16 / 597
爆弾事件Ⅰ
しおりを挟む
「これはどうやら不発らしいな」
「これは爆弾なのか?」
ランベリオンの質問にああと返答すると、ルイゼンバーンさんは詳しく聞かせてくれと尋ねられた。当然話すつもりだ。
「この爆弾は、転生する前の世界で使われていたプラスチック爆弾です。主に戦争で使われていたので、一般人が目にすることはありません。しかし、ゲームという娯楽が前の世界ではあったのですが、そのゲームの中によく登場する一般人でも名前くらいなら聞いたことあるって感じの代物です」
「そんな小型兵器が何故この街に――」
「見たことはないのですか?」
「当然だ。ランベリオンはどうだ?」
「我も名前くらいは聞いたことあるぞ。この世界では転生者がちょこちょこといるからな。ナリユキ殿と同じ世界から来た人間が、その優秀な科学を利用して、この世界で使っている輩がいるのだろう」
そう話していると、民間人の女性がルイゼンバーンさんに声をかけてきた。
「ルイゼンバーン様、お取込み中申し訳ございません。しかし、伝えなければならない事がありましたので」
「続けてくれ」
「この家に入っていく人がいたんです。見かけない顔だったので、しばらく見ていたら爆発が起きて、入っていった人間と共に、シュノールさんの一家はこの有様になりました」
「そうだったか――生存者はどうなった?」
ルイゼンバーンさんはそう言って、呼び出しをしに来た男に声をかけていた。
「家主であろう男性が意識不明の重体です。回復を行いましたが人体の損傷が酷く、意識不明の重体です。シュノール家では無い人間が一人遺体として見つかっており、その人物が襲撃をしかけたと考えられます」
「クロノスは呼んだか?」
「ええ。別の者が呼びに行っております。じきに到着するかと」
「お、クロノスが来るのか?」
「仕方ないだろう。魔族の力を借りなきゃこの事件は解決しない」
魔族がくるのか――。て事は良心的な魔族ってことだよな?
「クロノスは王直属の護衛の一人だ」
心が読めるのかこのオッサン!
「当たっていたようだね。まあ、そういう顔をしていたらつい伝えたくなったのさ」
「て、事はランベリオンが言っていたべらぼうに強い護衛だよな?」
「そうだ。未来や過去を体験できるユニークスキルを持っている。まあ鑑定ができるなら来た時に視るといい」
「ああ」
と、言ってルイゼンバーンさんの鑑定も視たいが、全然視れないんだよな。俺の勘が正しければ絶対に強いステータスの筈なんだけど。
「残念ながら私のステータスは視れないぞ? そういうスキルをパッシブスキルが発動しているからな」
「――もしかして心が読めるスキルとかもありますか?」
「それはどうかな?」
と、ルイゼンバーンは得意気な笑みを浮かべているが、怪しすぎる――。
「ところで、何の為にこんな酷いことをしたのでしょうか?」
「だな。というかミク殿は平気なのか? 家の中をよく見ると血が飛び散っているが」
「私、意外と平気なんですよ。まあ、いい気がしないのは当たり前なんですけどね」
「ナリユキ殿が大丈夫そうだが――」
「いや、実は俺こういうの苦手だぞ?」
「そうであったか。お、来たようだ」
「お待たせして申し訳ございません。うわあ酷いですね」
そう言って申し訳なさそうに現れたのは、黒服の上にを身にまとった深紅の目が特徴的な男性だ。これまた綺麗な顔立ちをしていやがる。まあ、魔族ってこともあるのか髪色は銀。その髪を右側で分け目を作っている。うんまあ――。
「お人形さんみたいだ」
そうミクちゃんが述べた通りである。下手しい女性に間違われる事もあるんじゃないか? どれどれ。
名前:クロノス
性別:♂
種族:魔族
称号:時の神
勲章:☆☆
パッシブスキル:アクティブスキル無効、斬撃無効、状態異常無効、精神作用無効、洗脳無効、アルティメットスキル確殺率向上、鑑定士
