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仕事開始Ⅰ
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建国も決まり早速作業にとりかかる。まずは俺の屋敷の設備を充実させることからだ。ランベリオンにはモトリーナに向かってもらい、村人を連れてくるように依頼した。まあそこで役に立ちたいというもんだから、ミーシャも一緒に向かってもらった。獣人だと馴染みすいし問題ないだろう。
「ナリユキ様。森妖精もこの辺りに移住しても宜しいのでしょうか? その方が資源を皆さまに分け与えることができますので」
「そうだな。そっちのほうが都合がいい」
「ミク様からココナッツオイルを調達してほしいと言われましたが」
「え、何に使うの?」
「シャンプーやリンスに必要だと伺っております」
「そうなのか? 一応、シャンプー、リンス、ボディーソープは用意しているぞ?」
そう言うと、ミクちゃんは顔を紅潮させていた――。もしかして俺が出せるの忘れていたな。
「あ――そういえば、ナリユキさんが出せるの思い出しました。ダンジョンに登っているとき、私が天然で皮膚に優しいのがいいって言ったから、途中から魔物から抽出した天然のオイルが入った物を使っていたんだった」
「そうだったのですね。ナリユキ様はどのような素材なら出せるのですか?」
「基本的に、完全に天然じゃないものなら何でも出せるぞ。だから水や燃料、油ってのは出せないの出せないけど、それに代用が効く、化学薬品が混ざっているやつなら出せる。純度100%の天然素材じゃなければそれでいいのさ」
「成程ですね。じゃあ必要は無いですか?」
「いや、やっぱり髪の毛が痛んだりもするから、ココナッツオイルとかはあったほうがいいよ。ミクちゃんのほうが拘りが強い筈だから、ミクちゃんに聞いて必要な素材を揃えてくれ」
「かしこまりました」
「あとはコーヒー、ココア、ビール、ワインも飲みたいから、素材を収穫しておいてほしい」
「いいですね! お任せください。それでは行って参ります」
アリシアはそう言ってこの場から風のように消えた。森妖精族のパッシブスキルの転移スキルらしい。まあ、念話のような感じだ。俺も使えるようになったら楽になるんだけどな。
「拙者は何かするか? 食料も確保してくれるなら、拙者達は狩りをする必要が無いから実質暇になる。労力として存分に働くぞ」
「電気黒狼がいれば電気の供給がさらに効率よくなるよな。何かあったときの予備電力にもなるし」
「今はどうしているのだ?」
「風力発電をしている。んでもってこの屋敷にもソーラーパネルを付けて太陽光発電をするのさ」
「聞いたことが無いな。それで拙者達がいなくとも電気を使えるのか? 見たところ、拙者達以外に電気のスキルを持つ者はいない」
「おう。できるぞ。そう言えば水系統のスキルを持つ人がいないんだよな。マーズベル湖になんかいないのか?」
「ん? 人魚姫がいると聞くぞ?」
「まじで? 人魚姫いんの?」
「そうだ。拙者やランベリオンのように人型化になれる者もいるから、陸に上がれる人魚姫もいると聞いた」
「よし仲間に入れよう!」
俺が勢いよくベルゾーグにそう言うと、ベルゾーグは「おお……」と声を漏らす。
「ミクちゃんと一緒に行って来てくれ」
「勿論だ」
「ミクちゃんいいよな?」
「もちのろんですよ。お任せ有れ!」
ミクちゃんとベルゾーグはマーズベル湖に向かって行った。行ってらっしゃいとねぎらうと、ベリトがじっとこっちを見ていた。
「仕事が欲しそうな顔しているな」
「何と! バレてしまいましたか」
「武器庫作るから 悪魔錬金術で剣や刀、銃なんかを生成しておいてくれ。適当には造るなよ?」
「勿論でございます。一つ一つ丁寧に仕上げましょう」
「時間はたっぷりあるから一本一本長持ちするのを造ってくれ」
「かしこまりました」
ベリトは俺にお辞儀をすると、物凄く嬉しそうな顔をしながら俺の元を去った。いや、どんだけ嬉しいんだよ。
そして、俺は俺で従者達と一緒に家の中を内覧した。
この屋敷で働くことを希望する者だけをこの屋敷の従者にし、残りの女性達は畑に専念してもらいたいのだが、俺の屋敷で働きたい希望者は意外と多かった。100人近くいる中の半分程申し出てきたのだ。俺の中ではとりあえず30人程でいいのだ。いや、むしろ30人ってのも多いかもしれないが。
だから、家事全般をどれくらいこなせるかで見極めることにした。主には料理と掃除。まあ、ミクちゃんは俺の料理を作りたいって言ってくれるから、他の皆の分の料理という事になる。そして人を雇う事の最大の利点は掃除だ。なので、細かいところにまで気を配ることができる女性をピックアップしていこう。
まずは俺とミクちゃんの部屋に家具を置いていく。この国の主になるわけだから、キングサイズのベッドを用意したのだ。ミクちゃんもどうせ一緒に寝るだろうから別にいいのだ。無駄とは思わん。
