国王陛下は悪役令嬢の子宮で溺れる

一ノ瀬 彩音

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「実は少し前のことですけれど、あの……、下着とかにお水を零しちゃって、洗おうと思ってお部屋に戻ったんです。そうしたら机の上に紙があって。それを読んでいるうちに悲しくなって泣いてしまいました」
エリザベッタが読んでいたというメモとは一体何なのか気になったので、
「見せてもらえるかな?」
聞くと意外とあっさり渡してくれたので、確認してみると、その内容は彼女が酷いいじめに遭っていたことが書かれており、助けて欲しいといった旨の内容が書かれている。恐らく書いたのは同じ人間であろうということが推測される。
読み終わった後にそれを持ってエリザベッタの部屋へと向かう。部屋に入ると相変わらずの格好で乳房を揺らしながら書類を見ている。この子は昔からずっと変わらない。初めて出会った時も同じ姿だったが、その時のことを今でも思い出すことがある。
それくらい昔に感じてしまうほど年月が経ってしまった。
「ちょっとそこに座ってくれるか?」
素直に従おうとするので早速本題に入る。
しかしいざ言おうとした時にふと自分の言葉が変に思われないか不安になり考え直す。
悩んだ末に結局ストレートに話すことに決めて告げる事にした。
エリザベッタもおそらく察したのだろう。真剣な表情でこちらを見ている。
一瞬沈黙が訪れる。そして先に口を開いたのはエリザベッタだった。
「私は今から何を言われるかだいたい分かっているつもりでいます。その上でお願いします、どうか私と結婚してください。貴方のお側で支えていきたいのです」
「ああ、もちろんだ」
差し出された手を取り、お互いに握り合う。
こうして俺達の新しい生活が始まったのだった。
王城での生活が始まって三日目の朝を迎えた。
エリザベットが妊娠したため、公務をしばらく休む旨を伝えなければならないと思い、
玉座の前までやって来た。
普段であれば謁見の間には大勢の人がいるものだが、今日は国王夫妻の私的な日であるので人はおらず、二人きりでの話し合いとなった。
さすがは一児の父であるが、女癖の悪さは治っていないらしいので油断はできないが。
「そろそろいいかしら」
「はいっ」
声をかけられて慌てて返事をする僕に、満足げに微笑んでから彼女は背筋を伸ばし胸を張るように顎を上げた姿勢のまま僕の前に立つ。綺麗な金糸のような髪はまるでカーテンのように視界を覆うほどでそれがゆっくりと流れ落ちてきていたから僕は目を細めて見上げることになる。真っ白なワンピースを着た彼女と目が合ったけど瞳に映るのはどこまでも深い黒だ……漆黒の闇という言葉がよく似合っているなと思う。彼女を構成する色味は銀か金色しかないように見えるからきっと今の状況は銀色の世界と言えるかもしれないなんて馬鹿げたことを考えてたらクスリとしてしまったせいだろうか?
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