【電子書籍化決定!】生産性厨が異世界で国造り~授けられた能力は手から何でも出せる能力でした~

天樹 一翔

文字の大きさ
上 下
15 / 597

考察と新たな事件

しおりを挟む
「大方分かった。で、レイドラムの調査依頼はどこからだったのだ?」

「レイドラムの依頼は、レファレンス王国だ。しかし、我からすればベリトという男のほうが気になる」

「同感だな」

「転生者の君達はどう思う? あくまで所感でいい」

「転生者――やはり、ランベリオンとのさっきのアイコンタクトはそういう事だったんですね。ベリトという男がやはり気になります。これは皆同じ事を思っていると思います。ミクちゃんもそうだよね?」

「そうですね。まあ、ナリユキさんが凄すぎたので、正直、ランベリオンさんの強さは疑っていましたが、この国に来てランベリオンさんは凄く有名人ということが分かりました。ですので、それ相応の実力のうえ、S級の魔物となると、ベリトという男性は、S級の強さを持っていることが考えられます」

「付け加えるなら、用意周到で狡猾な性格をしていると私は考えています。ただ、今推測できるのはこれくらいかなと。正直、レイドラムが商売の邪魔になるので、モトリーナの村を襲ったのだとしたら、生産性があまりにも低い。襲っても何も残らない。また、村を襲って村を独り占めして、農作物やビガーポークなどの近くの魔物を狩って、出荷しようとしているなら飛んだ馬鹿だと考えております」

「ほう。続きを聞かせてくれ」

「モトリーナの村人だからこそあの質の高い農作物を提供することができます。しかし、モトリーナの村で起きた事件は、洗脳されたワイバーンが見境なく村を襲っていたのです。と、いうことは、村人を何人か生き残らせて、農作物のノウハウを伝授することはできないということです。残された道はただ一つ。レイドラムが独学、或いは、専門家の意見などを収集して耕すことしかできないのです。しかし、そうなると味が落ちて、購入者が減少することが想定できます。その味だから購入しているという国や消費者が多いはずなのです。ですので、村を洗脳した魔物に襲わせるのは生産性が悪いと考えます」

「成程。正直素晴らしい考察だと思う。つまり、今回モトリーナの村をレイドラムが襲ったのは、商売のライバルを潰すのが目的では無いと考えているのだな?」

「そうです。レイドラムは有名な闇の商人と伺いましたので、少なくとも頭が切れる人物だと思うんですよ」

「他の目的の推測はできるか?」

「いえ、今のところはできません。村がまだまだ安全とは言えませんので、ギルドから数名長期遠征という形で派遣してほしいのです。そのうえで、私、ミクちゃん、ランベリオンの三名で、レイドラムとベリトの調査を行いたいと考えております」

「仮に行ったとしても、今頃レンファレンス王国のお偉いさん方は大騒ぎしているんじゃないか? ランベリオンが行方をくらませたって。そのなかで行ったら叱責を君達まで受けることになると思うのだが」

「それは心配ない。部下ワイバーンに状況報告をすべく、レンファレンス王国に向かわせた。今頃情報が届いているはずだ。まあ、会ったら改めて謝罪をする」

「それなら良いが――まあいいだろう。ギルドから四名派遣してやる。期間は1ヶ月としよう」

「金貨3枚でいいか?」

「そんなにいらん。とりあえずは金貨1枚でいい。あとは出来高で追加請求する、最大3枚までだ」

「それでよいぞ」

 すると、ランベリオンは金貨1枚をルイゼンバーンさんに渡した。ルイゼンバーンが確かにと言って受け取ったとき、扉が勢いよく開かれた。

 ルイゼンバーンさんがめちゃくちゃ顔をしかめているので、見ているこっちはどんな怒号が飛ぶのかヒヤヒヤなんだけど。

「無礼者! 来客中だぞ! ノックもせずに入る馬鹿がどこにいる!」

「申し訳ございません。ですが、緊急事態でして!」

 甲冑を着た若い男は一瞬萎縮をしていたが、屈さずに口を開いた。偉いぞ。俺なら無理だもん――。

「民家が一軒爆破されました。犠牲者は四名。死者三名と重症者が一名です」

「何!?」

 そうか――このギルドは民間の警察みたいな感じなのか? ギルドっていう簡単な言葉でまとめているけど――。

「現場には不審な凶器がありまして、是非現場に来ていただきたく思います」

「三人ともさっきの話の依頼料は一旦預ける。代わりに私と同行してくれないか?」

 ルイゼンバーンさんはそう言ってさっき渡した金貨を、掌に乗せて差し伸べてきた。

「転生者であるナリユキ殿とミク殿の見解も参考になるかもしれない。何せ、私達は全く別の世界で生きていたのだろう?」

 ミクちゃんとランベリオンは頼む。みたいな事でこっちを見てくる。俺、面倒臭いことに首を突っ込むの本当に嫌なんだよな。絶対に悪い予感しかしないもん。くそ――。

「承知致しました。同行しましょう」

 その俺の一言で、さっきの報告してきた男を含めた計五人は慌てて現場に駆け付けた。

 現場は勿論やじ馬で騒然としている。

「ギルドだ。お前たちそこをどいてくれ」

 ルイゼンバーンさんもまた有名人なんだろう。民間人は直ぐに道を開けてくれた。ルイゼンバーンさんは有難うと感謝を述べた後、これは酷いと家の中の悲惨の状況を見て吐露していた。

 民家の窓ガラスのガラス片が散乱していて、血まみれになった上半身が焼きただれた人間が一人、外に放り出されていた。顔は布で覆われているが、相当グロテクスな酷い顔になっているはずだ。

 ミクちゃんに声をかけようとしたとき、ミクちゃんの顔面は蒼白していた。そして声を震わせながら口を開いた。

「あれって――C4爆弾じゃ――」

 ミクちゃんが指している、布で覆われた被害者の近くに落ちているもの――。

 傍に寄って確かめてみた。俺達がFPSゲームでしか見たことが無く、スキルに頼るこの世界で存在すること自体が吃驚な代物――。それは紛れもなくC4プラスチック爆弾だった。








しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

処理中です...