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「……どうした? 咲良、もしかして感じているのかい?」
そう言われて恥ずかしくなった私は顔を背けようとするけど顎を掴まれてしまい動かせません。
それどころか無理矢理視線を合わせられてしまいます。
そして、耳元で囁かれます。
「……可愛いなぁ、本当に君は最高だよ」
「恥ずかしいので服を着させて、それに家族が戻って来るとまずいですし」
と言うと、渋々といった様子でしたが、着せてくれました。
その後、二人でソファーへ移動して座り、話をすることになりました。
最初は何気ない世間話をしていたのですが、途中で会話が途切れてしまうと沈黙が流れ始めます。
気まずい雰囲気の中、どうしようかと思っていると、ふいに手を握られたので顔を上げると、
こちらを見つめている彼と目が合ったのです。
その瞬間、心臓が跳ね上がるような感覚に襲われたかと思うと、顔が熱くなるのを感じたので、
「どうしたんですか?」
と、尋ねると、彼は、少し照れたような表情で、こう答えた。
「なんでもない、ただ、君が可愛かったから、つい、手を出したくなったんだ」
その言葉に、ますます顔が熱くなっていくのを感じ、俯いてしまう。
そして、暫く無言の時間が続くと、彼が、おもむろに口を開いた。
「そろそろ、帰ろうかな、明日も仕事だしね」
そう言って、立ち上がろうとする彼の袖を咄嗟に掴んで、引き止めました。
そうすると彼は、こちらを振り返り、不思議そうな顔をして、問いかけてきました。
「どうしたんだい? 何か、用でも、あるのかな?」
「あの、その、えっと、ですね」
うまく言葉が出てこなくて、口ごもってしまう。
そんな私の様子を見て、彼は、優しく微笑んで、私の頭を撫でてくれる。
それだけで、とても幸せな気分になって、自然と笑みがこぼれてしまう。
それから、暫くの間、頭を撫でられて、幸せに浸っていたのですが、
ふと、我に返って、今の状況を思い出し、恥ずかしくなって俯く。
それから、暫くの間、お互いに何も言えずに、黙り込んでしまいましたが、先に彼が口を開きました。
「そろそろ帰るよ、また明日、会社でね、おやすみ、咲良、愛してるよ」
「はい、私も貴方を愛しています、おやすみなさい、気をつけて帰ってくださいね」
そう答えると、彼は嬉しそうに微笑み、私の頬にキスをしてくれた後、部屋を出て行きました。
一人残された私は、しばらく呆然としていましたが、ハッと我に返った途端、恥ずかしさが込み上げてきて、
その場に蹲ってしまった。
(うぅ~、恥ずかしすぎるよぉ……)
そんな事を考えている間にも時間は過ぎていき、気がつくと深夜になっていた。
流石にこれ以上起きているわけにもいかないので、寝る事にしたのだが、なかなか寝付けず、悶々としたまま朝を迎えたのだった。
翌朝、目を覚ますと時計の針は午前9時過ぎを指していた。
いつもならとっくに家を出ている時間だ。
そう言われて恥ずかしくなった私は顔を背けようとするけど顎を掴まれてしまい動かせません。
それどころか無理矢理視線を合わせられてしまいます。
そして、耳元で囁かれます。
「……可愛いなぁ、本当に君は最高だよ」
「恥ずかしいので服を着させて、それに家族が戻って来るとまずいですし」
と言うと、渋々といった様子でしたが、着せてくれました。
その後、二人でソファーへ移動して座り、話をすることになりました。
最初は何気ない世間話をしていたのですが、途中で会話が途切れてしまうと沈黙が流れ始めます。
気まずい雰囲気の中、どうしようかと思っていると、ふいに手を握られたので顔を上げると、
こちらを見つめている彼と目が合ったのです。
その瞬間、心臓が跳ね上がるような感覚に襲われたかと思うと、顔が熱くなるのを感じたので、
「どうしたんですか?」
と、尋ねると、彼は、少し照れたような表情で、こう答えた。
「なんでもない、ただ、君が可愛かったから、つい、手を出したくなったんだ」
その言葉に、ますます顔が熱くなっていくのを感じ、俯いてしまう。
そして、暫く無言の時間が続くと、彼が、おもむろに口を開いた。
「そろそろ、帰ろうかな、明日も仕事だしね」
そう言って、立ち上がろうとする彼の袖を咄嗟に掴んで、引き止めました。
そうすると彼は、こちらを振り返り、不思議そうな顔をして、問いかけてきました。
「どうしたんだい? 何か、用でも、あるのかな?」
「あの、その、えっと、ですね」
うまく言葉が出てこなくて、口ごもってしまう。
そんな私の様子を見て、彼は、優しく微笑んで、私の頭を撫でてくれる。
それだけで、とても幸せな気分になって、自然と笑みがこぼれてしまう。
それから、暫くの間、頭を撫でられて、幸せに浸っていたのですが、
ふと、我に返って、今の状況を思い出し、恥ずかしくなって俯く。
それから、暫くの間、お互いに何も言えずに、黙り込んでしまいましたが、先に彼が口を開きました。
「そろそろ帰るよ、また明日、会社でね、おやすみ、咲良、愛してるよ」
「はい、私も貴方を愛しています、おやすみなさい、気をつけて帰ってくださいね」
そう答えると、彼は嬉しそうに微笑み、私の頬にキスをしてくれた後、部屋を出て行きました。
一人残された私は、しばらく呆然としていましたが、ハッと我に返った途端、恥ずかしさが込み上げてきて、
その場に蹲ってしまった。
(うぅ~、恥ずかしすぎるよぉ……)
そんな事を考えている間にも時間は過ぎていき、気がつくと深夜になっていた。
流石にこれ以上起きているわけにもいかないので、寝る事にしたのだが、なかなか寝付けず、悶々としたまま朝を迎えたのだった。
翌朝、目を覚ますと時計の針は午前9時過ぎを指していた。
いつもならとっくに家を出ている時間だ。
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