アクティブスキル:地獄の炎弾、火炎車、破壊光線、悪魔の叫び
ユニークスキル:時を駆ける者
アルティメットスキル:悪魔の審判
いや、パッシブスキルがエグすぎるだろ――どうなってんだよコイツ。
「悪かったなカーネル王の護衛があるのに」
「いえいえ、大丈夫ですよ。王は寛大な方なので、民間人に死者が出ただと? 早く行って来い! と仰っていましたからね。まあ今頃、民間人が心配でソワソワしていることでしょう」
「まあ、いつも通りだな。王らしくないと言えば王らしくないが、優しいお方だ。クロノス、悪いが早速始めてくれ」
「解りました。少し静かにしていて下さいね」
すると、クロノスさんは外にいる人間に触れた。一分ほどすると立ち上がり、成程と呟き、次は家の中に入り玄関付近にいる人間に触れた。正直、この酷い有様なので、彼が触れている人間は男性か女性かも分からない。
そして、最後に一番奥にいる人間に触れて、また一分程するとこちらへ戻って来た。
「ベリトの仕業ですね。それにこのC4と呼ばれる爆弾は、レイドラムのモノですね」
クロノスさんのその言葉で、久しぶりに熱い気持ちがこみ上げてきた。そう怒りだ――。何故こんな酷いことができるんだ。
「そのベリトという男はどんな輩なのだ? 我はそいつに洗脳されてモトリーナの村を襲ってまったのだ」
「ランベリオンさんが? また珍しいことがありますね。そうですね、人目につきますし場所を移しましょう。で、あなた達は――? ナリユキ様とミク様ですね。宜しくお願いします」
「宜しくお願いします」
どうやら、彼は俺達の事を鑑定したようだ。まあ、このスキルを持っていれば、初対面の人を鑑定するのは当たり前だよな。
「あとは頼んだ。また何かあったら言ってくれ」
「かしこまりました!」
ルイゼンバーンさんがそう部下に告げると、俺達はクロノスさんについていき、別の場所へと向かった。
「これは爆弾なのか?」
ランベリオンの質問にああと返答すると、ルイゼンバーンさんは詳しく聞かせてくれと尋ねられた。当然話すつもりだ。
「この爆弾は、転生する前の世界で使われていたプラスチック爆弾です。主に戦争で使われていたので、一般人が目にすることはありません。しかし、ゲームという娯楽が前の世界ではあったのですが、そのゲームの中によく登場する一般人でも名前くらいなら聞いたことあるって感じの代物です」
「そんな小型兵器が何故この街に――」
「見たことはないのですか?」
「当然だ。ランベリオンはどうだ?」
「我も名前くらいは聞いたことあるぞ。この世界では転生者がちょこちょこといるからな。ナリユキ殿と同じ世界から来た人間が、その優秀な科学を利用して、この世界で使っている輩がいるのだろう」
そう話していると、民間人の女性がルイゼンバーンさんに声をかけてきた。
「ルイゼンバーン様、お取込み中申し訳ございません。しかし、伝えなければならない事がありましたので」
「続けてくれ」
「この家に入っていく人がいたんです。見かけない顔だったので、しばらく見ていたら爆発が起きて、入っていった人間と共に、シュノールさんの一家はこの有様になりました」
「そうだったか――生存者はどうなった?」
ルイゼンバーンさんはそう言って、呼び出しをしに来た男に声をかけていた。
「家主であろう男性が意識不明の重体です。回復を行いましたが人体の損傷が酷く、意識不明の重体です。シュノール家では無い人間が一人遺体として見つかっており、その人物が襲撃をしかけたと考えられます」
「クロノスは呼んだか?」
「ええ。別の者が呼びに行っております。じきに到着するかと」
「お、クロノスが来るのか?」
「仕方ないだろう。魔族の力を借りなきゃこの事件は解決しない」
魔族がくるのか――。て事は良心的な魔族ってことだよな?
「クロノスは王直属の護衛の一人だ」
心が読めるのかこのオッサン!
