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それもそのはず。
国王陛下が大事そうに抱えていた物は昨日自分が取ったあの大きな猫の人形であったからだ。
「それ……どうして貴方が持っているのかしら」
とエリザベッタは恐る恐る尋ねる。すると国王陛下は鼻息を漏らすと、
「君にプレゼントしたくてな。それともあれは不要か?」
と尋ねて来たのでエリザベッタは慌てて否定した。
すると国王陛下は嬉しかったのか破廉恥な行為を行い始める。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!
私はまだ仕事が残っていて……」
「ほう。そうなると明日は休日だから今夜は寝かせないつもりなのかな」
「そ、そういう訳じゃなくて……ひゃあんっ」
それから国王陛下はエリザベッタと一夜を共に過ごすと翌朝には疲労困ぱいでベットに横たわる彼女を見つめて呟く。
「全く。我が妃は強情なのだから」
国王陛下の言葉にエリザベッタは頬を膨らませると
「貴方が毎晩激しいからでしょうに」
と文句を口にしてそのまま眠りにつく。
「俺様」
で傲慢な性格の美形国王陛下は自分好みのヒロインを手に入れようと目論む。その思惑通りにエリザベッタは彼に気に入られたわけであるが彼女はなかなか素直になれずツンデレな態度を取ってしまう。
そんな彼女はある日、国王陛下に呼びつけられると彼の前で着替えるように命じられた。
戸惑いつつも言われた通りに従うと国王陛下は エリザベッタの胸元に手を添えるとそのまま揉み解していく。
突然の出来事にエリザベッダはパニックを起こしかけたが必死に抑え込んで国王陛下の行為を黙って受け入れる事にした。すると彼は彼女の耳を甘噛みし始める。
「やっ……」
普段の彼女なら絶対に口にしないような台詞が自然に出て来た。
「可愛いぞエリザベッタ」
そう言って国王陛下はエリザベッタの唇を強引に奪うとそのまま口付けを交わす。
何度も繰り返し行われるディープキスの最中で国王陛下はエリザベッタの突起を摘まんだ。
「ふぇっ!?」
いきなりの事でエリザベッタは変な声を出してしまう。
そこで国王陛下は意地悪っぽく笑いながら「どうだ。俺様に女にされる気分は」
と聞いてきた。
それに対しエリザベッタは顔を真っ赤にして俯く事しか出来なかった。
「ところでエリザベッタ。君は今日何時まで空いているかな?  もし良ければディナーでも一緒にどうかと思ってね」
国王陛下からの誘いにエリザベッタは即答できなかった。というのも最近の彼女は多忙を極めていたからである。そんな時に限って国王陛下が絡んでくるものだからストレスが溜まる一方であった。そんな事情を知ってか知らずか国王陛下は更にこんな事を言ってくる始末だ。
「別に無理にとは言わないが」
国王陛下の口からそんな言葉を耳にすれば断れる筈も無くエリザベッタは承諾する事にした。そして約束の時間になると国王陛が出迎えてくれた。
「ようこそおいで下さいましたエリザベッタ様」
恭しく頭を垂れる国王陛下に対しエリザベッタは戸惑ってしまう。
一体どういう風の吹き回しだと。
国王陛下の事は嫌いではない。寧ろ好きの部類だ。
だけど最近になって色々と行動が怪しいので警戒してしまう。
果たして今回もそのパターンではないかと。
しかし今日の国王陛下からは悪意を感じない。
それに最近は国王陛下とまともに会話していないのもあって
「いいわ。折角だし楽しませて貰おうかしら」
「ありがとうございます。さあこちらへ。エリザベッタをおもてなし致しますわ」
と丁寧にエスコートされて行くとそこは高級レストランであった。しかも個室タイプで既に食事の準備は出来ているようだ。
国王陛下に席に着くように促されるとエリザベッタはそのまま腰掛ける。
すると国王陛下はその隣に座った。
「国王陛下……近いわ」
エリザベッタは抗議の声を上げるが国王陛下は無視して食事を楽しみ始めた。
メニューの内容はコース料理でフルコースとなっており次々と運ばれて来る。どれも美味しい。そして国王陛下の表情を見ると彼はご機嫌な様子であった。
そしてデザートまで食べ終わると国王陛下は立ち上がる。
エリザベッタも同じように立ち上がった。
国王陛下は彼女の手を握り締めて言うと「エリザベッタ。君の部屋に行こう」
唐突なお願いに流石のエリザベッタも動揺を隠せなかった。
「今から……ですか」
エリザベッタは確認するように尋ねると国王陛下は強く肯定したので仕方無く付き合う事にした。
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