悪役令嬢は姉の身代わりに結婚させられて王子に溺愛される

4.

私の家は代々続く名家であった為、小さい頃から礼儀作法を徹底的に叩き込まれ、社交界でも通用するように厳しく教育されていた。
その事に嫌気が差した私は、ある日こっそり屋敷から抜け出す。
だが、それは失敗に終わったどころか更なる悲劇を生むことになる。
それが私の人生を変える大きな分岐点となったのだから……。
私は、生まれて初めての外の世界を見て、とても感動したのをよく覚えています。
けれども、それは長く続きませんでした。私は姉と違い秀才でなかったので家庭教師の先生方に何度も叱られていたんです。
それでも姉の様に出来なければ意味がないと言われ続けました。
そんなある日、姉のメリアナに呼ばれました。
姉の部屋に呼ばれたので部屋に入る前に姉の部屋の前を通りかかる。
姉の部屋には灯りが点いていた。
どうやらまだ起きているみたい。
そんなことを考えているうちに部屋の前までたどり着くと、姉が扉越しに話掛けて来たので、それに応じる。
「夜分遅くに失礼致します。お呼びでしょうか？お嬢さま。」
「えぇ、貴女に大事な用があるの。入っても良いかしら？ 中に入ってちょうだい。」
「はい、分かりました。お邪魔いたします。お邪魔をしては悪いと思い、入室する前にお伺いしました。お気に障られたのでしたら謝ります。本当にすいません」
「いえ、別にそこまで怒ってはいないわよ。それに、これから大切なお話し合わなければいけない事があるんだものね。仕方のないことだわ。
それに、もう直ぐ寝ようとしていたところだったから、丁度良かったわよ。
それに貴女も、もう、子供ではないのでしょう？ なら自分の行動をきちんと把握出来る筈よね？ まぁ、とりあえず、そこに座りなさい。飲み物を用意するわね。紅茶で良いわね？あとお菓子も用意するわ。食べれるでしょう？それと、遠慮はいらないから、それに、私は久々に妹と話せて嬉しいし、何よりこうして二人でいるのって何年ぶりなのかしら？ とにかく久し振りで楽しいからこのままでも構わないでしょう？ ほら、もう準備出来たから座って飲みましょう。それで？ 何か相談でもあるのかしら？ 良ければ聞くけど？ 勿論無理に聞き出そうとは思わないけど。ほら？ 早くしないと冷めてしまうでしょう？ せっかく用意したものが無駄になってしまうじゃない。」
彼女の言う通り、もうすっかりと冷え切っていたけども味に関しては特に問題は無かった。美味しくいただけましたし。
「お姉様、私はお姉様のように秀才ではないのです。いくら努力しても天才であるお姉様の足元にも及ばない。だからこそ私はお父様の言いつけを守り勉学に励んできた。ですけどどれだけ頑張っても結果が出なかったんです。ですから私は天才である貴方の婚約者として相応しいのか不安で仕方がなかったんです。でも、そんな時に貴方から婚約を申し込まれたんです！嬉しかったんです！ なのになんでお姉様の婚約者の元に嫁がなければならないのですか？！ 私は絶対に認めない！ あんな人と結婚するくらいならばお姉様に一生お仕えさせていただきます！ どうかお願いいたします！ お姉様ならいくらでも好きなだけこき使って下さって構いません！ どうかお姉様の婚約者の元へ行かないで下さい！」
彼女は姉であるメリアナに懇願するかのように声を振り絞るとその場に崩れ落ちてしまった。
その姿を見た私は思わず駆け寄り彼女を支えると共に姉へと目を向けた。
姉は少しだけ悲しそうな表情を見せた後で、妹の頭を撫で始める。
その様子を見た姉は私に問いかけて来る。