「当たっていたようだね。まあ、そういう顔をしていたらつい伝えたくなったのさ」
「て、事はランベリオンが言っていたべらぼうに強い護衛だよな?」
「そうだ。未来や過去を体験できるユニークスキルを持っている。まあ鑑定ができるなら来た時に視るといい」
「ああ」
と、言ってルイゼンバーンさんの鑑定も視たいが、全然視れないんだよな。俺の勘が正しければ絶対に強いステータスの筈なんだけど。
「残念ながら私のステータスは視れないぞ? そういうスキルをパッシブスキルが発動しているからな」
「――もしかして心が読めるスキルとかもありますか?」
「それはどうかな?」
と、ルイゼンバーンは得意気な笑みを浮かべているが、怪しすぎる――。
「ところで、何の為にこんな酷いことをしたのでしょうか?」
「だな。というかミク殿は平気なのか? 家の中をよく見ると血が飛び散っているが」
「私、意外と平気なんですよ。まあ、いい気がしないのは当たり前なんですけどね」
「ナリユキ殿が大丈夫そうだが――」
「いや、実は俺こういうの苦手だぞ?」
「そうであったか。お、来たようだ」
「お待たせして申し訳ございません。うわあ酷いですね」
そう言って申し訳なさそうに現れたのは、黒服の上にを身にまとった深紅の目が特徴的な男性だ。これまた綺麗な顔立ちをしていやがる。まあ、魔族ってこともあるのか髪色は銀。その髪を右側で分け目を作っている。うんまあ――。
「お人形さんみたいだ」
そうミクちゃんが述べた通りである。下手しい女性に間違われる事もあるんじゃないか? どれどれ。
名前:クロノス
性別:♂
種族:魔族
称号:時の神
勲章:☆☆
パッシブスキル:アクティブスキル無効、斬撃無効、状態異常無効、精神作用無効、洗脳無効、アルティメットスキル確殺率向上、鑑定士
アクティブスキル:地獄の炎弾、火炎車、破壊光線、悪魔の叫び
ユニークスキル:時を駆ける者
アルティメットスキル:悪魔の審判
いや、パッシブスキルがエグすぎるだろ――どうなってんだよコイツ。
「悪かったなカーネル王の護衛があるのに」
「いえいえ、大丈夫ですよ。王は寛大な方なので、民間人に死者が出ただと? 早く行って来い! と仰っていましたからね。まあ今頃、民間人が心配でソワソワしていることでしょう」
「まあ、いつも通りだな。王らしくないと言えば王らしくないが、優しいお方だ。クロノス、悪いが早速始めてくれ」
「解りました。少し静かにしていて下さいね」
すると、クロノスさんは外にいる人間に触れた。一分ほどすると立ち上がり、成程と呟き、次は家の中に入り玄関付近にいる人間に触れた。正直、この酷い有様なので、彼が触れている人間は男性か女性かも分からない。
そして、最後に一番奥にいる人間に触れて、また一分程するとこちらへ戻って来た。
「ベリトの仕業ですね。それにこのC4と呼ばれる爆弾は、レイドラムのモノですね」
クロノスさんのその言葉で、久しぶりに熱い気持ちがこみ上げてきた。そう怒りだ――。何故こんな酷いことができるんだ。
「そのベリトという男はどんな輩なのだ? 我はそいつに洗脳されてモトリーナの村を襲ってまったのだ」
「ランベリオンさんが? また珍しいことがありますね。そうですね、人目につきますし場所を移しましょう。で、あなた達は――? ナリユキ様とミク様ですね。宜しくお願いします」
「宜しくお願いします」
どうやら、彼は俺達の事を鑑定したようだ。まあ、このスキルを持っていれば、初対面の人を鑑定するのは当たり前だよな。
「あとは頼んだ。また何かあったら言ってくれ」
「かしこまりました!」
ルイゼンバーンさんがそう部下に告げると、俺達はクロノスさんについていき、別の場所へと向かった。
3
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる