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その気持ちを抑えきれず、私は彼に抱きつき、そのまま唇を重ねた。
最初は軽く触れるだけの軽いものから始まり、次第に深いものへと変わっていく。
互いの舌を絡ませ合い、唾液を交換し合いながら、夢中で求め合った。
やがて、息苦しくなってきたところで、名残惜しさを感じつつも唇を離すと、銀色の糸を引いた。
それを手の甲で拭いつつ、乱れた呼吸を整える間もなく、私は言った。
「もっとキスして欲しい……」
「いいよ、いくらでもしてあげる」
そう言って、彼は再びキスをしてくれた。
最初は軽く触れ合うだけだったが、次第に激しくなっていくにつれて、頭の中が真っ白になっていくのを感じた。
やがて、意識が遠のいていくような感覚に襲われながらも、私は必死に彼にしがみついていた。
どのくらい経っただろうか、不意に口を離されて、そこでようやく我に返ることができたのだが、
「まだ終わりじゃないよ」
と言われてしまい、結局最後まで付き合うことになってしまったのである。
「咲良、ゲームセンターにいるが、そろそろ違う場所へ行かないか?」
「え、でも、せっかく来たのに、いいんですか?」
「構わないよ、それに、君と一緒ならどこでも楽しいから、ね?」
そう言って、彼は私の手を取り、そのまま歩き出す。
私も、そんな彼の後について行くのだった。
それから、二人で色々な場所を巡った。
カラオケ、ボーリング、ボウリング、バッティングセンター、
映画館、ショッピングモール、レストラン、公園、水族館、遊園地、etc. とにかく、思いつく限りの場所へ行き、遊んだ。
その間、ずっと手を繋いだままだったので、周囲の人たちからは、恋人同士だと勘違いされていたようだ。
だけど、私にとってはその方が都合がいいので、あえて否定しなかった。
むしろ、積極的に見せつけるように振る舞っていたかもしれない。
実際、すれ違う人の中には、驚いた表情でこちらを見つめている人もいれば、微笑ましそうに笑っている人もいるし、
中には嫉妬の眼差しを向けてくる女性もいたが、特に気にすることなくスルーしていた。
それよりも、彼と手を繋いでいる方が大事だからだ。
「咲良、大事なお話があるんだ」
突然、彼が立ち止まって真剣な口調で言ってきたものだから、こちらも緊張してしまう。
一体、どんな内容なのだろうか。
不安に思いながらも、彼の言葉を待つことにした。
「俺は今、印刷会社の社長なんだが、そのな、ぜひ君には俺の為に専属秘書になって欲しい」
「えっ、私がですか!?」
まさかの展開だった。
今までの人生の中で、こんなにも嬉しい出来事はなかったと思う。
それだけ、今の一言には衝撃的だったの。
「駄目か?」
「いえ、あの、そういう訳ではなくてですね、えっと、どうして私なんかを? って思いまして」
「そんなの決まっているじゃないか、今、俺と君は恋人同士だし、同棲もしている。
それだけじゃない、愛し合う存在だからな」
そう言いながら、抱き締められる。
もう逃げられないようにしっかりと抱きしめられて、耳元で囁かれる。
その言葉は、まるで呪文のように私の心を支配していくようで、抗えないほどの魅力がある。
気が付けば、自然と自分から抱きついてしまっていた。
そうすると、彼は満足そうに微笑んでくれた。
その表情を見ると、胸の鼓動が激しくなるのが分かる。
きっと、顔も真っ赤になっているだろう。
そう思うと余計に恥ずかしくなってきて、俯くことしかできない。
最初は軽く触れるだけの軽いものから始まり、次第に深いものへと変わっていく。
互いの舌を絡ませ合い、唾液を交換し合いながら、夢中で求め合った。
やがて、息苦しくなってきたところで、名残惜しさを感じつつも唇を離すと、銀色の糸を引いた。
それを手の甲で拭いつつ、乱れた呼吸を整える間もなく、私は言った。
「もっとキスして欲しい……」
「いいよ、いくらでもしてあげる」
そう言って、彼は再びキスをしてくれた。
最初は軽く触れ合うだけだったが、次第に激しくなっていくにつれて、頭の中が真っ白になっていくのを感じた。
やがて、意識が遠のいていくような感覚に襲われながらも、私は必死に彼にしがみついていた。
どのくらい経っただろうか、不意に口を離されて、そこでようやく我に返ることができたのだが、
「まだ終わりじゃないよ」
と言われてしまい、結局最後まで付き合うことになってしまったのである。
「咲良、ゲームセンターにいるが、そろそろ違う場所へ行かないか?」
「え、でも、せっかく来たのに、いいんですか?」
「構わないよ、それに、君と一緒ならどこでも楽しいから、ね?」
そう言って、彼は私の手を取り、そのまま歩き出す。
私も、そんな彼の後について行くのだった。
それから、二人で色々な場所を巡った。
カラオケ、ボーリング、ボウリング、バッティングセンター、
映画館、ショッピングモール、レストラン、公園、水族館、遊園地、etc. とにかく、思いつく限りの場所へ行き、遊んだ。
その間、ずっと手を繋いだままだったので、周囲の人たちからは、恋人同士だと勘違いされていたようだ。
だけど、私にとってはその方が都合がいいので、あえて否定しなかった。
むしろ、積極的に見せつけるように振る舞っていたかもしれない。
実際、すれ違う人の中には、驚いた表情でこちらを見つめている人もいれば、微笑ましそうに笑っている人もいるし、
中には嫉妬の眼差しを向けてくる女性もいたが、特に気にすることなくスルーしていた。
それよりも、彼と手を繋いでいる方が大事だからだ。
「咲良、大事なお話があるんだ」
突然、彼が立ち止まって真剣な口調で言ってきたものだから、こちらも緊張してしまう。
一体、どんな内容なのだろうか。
不安に思いながらも、彼の言葉を待つことにした。
「俺は今、印刷会社の社長なんだが、そのな、ぜひ君には俺の為に専属秘書になって欲しい」
「えっ、私がですか!?」
まさかの展開だった。
今までの人生の中で、こんなにも嬉しい出来事はなかったと思う。
それだけ、今の一言には衝撃的だったの。
「駄目か?」
「いえ、あの、そういう訳ではなくてですね、えっと、どうして私なんかを? って思いまして」
「そんなの決まっているじゃないか、今、俺と君は恋人同士だし、同棲もしている。
それだけじゃない、愛し合う存在だからな」
そう言いながら、抱き締められる。
もう逃げられないようにしっかりと抱きしめられて、耳元で囁かれる。
その言葉は、まるで呪文のように私の心を支配していくようで、抗えないほどの魅力がある。
気が付けば、自然と自分から抱きついてしまっていた。
そうすると、彼は満足そうに微笑んでくれた。
その表情を見ると、胸の鼓動が激しくなるのが分かる。
きっと、顔も真っ赤になっているだろう。
そう思うと余計に恥ずかしくなってきて、俯くことしかできない。
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