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第47話 謝恩会をしよう
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キマイラのドロップアイテムの鑑定結果が出た。
「Sランクでした~!」
キャル鑑定士が宣言すると、集まっていた教官たち全員が拍手をする。
「キマイラの尾毒、火炎袋、これらが部位別ドロップ。キマイラの上半身の肉、下半身の肉、尾肉。……君たちってホント肉がドロップするよね? 欲望に忠実すぎない? あと、マジックジェム。これがスーパースペシャルレア! キマイラからマジックジェム出るの、奇跡じゃない? ブラボー!」
キャル鑑定士がバンザイすると、教官たちも歓声を上げつつバンザイした。
「……なんの祝いだろう?」
「肉以外はいらねーな」
マジックジェムってなんだ?
マジックジェムとは、と、キャル鑑定士が解説してくれた。
簡単に言うと魔力の塊が固形化したもの。ゴブリンのドロップアイテムであるエーテルストーンに近いものらしい。体格が大きく魔力をたくさん持つ魔物がごく稀にドロップする。
これは、Sドロップアイテムとは関係なく、その魔物がマジックジェムを宿しているかどうかだそうだ。
「倒してみなきゃわかんないから、すっごく稀少なんだ~。ただ、特級クラスの魔物だとほぼ持ってるけど」
特級クラスなのにドロップしないこともあるらしいので、ほぼ、と言っている。そのチームのドロップ率が悪いせい、とは言わないそうだ。なぜなら特級を倒せるのはSランクのセイバーズだから。
「もちろん私は出したけどね!」
胸を張って言った。
……たった今、キャル鑑定士がSランクのセイバーズだった事実が判明しました。
「で、これらだけど……。本来、魔物を討伐したら君たちのものになるはずなんだよ。……だけど、アカデミー生に限って、任務以外での魔物討伐は禁止されているの。ジミー君は騙されて偽の依頼書を見せられたし、エドウィン君は救助作業ということだから処罰の対象にはならないけれど、その代わり、ドロップアイテムは納品してもらうことになりそう」
申し訳なさそうにキャル鑑定士が言った。
……と思ったら、急に明るい顔で俺たちを見た。
「とはいえ、君たちは稀少なSランクのアイテムハンター! 罠に嵌められても実力で突破したし、むしろアカデミーの方が生徒を危険にさらしたってペナルティになるので、どうにでも出来るよ!」
キャル鑑定士が言い切ってくれた。
俺とエドウィンは顔を見合わせた。
「どうする?」
「他はいらねーけど肉は食いてーよな! 今回食ってこれなかったからよ!」
エドウィンが言い切った。
「んー……。肉だけ返してもらうか?」
と、言ったら教官たちがそりゃあもうガックリと肩を落とした。
え……。どうするよ?
再度エドウィンを見た。
「別に、みんなで食えばいいだろ!」
朗らかに言ったので、それがいいかな、と頷いた。
「……じゃあ、キャル鑑定士、肉は救出作業してくれた方々と食べませんか? どのくらいかかわったのかわからないんですけど、かなりの量ですし足りる……足りますよね?」
「ソレってナイスアイデア! オッケー! それでいこう!」
キャル鑑定士が笑顔で指を鳴らした。
「Sランクでした~!」
キャル鑑定士が宣言すると、集まっていた教官たち全員が拍手をする。
「キマイラの尾毒、火炎袋、これらが部位別ドロップ。キマイラの上半身の肉、下半身の肉、尾肉。……君たちってホント肉がドロップするよね? 欲望に忠実すぎない? あと、マジックジェム。これがスーパースペシャルレア! キマイラからマジックジェム出るの、奇跡じゃない? ブラボー!」
キャル鑑定士がバンザイすると、教官たちも歓声を上げつつバンザイした。
「……なんの祝いだろう?」
「肉以外はいらねーな」
マジックジェムってなんだ?
マジックジェムとは、と、キャル鑑定士が解説してくれた。
簡単に言うと魔力の塊が固形化したもの。ゴブリンのドロップアイテムであるエーテルストーンに近いものらしい。体格が大きく魔力をたくさん持つ魔物がごく稀にドロップする。
これは、Sドロップアイテムとは関係なく、その魔物がマジックジェムを宿しているかどうかだそうだ。
「倒してみなきゃわかんないから、すっごく稀少なんだ~。ただ、特級クラスの魔物だとほぼ持ってるけど」
特級クラスなのにドロップしないこともあるらしいので、ほぼ、と言っている。そのチームのドロップ率が悪いせい、とは言わないそうだ。なぜなら特級を倒せるのはSランクのセイバーズだから。
「もちろん私は出したけどね!」
胸を張って言った。
……たった今、キャル鑑定士がSランクのセイバーズだった事実が判明しました。
「で、これらだけど……。本来、魔物を討伐したら君たちのものになるはずなんだよ。……だけど、アカデミー生に限って、任務以外での魔物討伐は禁止されているの。ジミー君は騙されて偽の依頼書を見せられたし、エドウィン君は救助作業ということだから処罰の対象にはならないけれど、その代わり、ドロップアイテムは納品してもらうことになりそう」
申し訳なさそうにキャル鑑定士が言った。
……と思ったら、急に明るい顔で俺たちを見た。
「とはいえ、君たちは稀少なSランクのアイテムハンター! 罠に嵌められても実力で突破したし、むしろアカデミーの方が生徒を危険にさらしたってペナルティになるので、どうにでも出来るよ!」
キャル鑑定士が言い切ってくれた。
俺とエドウィンは顔を見合わせた。
「どうする?」
「他はいらねーけど肉は食いてーよな! 今回食ってこれなかったからよ!」
エドウィンが言い切った。
「んー……。肉だけ返してもらうか?」
と、言ったら教官たちがそりゃあもうガックリと肩を落とした。
え……。どうするよ?
再度エドウィンを見た。
「別に、みんなで食えばいいだろ!」
朗らかに言ったので、それがいいかな、と頷いた。
「……じゃあ、キャル鑑定士、肉は救出作業してくれた方々と食べませんか? どのくらいかかわったのかわからないんですけど、かなりの量ですし足りる……足りますよね?」
「ソレってナイスアイデア! オッケー! それでいこう!」
キャル鑑定士が笑顔で指を鳴らした。
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