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レイドラムを追え
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A級の魔族か相手にならん。
「ギルドマスター避けて下さい!」
「さっきまでの威勢はどうしたあああ!」
パキン――と金属音が響いた。
「私の剣が折れた――」
間抜けな顔を浮かべているデカラビアという魔族の顔を掴み、そのまま壁に叩きつけた。何度も何度も何度も叩きつけた後、魔族の顔をこちらに向けてみた。まあそうなるだろうなといった感じだ。鼻は潰れ、目と頬は血まれで腫れている。そして歯は何本か欠けており、何とも情けない姿になっている。
「言え。レイドラムは何を企んでいる。魔族に忠誠心などなかろう」
「れ……レイドラムは――せ……戦争を起こそうとしているんだ」
「そうか――。傷を治してやるから詳しく話せ。今のままじゃ喋りにくいだろう。ハワード、二人の治療は終わったか?」
「はい。終わりました」
「よし。コイツも治してやってくれ。しかし暴れられては困るな。何cmか腹を抉っておくか」
「ひっ……」
「ギルドマスタ――こんなにビビっている魔族なかなかいないので大丈夫かと。それにこっちは今4人もいます」
「狡猾な奴はいるからな。念には念をというものだ」
「卑劣ですね――もう終わります」
デカラビアの顔は元に戻ったので、首元にデカラビアの剣を突きつけた。
「さあ詳細を言え」
「れ――レイドラムはマカロフ卿から銃から小型兵器を取り寄せ、ベリトの洗脳のアクティブスキルで、生身の人間や魔物に様々な武器を持たせて、各国の混乱を招き戦争を起こさせるのが目的だ。何故戦争を起こしたいのかまでは分からない。ただ、私達は金が良いからレイドラムと手を組んでいるだけだ」
「ベリトはどうだ?」
「ベリトは違う目的だろう。噂じゃ人間に復讐したいと言っていたがな。ここで雇われている魔族の中では奴は別次元だ。アンタでも勝てるか分からないぞ?」
「ベリトとクロノスどちらが強い?」
「――クロノスってあのクロノスか?」
「ああ」
「正直いい勝負をすると思う」
「そうか。ベリトの居場所は分かるか?」
「奴は神出鬼没だ。誰も奴の居場所など分からん」
「成程。ではレイドラムのところへ案内してくれ」
「と言いながら後ろからぶっ刺すとかしないよな?」
「お前、もしかしてさっきのでトラウマになっているな?」
「……何のことやら」
あ、明らかにビビっている。変な汗をかいている。そして、部下たちは苦笑いをしている。ちょっと容赦なさ過ぎたな――。
「ついてこいこっちだ」
私達はデカラビアに連れられて、レイドラムのところへ案内してもらった。開けた穴では無く正規の入り口から出ると、部屋の外に敵がいないかどうかを確認させた。念のためハワードに先に確認してもらったが、どうやらいないようだ。しかしここまですんなりと寝返るものなのか――。
人数差が出ればまたレイドラムのところへ戻るような気もするが、如何せん魔族は何を考えているのか分からない。
「デカラビア。魔族は合計で何人いる? お前とベリト含めてだ」
「6人だ。そのなかでもベリトがダントツに強い。貴様程の腕があればベリトさえ何とかすれば勝ったも同然だろう。しかし、レイドラムは様々な武器を所有しているから気は抜けないぞ」
「そうか。こっちの情報としてはC4爆弾しか知らないのだが他にどんな武器がある?」
「正直知らないな。着いたぞ。命が惜しければあまり声は出さないほうがいい」
デカラビアは小声人差し指を手元に当ててそう言った。レイドラムの部屋の前にはよく警備されているようだ。まあ当たり前と言えば当たり前だが、自分の部屋の前に人がうろうろしているのは、不快に思わないのだろうか? 私は不快に感じるので、そういった細かい事諸々がレイドラムと性格上合わないのだろうと確信できる。
デカラビアは一度ノックしたが応答はないようだ。やはり部屋では無く女性達の捜索に当たっている可能性が高い。そうなると洞窟に行く方が最優先だ。
「洞窟に行くぞ」
「ここから行くと結構な距離があるぞ」
「さっき開けた穴から行く」
「――まさか、あの穴は洞窟に繋がっているのか? 一体どんなアクティブスキルを使えばそんな威力を出せるのだ」
「燦爛の光線を使った」
「燦爛の光線? 光属性でもトップクラスのアクティブスキルではないか」
「まあアルティメットスキルではないがな。さあ行くぞ」
始めから先回りをしてばよかったと反省している。急いで奴を捕らえるより、待って捕らえるスタイルで良かったのだ。まあ理想としては、女性陣とこちらで挟み撃ちにすればよいのだがそう上手くいかんようだ。
私達は、デカラビアを先頭に立たせて再び監禁所へと向かった。レイドラムの部屋からは距離はそれほど遠くないので地下へと侵入すると、全員で走ることにした。A級としての身体能力は高そうだ。
レイドラムの部屋からおよそ三分ほど。私が開けた穴はきちんと洞窟まで届いていた。所々蝋燭が付いており、それが微かな光となっている。当たり前ではあるが少し肌寒い。広々とした空間なので余計にそう感じるのだろうか。
