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「おっおい、お前!  いい加減に落ち着け!」
と言い放つのだが、残念なことに完全に興奮しきっており言葉が届いている感じは無かった。
そこでもう一度叫ぶ。
今度は強めの語調でな。
だがそれで反応を見せてくれるのなら俺の苦労は存在しないわけだ。
だから更に続けて叫び上げると今度は効果が有りようでゆっくりとこちらを眺めた後に
大きく口を開けて何かを放つ。
だが、それが発射されてすぐのことだろうか、俺はすかさず手を伸ばすと共に呪文を唱えて結界を作りあげて、
さらには防御するための壁を作り出した。
その直後のことだ。
一瞬の事でしかなかったが何か強い力で叩きつけられる。
「―――~ッツ」
と声にならない苦悶を漏らすと目の前で大きな破裂が起きると共に煙が立ち込める。
どうやら何とかなったようであるが衝撃はかなり強く痛みに耐えきれず吹き飛ばされてしまい地面に
倒れ込む事となり、その拍子に打ち付けた肩を強く打ち付けてしまう事となった。
ただ、それよりも早く駆けつけてくれていた妻達に支えてもらった為に意識を失うことはなかった。
「全く、無茶をするからこういうことになるんです。大丈夫ですか?」
「すまない、助かる。それよりアイツの様子を見る限りはまだ生きているみたいだな」
そう口にしつつ体を起こしつつ視界を確保しているとアイリが抱き着いてきて頬にキスされる。
それを見守っていた他の妻達は羨ましそうな表情をしては悔しがったりしていたのだが……。
ふとその時だ。
背中辺りに強い寒気が走る。
すぐに振り向いて見据えるのは先程まで存在していたはずのドラゴンがいないという事実だ。
どこへ行ったというのか。
周囲を見渡すも姿を確認する事は出来ず、代わりに見えたものと言えば……。
「あっれぇえーおかしいですねえ。私の魔力を受けて生きていた人を見たのは初めてですよ。
貴方なかなか面白い方でしたが私の姿を確認できたのならば運が
良いという他ありませんねぇ……私自らあなたを殺して差し上げましょう!」
などと言っていたので間違いなくあの化け物で間違い無いだろう。
しかもそれだけではなかったのだ。
他にも何人かいるのが見えるのでそちらは敵側の人間である事に違いないと
確信した俺はすぐさま行動を起こした。
それはつまりリーザロッテ達を守るためである。
咄嵯に近くにいたアイラ達を巻き込んで彼女を隠したのだ。
「旦那様!?」
いきなり押し倒されたことに驚いては混乱している様子で声を
掛けられるものの気にしている場合ではないので
とにかく時間を稼ぐ事に集中する事を決めたわけだ。
そんな彼女達を守るべく、
「少し我慢していてくれ。あちらの連中はすぐに始末しておく」
と伝えたのだが彼女は戸惑ったように俺の顔とその後方を何度か見ていた。
それは何故かといえばあのドラゴンが空を飛びながら再び襲い掛からんと
口を大きく開いて突っ込んできたからに違い無かった。
迫り来るそれに対してまず最初に唱えたのは氷の刃を複数生み出す為の魔術であり、
「行け、アイスカッター」
などと適当に発動する事を告げるように発しつつ狙いを定める。
ただ今回は今までと違って本気で撃ち落とすためにも一筋縄で行かなかった。
放った複数のそれは簡単に弾き返されてしまうほどに強力になっていたからだ。
やはりこのレベルになると俺一人の能力だけでは足りず補助してもらう必要があったのである。
ただしそれを補う術が今この場において用意されていないわけではなく……。
実はその方法と言うのは彼女達も習得出来るものであった。
それについては事前に皆に相談してあるので特に反対を受ける事はなかったし、
また、ルティアナに関しては自分がその立場である事を理解していることもあって受け入れてくれた。
そのため今は全員がそれを身に付けており戦闘態勢に入っていたりする。
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