27 / 51
第27話 対抗戦②
しおりを挟む
スノウ様たちが名乗りを上げたことで、真っ先に座り直したのがイヤミー学長だ。
「ハッ! 実力もわからずいきがるアウズンブラアカデミーのチビッコか! 痛い目に遭ってこい! 時間稼ぎくらいは出来ればいいがな!」
「あァん?」
エドウィンが立ち上がった。
それを手で制したジェイド学長は、アウズンブラアカデミーの学長を見た。
「……クロース学長。どうしますか?」
クロース学長はジェイド学長を見て、椅子に座った。
「やる気になっているのなら、現役を離れている私とジェイド君より彼らに任せた方がいいわね。あの子たち、半端ないから」
「えっ?」
ベリンダ学長は驚いている。
「あの子たちは、うちのSランクのセイバーズ候補生よ。……Sランクは、エーギルだけじゃないってこと」
クロース学長が片目をつぶってみせた。
観客席もざわめいている。腰を浮かせて逃げ出そうとする生徒もいた。
来賓席はさすがに動じていない。セイバーズ協会の人たちだもんな。
その中、意気揚々とメデューサの前にやってきたスノウ様とシェーン。
「よし、行くぞ!」
「応」
二人は掛け声を掛け合う。
シェーンが走り出し、メデューサに肉迫すると……。
「大盾!」
叫ぶと同時に、その名の通り大きな盾状のシールド魔法が展開された。
「それ行け花火!!」
と、今度はスノウ様がメデューサに指を突き出し叫ぶ。
……と、その指からでなく、スノウ様の背中から魔法が上空に何発も飛んだ!
「マジかよ!?」
エドウィンが驚く。
俺は、なぜ上空に? と思ったが、打ち上げた魔法が落ちていく。
盾とメデューサがぶつかった瞬間。
見事と言うほどに、落ちてきた魔法がメデューサに命中した。
全員が驚いて叫んだ。
「スッゲェ!」
基本、他人に対してそうは驚かないエドウィンですら感心している。
メデューサは倒れた……が、飛んだ血しぶきが地面に落ちると、ヴァイパーとなって二人に襲いかかった。
「小盾、展開」
シェーンが再び詠唱すると、小さな盾がいくつもスノウ様の周囲に展開される。
そして、シェーン自身は剣を抜き、メデューサに斬りかかる。
「バンバン!」
スノウ様は、シールドで阻まれているヴァイパーに向かって人さし指を突きつけると、今度こそ指から魔法が飛んだ。
……まさしく、目に負えないほどの速度で。
ヴァイパーは見る間にスノウ様の魔法に当たり爆発して消えていった。
シェーンがメデューサの背後に回りつつ、とうとう首を跳ねる。
「もういっちょ花火!」
スノウ様が叫ぶ。
シェーンはそのままバックステップで下がると、首が地面に落ちて跳ねた瞬間にスノウ様が最後に詠唱した魔法が着弾し、爆発して燃え上がった。
それが消え、辺りはドロップアイテムだらけになる。
「…………スゲェ」
エドウィンが呟いた。
それを追いかけるように、大歓声が上がった。
間違いなく、主役は彼女たち【キャットファイト】だ。
……俺は舐めていた。
セイバーズの強さというものを。
Sランクというものを。
そして、チームというものを。
これが、Sランクになると保証されているセイバーズの強さで、連携なのだ。
俺たちが……俺とユーノ、俺とエドウィンがやってきたのなんて、連携じゃない。
単に、二人で戦っていただけだ。
スノウ様とシェーンは、間違いなく互いの呼吸を読み取って連携していた。
シェーンがメデューサを止めた場所に、スノウ様の魔法が着弾していた。
シールドは、ヴァイパーがぶつかった瞬間に壊れるようになっていた。
シールド魔法は、実用向きではないと言われていた。当たるとどんな攻撃であれ阻まれるからだ。
結界魔術ならば、魔力を消費するが外側のみ阻むことが出来て、内側からは攻撃出来る。シールドは、威力は強く魔力もそう使わないがすべての攻撃を弾く。
詠唱も必要だし、あんなふうに戦いで使うには、かなりのセンスとイメージが必要なはずだ。
そしてスノウ様の魔法。
恐らく爆発魔法だろう。
だけど、あんなふうに使うなんて知らない。
普通は、一直線に飛び、当たると周辺を含めて爆発する。
なのに、上から飛んだ。落ちていく軌道も読んでいた。
ヴァイパーを倒した魔法も、爆発魔法の爆発威力を縮め、その分スピードをつけて、狙い撃ちしていた。
完璧な魔法の操作だった。
「……これが、Sランクのセイバーズか……」
俺が放心して呟くと、エドウィンが俺を睨んできた。
「大したこたねーよ! 俺らだってやれるわ! ……まだ、結成したばっかだからだ!」
いや、アイツらも一年生でそこまでは変わらないはずだけど……って思ったが黙っていた。
幼なじみかもしれないと思ったからだ。
……もしも、俺が幼なじみを信頼し、二人で戦うということにもっと重きを置いていたら、今ここにいる俺とは違う俺になっていたかもしれない。そんなことをぼんやりと考えた。
「ハッ! 実力もわからずいきがるアウズンブラアカデミーのチビッコか! 痛い目に遭ってこい! 時間稼ぎくらいは出来ればいいがな!」
「あァん?」
エドウィンが立ち上がった。
それを手で制したジェイド学長は、アウズンブラアカデミーの学長を見た。
「……クロース学長。どうしますか?」
クロース学長はジェイド学長を見て、椅子に座った。
「やる気になっているのなら、現役を離れている私とジェイド君より彼らに任せた方がいいわね。あの子たち、半端ないから」
「えっ?」
ベリンダ学長は驚いている。
「あの子たちは、うちのSランクのセイバーズ候補生よ。……Sランクは、エーギルだけじゃないってこと」
クロース学長が片目をつぶってみせた。
観客席もざわめいている。腰を浮かせて逃げ出そうとする生徒もいた。
来賓席はさすがに動じていない。セイバーズ協会の人たちだもんな。
その中、意気揚々とメデューサの前にやってきたスノウ様とシェーン。
「よし、行くぞ!」
「応」
二人は掛け声を掛け合う。
シェーンが走り出し、メデューサに肉迫すると……。
「大盾!」
叫ぶと同時に、その名の通り大きな盾状のシールド魔法が展開された。
「それ行け花火!!」
と、今度はスノウ様がメデューサに指を突き出し叫ぶ。
……と、その指からでなく、スノウ様の背中から魔法が上空に何発も飛んだ!