うちの兵士やデカラビアに探知系のスキルが無いので探すのは手間だがこのまま進むしか方法は無かった。
「ギルドマスター避けて下さい!」
「さっきまでの威勢はどうしたあああ!」
パキン――と金属音が響いた。
「私の剣が折れた――」
間抜けな顔を浮かべているデカラビアという魔族の顔を掴み、そのまま壁に叩きつけた。何度も何度も何度も叩きつけた後、魔族の顔をこちらに向けてみた。まあそうなるだろうなといった感じだ。鼻は潰れ、目と頬は血まれで腫れている。そして歯は何本か欠けており、何とも情けない姿になっている。
「言え。レイドラムは何を企んでいる。魔族に忠誠心などなかろう」
「れ……レイドラムは――せ……戦争を起こそうとしているんだ」
「そうか――。傷を治してやるから詳しく話せ。今のままじゃ喋りにくいだろう。ハワード、二人の治療は終わったか?」
「はい。終わりました」
「よし。コイツも治してやってくれ。しかし暴れられては困るな。何cmか腹を抉っておくか」
「ひっ……」
「ギルドマスタ――こんなにビビっている魔族なかなかいないので大丈夫かと。それにこっちは今4人もいます」
「狡猾な奴はいるからな。念には念をというものだ」
「卑劣ですね――もう終わります」
デカラビアの顔は元に戻ったので、首元にデカラビアの剣を突きつけた。
「さあ詳細を言え」
「れ――レイドラムはマカロフ卿から銃から小型兵器を取り寄せ、ベリトの洗脳のアクティブスキルで、生身の人間や魔物に様々な武器を持たせて、各国の混乱を招き戦争を起こさせるのが目的だ。何故戦争を起こしたいのかまでは分からない。ただ、私達は金が良いからレイドラムと手を組んでいるだけだ」
「ベリトはどうだ?」
「ベリトは違う目的だろう。噂じゃ人間に復讐したいと言っていたがな。ここで雇われている魔族の中では奴は別次元だ。アンタでも勝てるか分からないぞ?」
「ベリトとクロノスどちらが強い?」
「――クロノスってあのクロノスか?」
「ああ」
「正直いい勝負をすると思う」
「そうか。ベリトの居場所は分かるか?」
「奴は神出鬼没だ。誰も奴の居場所など分からん」
「成程。ではレイドラムのところへ案内してくれ」
「と言いながら後ろからぶっ刺すとかしないよな?」
「お前、もしかしてさっきのでトラウマになっているな?」
「……何のことやら」
あ、明らかにビビっている。変な汗をかいている。そして、部下たちは苦笑いをしている。ちょっと容赦なさ過ぎたな――。
「ついてこいこっちだ」
私達はデカラビアに連れられて、レイドラムのところへ案内してもらった。開けた穴では無く正規の入り口から出ると、部屋の外に敵がいないかどうかを確認させた。念のためハワードに先に確認してもらったが、どうやらいないようだ。しかしここまですんなりと寝返るものなのか――。
人数差が出ればまたレイドラムのところへ戻るような気もするが、如何せん魔族は何を考えているのか分からない。
「デカラビア。魔族は合計で何人いる? お前とベリト含めてだ」
「6人だ。そのなかでもベリトがダントツに強い。貴様程の腕があればベリトさえ何とかすれば勝ったも同然だろう。しかし、レイドラムは様々な武器を所有しているから気は抜けないぞ」
「そうか。こっちの情報としてはC4爆弾しか知らないのだが他にどんな武器がある?」
「正直知らないな。着いたぞ。命が惜しければあまり声は出さないほうがいい」
デカラビアは小声人差し指を手元に当ててそう言った。レイドラムの部屋の前にはよく警備されているようだ。まあ当たり前と言えば当たり前だが、自分の部屋の前に人がうろうろしているのは、不快に思わないのだろうか? 私は不快に感じるので、そういった細かい事諸々がレイドラムと性格上合わないのだろうと確信できる。
デカラビアは一度ノックしたが応答はないようだ。やはり部屋では無く女性達の捜索に当たっている可能性が高い。そうなると洞窟に行く方が最優先だ。
「洞窟に行くぞ」
「ここから行くと結構な距離があるぞ」
「さっき開けた穴から行く」
「――まさか、あの穴は洞窟に繋がっているのか? 一体どんなアクティブスキルを使えばそんな威力を出せるのだ」
「燦爛の光線を使った」
「燦爛の光線? 光属性でもトップクラスのアクティブスキルではないか」
「まあアルティメットスキルではないがな。さあ行くぞ」
始めから先回りをしてばよかったと反省している。急いで奴を捕らえるより、待って捕らえるスタイルで良かったのだ。まあ理想としては、女性陣とこちらで挟み撃ちにすればよいのだがそう上手くいかんようだ。
私達は、デカラビアを先頭に立たせて再び監禁所へと向かった。レイドラムの部屋からは距離はそれほど遠くないので地下へと侵入すると、全員で走ることにした。A級としての身体能力は高そうだ。
レイドラムの部屋からおよそ三分ほど。私が開けた穴はきちんと洞窟まで届いていた。所々蝋燭が付いており、それが微かな光となっている。当たり前ではあるが少し肌寒い。広々とした空間なので余計にそう感じるのだろうか。
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