きつつ温もりを感じながら寝ると落ち着くって意味だったんですよ」

 そう言ってミクちゃんはもう一度軽いキスをしてきて、「言っちゃいましたね」と顔を林檎のように紅潮させている。もはや熱があるんじゃないか? って思うくらいだ。

 頭を撫でながら次は俺から唇に軽いキスをした後、舌を入れてもう一度深いキスをした。60秒ほどやった後、俺の脳内は興奮とドキドキで埋め尽くされていた。

「ナリユキさんのキス凄く優しいキスですね。離れたくなくなっちゃう。今日はずっとぎゅ~しておきますね。おやすみなさい」

「おやすみ」

 ミクちゃんは満足気な笑みを浮かべた後、目を閉じた。俺はしばらくミクちゃんの頭を撫でていると、気付いたら深い眠りについていた。
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