上 下
15 / 39

15.

しおりを挟む
そう、これは侯爵が勝手にやった事……おかげて姉と婚姻する気満々だった彼=王子は目の前の妹で我慢しなければならなくなっちゃたのよね。
私はフィリス王子殿下に少しだけ同情した。
「だからって、送られて来たお前を無碍に出来無いし、さらに言えば腰入りしている女性をみすみす屋敷に帰すなどあっては
ならぬことだ」
と、王子は真剣な眼差しで私を見つめた。
そして、私の頬に手を添えてきた。
「俺はお前を愛している、初めて会った時からずっと好きだった」
王子は私に告白をしてくる。
私は、その言葉を聞くと嬉しさのあまりに泣き出してしまった。
「断じて言うぞ、お前は姉の代わりでは無い」
私に優しくキスをしながらそう口にすると、私の服を脱がせていった。
王子の衣服を脱がせると、お互い生まれたままの姿になる。
私の体を優しく抱き締めてくれたのであった。
私は、その温もりに思わず涙を流してしまう。
王子はそんな私を見て優しく頭を撫でてくれたのである。
それからしばらくして、王子と私は結ばれたのだった。
王子との初めての夜はそれは凄かった。
私達は何度も交わり合い、そして疲れ果ててしまったのである。
王子の腕の中で眠りにつくと、目が覚めた時には既に日が昇っていて、隣に王子はいなかった。
私は起き上がると辺りをキョロキョロと見渡す。
どうしよう? まさかこんなに早く起こされてしまうとは思わなかったわ。
私は慌てて着替えを済ませると部屋を出る。
すると、王子は既に目をさましていてソファーに座って本を読んでいたが、アンナを見るなり本を閉じ、笑顔を浮かべるとアンナの元に駆け寄ってきた。
そんな彼の行動に私は戸惑いを隠せない。
だって、今までのフィリス様はそんなことしなかったもの。
私が戸惑っていると、王子は私を抱き寄せるといきなりキスをしてきた。
しかも深い方のキスをされて私は頭がクラっとしてしまう。
やっと解放してくれたときには私は息が上がってしまい、足腰が立たなくなっていた。
「おはよう、よく眠れたか?  昨晩はとても激しかったものだから無理もない」
王子が耳元で囁くと私を横向きにして後ろから抱きしめる。
背中に感じる王子の体温がとても心地良い。
「あのぉ、私達結婚したんですよねぇ? なのに何でこんなことを?」
「結婚した以上、夫婦がする事と言えば一つだろう? でもそればかりはよくないか、アンナ君は俺と何かしたい事はないか」
「え? 急に言われても困ってしまいます」
「例えばこんな事をして欲しいとか、行きたい場所があるだとか」
「そんなこと言われましても……」
私は困惑していた。
だってそんなの考えたことも無かったから
「では、こういうのでもいいんだが」
王子様の唇が私の首に触れました。
それだけで身体中から力が抜けていきます。
「ちょ、ちょっと、こんなところで何をなさるんですの? それに、お仕事がありますから」
と、私は王子様を引き剥がそうとします。
「何を言う、我妻といる時間はいくらでもあるだろうに」
と、王子はそう言うと私を離してくれません。
私は諦めて王子様にされるがままになっていましたが、いつの間にやらドレスを着せられていました。
そしてそのまま寝室へと連れていかれてしまうと、王子は私をベッドの上に押し倒しました。
「きゃ、いけませぬ! このような場所で」
私は抵抗しました。
でも、抵抗も虚しくあっさりと組み敷かれてしまっています。
私が着ていたワンピースを捲り上げられてしまうと、下着をずり下ろされてしまいました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?

もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。 王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト 悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)

夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。 ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。  って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!  せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。  新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。  なんだかお兄様の様子がおかしい……? ※小説になろうさまでも掲載しています ※以前連載していたやつの長編版です

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈 
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

大好きだけど、結婚はできません!〜強面彼氏に強引に溺愛されて、困っています〜

楠結衣
恋愛
冷たい川に落ちてしまったリス獣人のミーナは、薄れゆく意識の中、水中を飛ぶような速さで泳いできた一人の青年に助け出される。 ミーナを助けてくれた鍛冶屋のリュークは、鋭く睨むワイルドな人で。思わず身をすくませたけど、見た目と違って優しいリュークに次第に心惹かれていく。 さらに結婚を前提の告白をされてしまうのだけど、リュークの夢は故郷で鍛冶屋をひらくことだと告げられて。 (リュークのことは好きだけど、彼が住むのは北にある氷の国。寒すぎると冬眠してしまう私には無理!) と断ったのに、なぜか諦めないリュークと期限付きでお試しの恋人に?! 「泊まっていい?」 「今日、泊まってけ」 「俺の故郷で結婚してほしい!」 あまく溺愛してくるリュークに、ミーナの好きの気持ちは加速していく。 やっぱり、氷の国に一緒に行きたい!寒さに慣れると決意したミーナはある行動に出る……。 ミーナの一途な想いの行方は?二人の恋の結末は?! 健気でかわいいリス獣人と、見た目が怖いのに甘々なペンギン獣人の恋物語。 一途で溺愛なハッピーエンドストーリーです。 *小説家になろう様でも掲載しています

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

ヤンデレお兄様から、逃げられません!

夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。 エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。 それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?  ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹

処理中です...