【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
35 / 597

囚われた奴隷Ⅰ

しおりを挟む
「ロビン、周辺の状況はどうだ?」

「話し声を聞いているっすけど、油断はしているみたいですね。警戒心は低いっす。あともうそろそろ交代の時間なので。早くあの四人の門番をどうにかしないと」

「そうだな」

 俺達はレイドラムの屋敷が見える草むらに隠れて、俺達は身を潜めていた。ベリトの隠れ家に関してはいくつも回ったが、リアトの姿はなかった。ロビンは申し訳ないっすと言っていたが、ほんの小さな希望にかけてみただけなのだからそう上手くはいくまい。食事は摂れているのだろうか? 拷問はされているのだろうか? 実は死んでいるのではないか? どうしてもネガティブな憶測が飛び交ってしまう。

「ギルドマスターどうされますか?」

「私が強行突破する」

 うちのギルドと同じくらいの敷地の外に配置されている四人の門番。生憎入り口が一つしかないのがネックではあるが、私には決して関係の無いことだ。

 私は10m先にいる門番4人を迅速に手刀で気絶させた。私達は門番に化けるべく、彼等の身ぐるみを全て剥ぎ顔当てもつけて門番になりきった。

「ノーズはここで待機しておいてくれ」

「かしこまりました」

 私達はすぐに持ち場に着き、ただひたすら待っていた。五分ほどして敷地内から四人の兵士がやってきた。

「交代だ。次に備えゆっくり休め。変わったことなどは無かったか?」

「特に異常は無い。しっかり頼む」

 ハワードがそう言うと、私達は敷地内に潜入することに成功した。鑑定士のスキルを持たれていては困るが、どうやらレイドラムの戦力で鑑定士のスキルを持っているには魔族のみで、人間は鑑定士を持っていないようだ。故にこの変装でバレることは無いはず。

 私達は芝の道を歩き、レイドラムの館の前まで来た。ここでも門番がいるが、どうやら名前を言わないといけないらしい。

「カンティア」

「リズベル」

「トートス」

「ムスパー」

「入れ」

 ロビンの異常聴覚で兵の名前も聞けていたので、問題無く通ることができた。今更ながら、ロビンの力が無ければこうも簡単に侵入することはできなかっただろう。そしてまずは人と獣人を解放しなければいけない。

「どうしますか?」 

「監禁されているのは地下だろう。隠し通路などがあるはずだから見つけろ。尋問で情報を聞き出す際は必ず孤立している奴だ」

「はい」

 その指示で三人は散っていった。

 さて、兵士が全員監禁場所を知っている訳でもない。だとすると鑑定士で強そうな人間を探すしかない。

 私は警備の巡回のフリをしながら辺りを探索した。金持ちの屋敷というのは本当に大きい。それに屋敷全体は赤い絨毯は敷かれており。所々、レア度が高そうな絵画なども飾られている。レイドラムの部屋さえ見つけることができれば、出入りする人間を取り押さえればいい。主の部屋を出入りするのは幹部クラスで十分だからな。

「レイドラム様が連れてきた獣人、凄く可愛いらしいぞ」

「そうなのか? 少々犯しても構わないだろ」

「なら、今から行くか? あまりやりすぎると商品価値が下がってしまうからほどほどにな」

 極力一目を避けようと歩ているときに2人の兵士の話し声が聞こえた。これは幸運だ。彼らに着いていけば人と獣人が監禁されている場所へ辿り着くことができる。

 しばらく彼等に着いていくと、彼等はとある部屋の中に入って行った。足音を最小まで抑えながら、扉越しに音を聞いていると、扉が開く音がした。「行くぞ!」と何やら音が反響しているようなので、彼等は地下に入って行ったようだ。

 私は部屋の扉を開けると、赤い絨毯のカモフラージュがされた床が隠し扉になっており、地下へ続く階段があった。中に入ると、扉は自動で閉まったので、手動で閉めることができないから開きっぱなしだったらしい。

 2人の兵士と距離をとるために、しばらく歩かずに待機をしていた。1分ほど待ったところで足を進めた。人が横に並んで二人ほどしか通ることができない狭い通路に蝋燭が一定の間隔で灯っている。

「止めて! 許してください!」 

 ヒトの声か、獣人の声かは分からないが、女性が明らかに男性に許しを請う声が聞こえる。いるのは彼等2人だけではないらしい。

 階段を下り終えると、監禁所へ訪れた。人や獣人が檻の中に閉じ込められ、ここに来た時の衣服と違うのは明らかだった。皆、白い服を着させられているだけだった。そんな薄着では体調を崩してしまいそうだが、どういう訳か、ここの空間そのものは暖かい。

 檻に閉じ込められている女性は生気を失い、目に光が宿っていない人や、檻の中から助けを請う者もいる。ざっと見た感じだと監禁されている人間は多かった。200人ほどがいるだろうか。10人で一部屋のようになっている。そして、ここにいる兵士は私を含めて6人いた。先程の2人は奥まで行っていた。

 兵士は檻から女性を好みの人間を選び、犯している。何とも悲しい光景だ。

「お前もするか?」

 鎧を脱ぎ、バックで二十代くらいの若い女性を、バックで犯している男が私にそう問いかけてきた。

「失せろ」

 私は男に手を向けて、アクティブスキルの鎌鼬を発動した。男の頭は地面に転がりこんだ。そして、首元からは大量の鮮血を噴出していた。

「きゃあああああああ」

 辺りの女性が悲鳴を上げたことにより、他の兵士が私の方を見た。
 
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...