「マジかよ!?」
エドウィンが驚く。
俺は、なぜ上空に? と思ったが、打ち上げた魔法が落ちていく。
盾とメデューサがぶつかった瞬間。
見事と言うほどに、落ちてきた魔法がメデューサに命中した。
全員が驚いて叫んだ。
「スッゲェ!」
基本、他人に対してそうは驚かないエドウィンですら感心している。
メデューサは倒れた……が、飛んだ血しぶきが地面に落ちると、ヴァイパーとなって二人に襲いかかった。
「小盾、展開」
シェーンが再び詠唱すると、小さな盾がいくつもスノウ様の周囲に展開される。
そして、シェーン自身は剣を抜き、メデューサに斬りかかる。
「バンバン!」
スノウ様は、シールドで阻まれているヴァイパーに向かって人さし指を突きつけると、今度こそ指から魔法が飛んだ。
……まさしく、目に負えないほどの速度で。
ヴァイパーは見る間にスノウ様の魔法に当たり爆発して消えていった。
シェーンがメデューサの背後に回りつつ、とうとう首を跳ねる。
「もういっちょ花火!」
スノウ様が叫ぶ。
シェーンはそのままバックステップで下がると、首が地面に落ちて跳ねた瞬間にスノウ様が最後に詠唱した魔法が着弾し、爆発して燃え上がった。
それが消え、辺りはドロップアイテムだらけになる。
「…………スゲェ」
エドウィンが呟いた。
それを追いかけるように、大歓声が上がった。
間違いなく、主役は彼女たち【キャットファイト】だ。
……俺は舐めていた。
セイバーズの強さというものを。
Sランクというものを。
そして、チームというものを。
これが、Sランクになると保証されているセイバーズの強さで、連携なのだ。
俺たちが……俺とユーノ、俺とエドウィンがやってきたのなんて、連携じゃない。
単に、二人で戦っていただけだ。
スノウ様とシェーンは、間違いなく互いの呼吸を読み取って連携していた。
シェーンがメデューサを止めた場所に、スノウ様の魔法が着弾していた。
シールドは、ヴァイパーがぶつかった瞬間に壊れるようになっていた。
シールド魔法は、実用向きではないと言われていた。当たるとどんな攻撃であれ阻まれるからだ。
結界魔術ならば、魔力を消費するが外側のみ阻むことが出来て、内側からは攻撃出来る。シールドは、威力は強く魔力もそう使わないがすべての攻撃を弾く。
詠唱も必要だし、あんなふうに戦いで使うには、かなりのセンスとイメージが必要なはずだ。
そしてスノウ様の魔法。
恐らく爆発魔法だろう。
だけど、あんなふうに使うなんて知らない。
普通は、一直線に飛び、当たると周辺を含めて爆発する。
なのに、上から飛んだ。落ちていく軌道も読んでいた。
ヴァイパーを倒した魔法も、爆発魔法の爆発威力を縮め、その分スピードをつけて、狙い撃ちしていた。
完璧な魔法の操作だった。
「……これが、Sランクのセイバーズか……」
俺が放心して呟くと、エドウィンが俺を睨んできた。
「大したこたねーよ! 俺らだってやれるわ! ……まだ、結成したばっかだからだ!」
いや、アイツらも一年生でそこまでは変わらないはずだけど……って思ったが黙っていた。
幼なじみかもしれないと思ったからだ。
……もしも、俺が幼なじみを信頼し、二人で戦うということにもっと重きを置いていたら、今ここにいる俺とは違う俺になっていたかもしれない。そんなことをぼんやりと考えた。
12
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる
六志麻あさ@10シリーズ書籍化
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。
強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。
死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。
再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。
※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。
※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!
悪役令嬢になった私は卒業式の先を歩きたい。――『私』が悪役令嬢になった理由――
唯野晶
ファンタジー
【シリアス悪役令嬢モノ(?)。分からないことがあるのは幸せだ】
ある日目覚めたらずっと大好きな乙女ゲーの、それも悪役令嬢のレヴィアナに転生していた。
全てが美しく輝いているセレスティアル・ラブ・クロニクルの世界。
ヒロインのアリシア視点ではなく未知のイベントに心躍らせる私を待っているのは楽しい世界……のはずだったが?
「物語」に翻弄されるレヴィアナの運命はいかに!?
カクヨムで先行公開しています
https://kakuyomu.jp/works/16817330668424951212
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる