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「これは決まったこと、貴女は私の代わりに王子の元に嫁ぐのよ」
「どうしてお断りできないんですか?」
「断るなんて許さないしそんな事はさせない。そもそも私達は双子なんだよ? 同じ顔なんだし誰も気づかないよ?
私だってお化粧して誤魔化してるし。
そもそもアンナだって本当は結婚したいんでしょう? だって私よりもずっと前から好きだったもんねぇ~。王子の事」
そうお姉様が婚約していたのは私の初恋相手でもあった。
けれどもその人は私ではなく、私は幼い頃からフィリス王子が好きなのだけれどなかなか素っ気ない態度しか取る事が出来なかった。
だけどそんな私に彼は優しく接してくれたし他の人達と違って特別扱いはしないという姿勢を貫き通してくれていた。
けれどもそんな彼に対してもどうしてもつんけんとした対応を取ってしまいがちな私はそんな自分が嫌いで仕方が無かった。そんな折、フィリス王子の方からも私に話しかけてくれて、それからというもの少しずつではあるが、会話が出来るようになっていった。
そしていつの間にやら恋に落ちていて私は、彼に恋をしていたのだ。
しかし、私はその事に気づいておらず、いつも通りの冷たい口調で返事をしてしまったりして、その度に後悔をする事を繰り返していた。
けれども彼はその事について一切咎めることはせずいつも笑顔で答えてくれたのだ。
そして遂には私が心を開いてくれていることを察してくださったのか次第には二人きりの時にはお互いを名前で呼ぼうと提案してきたのだ!
それはもう凄く嬉しすぎてその場で泣いてしまったほどだ!
だがその時に、何故か私の身体は彼の方へと向かっていき抱きついていて、しかも涙まで流していてその事に驚いてしまっていた。
そして彼の胸の中で泣くという行為をしてしまい、その事で頭がいっぱいになってしまい、冷静さを欠いてしまっていた。
その為に私の口から発せられた言葉は全く予想していない事であり、自分で自分が何を言っているのか分からなくなっていた。ただ分かる事と言えば彼が困惑しているという事だけ、けれども私の気持ちだけは伝えたいという強い思いがあった為にそのまま続けることにした。
私は必死に声を出して伝えるもののやはり噛んでしまう。
その事に恥ずかしくなりながらもなんとか最後まで言葉を紡ぎ出すことが出来た。
すると私の視界に映っている彼の耳元まで真っ赤に染まっていく。
その事に、私の心臓はさらに高鳴って行く。
それと同時に、今までに感じたことのない感情に囚われて行く。
そう、私は、その事に戸惑いつつもなんとか耐えようとしたものの結局我慢出来ずに思わず抱きついてしまう。
その事に驚いたのか身体が硬直していたもののやがてゆっくりと私の背中に手を回してくれる。
私の頭の中には幸せという言葉以外何も浮かんでは来ず完全に思考停止状態に陥っていた。
そう、私は、この時、彼の腕の中がどれほど心地よく、安心感を覚える場所なのかを実感したのであった。
そして、暫くの間、お互いに無言のまま時間だけが過ぎていく。
私は、彼の温もりを感じながら、この幸せな時間を噛み締めるように堪能し続ける。
けれども、いつまでもそうは言ってられない。
私にはしなければならないことがある。
それは彼を困らせないようにするという事だ。
そうしなければきっと嫌われてしまうだろう。
それだけは避けたいので、どうにか彼の事を説得する方法を考える。
だが、
「怒らないでください、私がお姉様の分も尽くすので……」
それを聞いた瞬間に、フィリス王子が固まる。
「どうしてお断りできないんですか?」
「断るなんて許さないしそんな事はさせない。そもそも私達は双子なんだよ? 同じ顔なんだし誰も気づかないよ?
私だってお化粧して誤魔化してるし。
そもそもアンナだって本当は結婚したいんでしょう? だって私よりもずっと前から好きだったもんねぇ~。王子の事」
そうお姉様が婚約していたのは私の初恋相手でもあった。
けれどもその人は私ではなく、私は幼い頃からフィリス王子が好きなのだけれどなかなか素っ気ない態度しか取る事が出来なかった。
だけどそんな私に彼は優しく接してくれたし他の人達と違って特別扱いはしないという姿勢を貫き通してくれていた。
けれどもそんな彼に対してもどうしてもつんけんとした対応を取ってしまいがちな私はそんな自分が嫌いで仕方が無かった。そんな折、フィリス王子の方からも私に話しかけてくれて、それからというもの少しずつではあるが、会話が出来るようになっていった。
そしていつの間にやら恋に落ちていて私は、彼に恋をしていたのだ。
しかし、私はその事に気づいておらず、いつも通りの冷たい口調で返事をしてしまったりして、その度に後悔をする事を繰り返していた。
けれども彼はその事について一切咎めることはせずいつも笑顔で答えてくれたのだ。
そして遂には私が心を開いてくれていることを察してくださったのか次第には二人きりの時にはお互いを名前で呼ぼうと提案してきたのだ!
それはもう凄く嬉しすぎてその場で泣いてしまったほどだ!
だがその時に、何故か私の身体は彼の方へと向かっていき抱きついていて、しかも涙まで流していてその事に驚いてしまっていた。
そして彼の胸の中で泣くという行為をしてしまい、その事で頭がいっぱいになってしまい、冷静さを欠いてしまっていた。
その為に私の口から発せられた言葉は全く予想していない事であり、自分で自分が何を言っているのか分からなくなっていた。ただ分かる事と言えば彼が困惑しているという事だけ、けれども私の気持ちだけは伝えたいという強い思いがあった為にそのまま続けることにした。
私は必死に声を出して伝えるもののやはり噛んでしまう。
その事に恥ずかしくなりながらもなんとか最後まで言葉を紡ぎ出すことが出来た。
すると私の視界に映っている彼の耳元まで真っ赤に染まっていく。
その事に、私の心臓はさらに高鳴って行く。
それと同時に、今までに感じたことのない感情に囚われて行く。
そう、私は、その事に戸惑いつつもなんとか耐えようとしたものの結局我慢出来ずに思わず抱きついてしまう。
その事に驚いたのか身体が硬直していたもののやがてゆっくりと私の背中に手を回してくれる。
私の頭の中には幸せという言葉以外何も浮かんでは来ず完全に思考停止状態に陥っていた。
そう、私は、この時、彼の腕の中がどれほど心地よく、安心感を覚える場所なのかを実感したのであった。
そして、暫くの間、お互いに無言のまま時間だけが過ぎていく。
私は、彼の温もりを感じながら、この幸せな時間を噛み締めるように堪能し続ける。
けれども、いつまでもそうは言ってられない。
私にはしなければならないことがある。
それは彼を困らせないようにするという事だ。
そうしなければきっと嫌われてしまうだろう。
それだけは避けたいので、どうにか彼の事を説得する方法を考える。
だが、
「怒らないでください、私がお姉様の分も尽くすので……」
それを聞いた瞬間に、フィリス王子が固まる。
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