他には観葉植物、消耗品など、必要なものは全て置いた。温泉に入るのが面倒くさいときもあるはずだから、お風呂場も用意した。あとは、食卓やそれ用の椅子。ペンや紙なんかも置いた後、消耗品も置いていく。使う度に手から出すか迷ったが、やっぱり置いておこう。
こうして、自分の部屋とミクちゃんの部屋の設備を整えた。
「ナリユキ様。森妖精もこの辺りに移住しても宜しいのでしょうか? その方が資源を皆さまに分け与えることができますので」
「そうだな。そっちのほうが都合がいい」
「ミク様からココナッツオイルを調達してほしいと言われましたが」
「え、何に使うの?」
「シャンプーやリンスに必要だと伺っております」
「そうなのか? 一応、シャンプー、リンス、ボディーソープは用意しているぞ?」
そう言うと、ミクちゃんは顔を紅潮させていた――。もしかして俺が出せるの忘れていたな。
「あ――そういえば、ナリユキさんが出せるの思い出しました。ダンジョンに登っているとき、私が天然で皮膚に優しいのがいいって言ったから、途中から魔物から抽出した天然のオイルが入った物を使っていたんだった」
「そうだったのですね。ナリユキ様はどのような素材なら出せるのですか?」
「基本的に、完全に天然じゃないものなら何でも出せるぞ。だから水や燃料、油ってのは出せないの出せないけど、それに代用が効く、化学薬品が混ざっているやつなら出せる。純度100%の天然素材じゃなければそれでいいのさ」
「成程ですね。じゃあ必要は無いですか?」
「いや、やっぱり髪の毛が痛んだりもするから、ココナッツオイルとかはあったほうがいいよ。ミクちゃんのほうが拘りが強い筈だから、ミクちゃんに聞いて必要な素材を揃えてくれ」
「かしこまりました」
「あとはコーヒー、ココア、ビール、ワインも飲みたいから、素材を収穫しておいてほしい」
「いいですね! お任せください。それでは行って参ります」
アリシアはそう言ってこの場から風のように消えた。森妖精族のパッシブスキルの転移スキルらしい。まあ、念話のような感じだ。俺も使えるようになったら楽になるんだけどな。
「拙者は何かするか? 食料も確保してくれるなら、拙者達は狩りをする必要が無いから実質暇になる。労力として存分に働くぞ」
「電気黒狼がいれば電気の供給がさらに効率よくなるよな。何かあったときの予備電力にもなるし」
「今はどうしているのだ?」
「風力発電をしている。んでもってこの屋敷にもソーラーパネルを付けて太陽光発電をするのさ」
「聞いたことが無いな。それで拙者達がいなくとも電気を使えるのか? 見たところ、拙者達以外に電気のスキルを持つ者はいない」
「おう。できるぞ。そう言えば水系統のスキルを持つ人がいないんだよな。マーズベル湖になんかいないのか?」
「ん? 人魚姫がいると聞くぞ?」
「まじで? 人魚姫いんの?」
「そうだ。拙者やランベリオンのように人型化になれる者もいるから、陸に上がれる人魚姫もいると聞いた」
「よし仲間に入れよう!」
俺が勢いよくベルゾーグにそう言うと、ベルゾーグは「おお……」と声を漏らす。
「ミクちゃんと一緒に行って来てくれ」
「勿論だ」
「ミクちゃんいいよな?」
「もちのろんですよ。お任せ有れ!」
ミクちゃんとベルゾーグはマーズベル湖に向かって行った。行ってらっしゃいとねぎらうと、ベリトがじっとこっちを見ていた。
「仕事が欲しそうな顔しているな」
「何と! バレてしまいましたか」
「武器庫作るから 悪魔錬金術で剣や刀、銃なんかを生成しておいてくれ。適当には造るなよ?」
「勿論でございます。一つ一つ丁寧に仕上げましょう」
「時間はたっぷりあるから一本一本長持ちするのを造ってくれ」
「かしこまりました」
ベリトは俺にお辞儀をすると、物凄く嬉しそうな顔をしながら俺の元を去った。いや、どんだけ嬉しいんだよ。
そして、俺は俺で従者達と一緒に家の中を内覧した。
この屋敷で働くことを希望する者だけをこの屋敷の従者にし、残りの女性達は畑に専念してもらいたいのだが、俺の屋敷で働きたい希望者は意外と多かった。100人近くいる中の半分程申し出てきたのだ。俺の中ではとりあえず30人程でいいのだ。いや、むしろ30人ってのも多いかもしれないが。
だから、家事全般をどれくらいこなせるかで見極めることにした。主には料理と掃除。まあ、ミクちゃんは俺の料理を作りたいって言ってくれるから、他の皆の分の料理という事になる。そして人を雇う事の最大の利点は掃除だ。なので、細かいところにまで気を配ることができる女性をピックアップしていこう。
まずは俺とミクちゃんの部屋に家具を置いていく。この国の主になるわけだから、キングサイズのベッドを用意したのだ。ミクちゃんもどうせ一緒に寝るだろうから別にいいのだ。無駄とは思わん。
他には観葉植物、消耗品など、必要なものは全て置いた。温泉に入るのが面倒くさいときもあるはずだから、お風呂場も用意した。あとは、食卓やそれ用の椅子。ペンや紙なんかも置いた後、消耗品も置いていく。使う度に手から出すか迷ったが、やっぱり置いておこう。
こうして、自分の部屋とミクちゃんの部屋の設備を整えた。
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