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「花を遅れたいのですか王子殿下? 女性に」

偶然私は見かけてしまった。
王子であるフィリスが見知らぬ女に花束の相談をしているのでした。
「殿下は女心が分からないと……奥方には聞けないのですか?」
「それは無理だな、聞いたってまともに取り合ってくれないのが目に見えるし、だったら別の人に相談を持ち掛ける方が遥かに効率が良さそうだからな」
私は、フィリス様がこんなに悩むとは思わなかった。
だから私は、驚いた。
いつも自信満々と行った態度を取るのに、この時ばかりは違って見えたから
でも私は、それを問い詰めようとした時、丁度、フィリス様が戻ってきた。
タイミングが悪いと思いながら、私は、平然な態度を装った。
本当は今にも不安に押し潰されそうなのに……。
ねぇ、貴方が離していた花を贈りたい女性って誰のこと? ねえ、教えなさいよね、この私が聞いて差し上げますわ。
ああ、イラつくな、本当に! 貴方があんな風に微笑むから、その相手ってば貴方にとって大事な人でしょ?  だって貴方の顔が緩んでいるもの。
それこそ、そんな姿を私には一度たりとも見せた事が無いのに。
どうして、貴方がそんな顔をしているの?
別に貴方が誰を愛そうが私には、どうせ、関係ないと貴方は
私に言った筈なのに……。
どうしてこうも、胸が苦しくなるのでしょう。
私は貴方にただただ、愛されたいだけなのに。
それでも、貴様は、私から離れようとするのね。

「殿下、いいえ、フィリス様」

「どうした? 呼び捨てで呼べといつも言っているだろう、全くお前は」

そんな事を言うと私の額を強めで指で弾いてくる。
痛いですけど、これすらも心地よく感じてしまう。
何故なら、今の私はフィリス様の物なのだと実感できるから、
だからこそ、私は、フィリス様から与えられる痛みですら嬉しく思います。
とはいえども、それも幻、何時かは終わる儚い夢に違いありません。

「どうせ離婚されるのでしょ? 最後にこのめかけに、妻らしい事を差せてはいただけませんか」

「……」

なぜ黙るのですか、そう言いかけて止めた。
だってフィリス様の辛くて苦しいといった顔を見たからだ。
私は、そっと彼の手を握った。
それだけでフィリス様は私の意図を読み取ったらしく、頭を軽くポンッと叩いてきた。
そうして私は、フィリス様の唇を塞いだ。
だってフィリス様は、きっと私を愛していないのだと分かった以上、私を繋ぎ止めるのはこの行為だけだから……。
それしか手段がないのだ。
私自身のプライドを捨ててまで私はフィリス様を欲しているのであります。
なのでフィリス様は私を受け入れてくださいました。

「何か勘違いをしていないか」

行き成り絞り出すような低い声に困惑します。

それはそれは、まるで蛇に睨まれた蛙のように私は恐怖を感じた。
今までの幸せな日常は終わりをつげる。
私は、ついに捨てられるのかと悟った。
私自身、自覚はあった。
私は、彼が大好きだ。
だからこそ、彼を独占したいと言う気持ちが強くて、彼に我ままを言い続ける日々は楽しかった。
私は、彼に嫌われないように気を付けて生活をしていたつもりだ。
そんな私に対して彼は呆れ果てた様子を見せていた。
そして私は、とうとう彼の逆鱗に触れた。
それを知った私は、怖かった。
このまま彼との結婚生活が続くと思った。

次の瞬間奪うように強く抱擁される。

「あんまり、ふざけた事を言うな、今日はお前の為に来ているんだぞ、それを最後だと」

私は、彼が何を言おうとしているのか分からなかった。
けれどもその次に発せられた言葉で私は理解しました。
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