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第27話 対抗戦②

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 スノウ様たちが名乗りを上げたことで、真っ先に座り直したのがイヤミー学長だ。
「ハッ! 実力もわからずいきがるアウズンブラアカデミーのチビッコか! 痛い目に遭ってこい! 時間稼ぎくらいは出来ればいいがな!」
「あァん?」
 エドウィンが立ち上がった。

 それを手で制したジェイド学長は、アウズンブラアカデミーの学長を見た。
「……クロース学長。どうしますか?」
 クロース学長はジェイド学長を見て、椅子に座った。
「やる気になっているのなら、現役を離れている私とジェイド君より彼らに任せた方がいいわね。あの子たち、半端ないから」
「えっ?」
 ベリンダ学長は驚いている。
「あの子たちは、うちののセイバーズ候補生よ。……Sランクは、エーギルだけじゃないってこと」
 クロース学長が片目をつぶってみせた。

 観客席もざわめいている。腰を浮かせて逃げ出そうとする生徒もいた。
 来賓席はさすがに動じていない。セイバーズ協会の人たちだもんな。
 その中、意気揚々とメデューサの前にやってきたスノウ様とシェーン。

「よし、行くぞ!」
「応」

 二人は掛け声を掛け合う。
 シェーンが走り出し、メデューサに肉迫すると……。
「大盾!」
 叫ぶと同時に、その名の通り大きな盾状のシールド魔法が展開された。

「それ行け花火!!」
 と、今度はスノウ様がメデューサに指を突き出し叫ぶ。
 ……と、その指からでなく、スノウ様の背中から魔法が上空に何発も飛んだ!

「マジかよ!?」
 エドウィンが驚く。
 俺は、なぜ上空に? と思ったが、打ち上げた魔法が落ちていく。

 盾とメデューサがぶつかった瞬間。
 見事と言うほどに、落ちてきた魔法がメデューサに命中した。
 全員が驚いて叫んだ。
「スッゲェ!」
 基本、他人に対してそうは驚かないエドウィンですら感心している。

 メデューサは倒れた……が、飛んだ血しぶきが地面に落ちると、ヴァイパーとなって二人に襲いかかった。
「小盾、展開」
 シェーンが再び詠唱すると、小さな盾がいくつもスノウ様の周囲に展開される。
 そして、シェーン自身は剣を抜き、メデューサに斬りかかる。

「バンバン!」
 スノウ様は、シールドで阻まれているヴァイパーに向かって人さし指を突きつけると、今度こそ指から魔法が飛んだ。
 ……まさしく、目に負えないほどの速度で。
 ヴァイパーは見る間にスノウ様の魔法に当たり爆発して消えていった。
 シェーンがメデューサの背後に回りつつ、とうとう首を跳ねる。

「もういっちょ花火!」
 スノウ様が叫ぶ。
 シェーンはそのままバックステップで下がると、首が地面に落ちて跳ねた瞬間にスノウ様が最後に詠唱した魔法が着弾し、爆発して燃え上がった。
 それが消え、辺りはドロップアイテムだらけになる。

「…………スゲェ」
 エドウィンが呟いた。
 それを追いかけるように、大歓声が上がった。

 間違いなく、主役は彼女たち【キャットファイト】だ。

 ……俺は舐めていた。
 セイバーズの強さというものを。
 Sランクというものを。
 そして、チームというものを。
 これが、Sランクになると保証されているセイバーズの強さで、連携なのだ。
 俺たちが……俺とユーノ、俺とエドウィンがやってきたのなんて、連携じゃない。
 単に、二人で戦っていただけだ。

 スノウ様とシェーンは、間違いなく互いの呼吸を読み取って連携していた。
 シェーンがメデューサを止めた場所に、スノウ様の魔法が着弾していた。
 シールドは、ヴァイパーがぶつかった瞬間に壊れるようになっていた。

 シールド魔法は、実用向きではないと言われていた。当たるとどんな攻撃であれ阻まれるからだ。
 結界魔術ならば、魔力を消費するが外側のみ阻むことが出来て、内側からは攻撃出来る。シールドは、威力は強く魔力もそう使わないがすべての攻撃を弾く。
 詠唱も必要だし、あんなふうに戦いで使うには、かなりのセンスとイメージが必要なはずだ。

 そしてスノウ様の魔法。
 恐らく爆発魔法だろう。
 だけど、あんなふうに使うなんて知らない。
 普通は、一直線に飛び、当たると周辺を含めて爆発する。
 なのに、上から飛んだ。落ちていく軌道も読んでいた。
 ヴァイパーを倒した魔法も、爆発魔法の爆発威力を縮め、その分スピードをつけて、狙い撃ちしていた。
 完璧な魔法の操作だった。

「……これが、Sランクのセイバーズか……」
 俺が放心して呟くと、エドウィンが俺を睨んできた。
「大したこたねーよ! 俺らだってやれるわ! ……まだ、結成したばっかだからだ!」
 いや、アイツらも一年生でそこまでは変わらないはずだけど……って思ったが黙っていた。
 幼なじみかもしれないと思ったからだ。

 ……もしも、俺が幼なじみを信頼し、二人で戦うということにもっと重きを置いていたら、今ここにいる俺とは違う俺になっていたかもしれない。そんなことをぼんやりと考えた。
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