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そんな中俺宛に知らない国の兵士から早馬が来る。
「ユウト勇者のお宅ですか?」
「貴方は?」
「私はリゼンロマルト女王の護衛兵をしております、何卒女王をお助け下さい」
「えーと、リゼンロマルトって誰?」
「……おかしいな? 元勇者パーティーを追放されたユウト様・・・・・・・・・・・・・・・・・であらせられますよね?」
「……、お前の主って気が強い?」
「ええ、めちゃくちゃ」
「回復魔法の最高位魔法を平気で放てる?」
「えーと、確か、ホーリージャッチメントレインですよね?」
「ああ、」
「はい、強いお方、祖国の誇りです」
なんで、よりによってそんなところに転移しているんだ?
「彼女は元気か?」
「ええ、女王陛下にあらせられましてはとても元気でございます」
まあ、元気なのはいいが、今頃あの二人は大丈夫か、
心配になって来たぞ、俺は、あの姉妹の安否を確かめるため、
兵士からの情報を聞き出した後兵士の言っていた通り
俺が勇者をしていた頃のパーティーメンバーの一人であり、
俺と旅をしたことのある賢者セシリアが俺の目の前に現れると、 セシリアは俺に、
「この国を救いにやって来てくれない?」
と言ってきた。
俺はその申し出を断り、セシリアにどうしてそのようなことを言ったのか
聞くとセシリアがこの国に訪れる前に起きた出来事と俺が勇者パーティーに
いた頃からの疑問に答えてくれた。
セシリアの話を聞いて俺は少し納得する部分もあった。
セシリアは自分がどうしてこの国に訪れたのかその理由を語るのだった。
俺はそんなセシリアに対して自分の正体を伝えることにする。
そして俺の正体を明かすのと同時にミリアとリリスとの関係性を語っていくのである。
ミリアもリリスも驚いていて俺は自分が勇者パーティーにいたことを告げると共に
ミリア達に自分がどうしてこの世界に飛ばされたのかを説明した後に俺はセシリアに、
この世界で俺が出会った人物について語りながら俺の目的とミリアとリリスの関係に
ついて話を始める。
俺はセシリアにこの国に来た理由について尋ねると、セシリアは自分の故郷を魔王の手
から守るために戦っているのだと教えてくれた。魔王が俺達勇者が倒した魔王と
同じ奴なのかという疑念を抱いていたが魔王という言葉を聞くと自然と体が
反応してしまう勇者時代の癖のようなもので、頭で考える前に
拳を強く握りしめてしまっていた。
俺は心の中で今の自分に言い聞かせる。
もう自分は勇者ではないのだと、これから平和に過ごすためにも余計なことには
関わるべきじゃないと。
それでも俺は知りたかった。
あいつのことだからきっと馬鹿みたいに笑みを浮かべて魔王なんていう存在と戦っている
ことだろう。
そして今もその魔王とかっていう得体の知れないものを相手にふざけているに違いない。
魔王は人間を殺すために魔物を送り込んでくるようなことを言ってたが、
それが本当なのかどうかも俺にはわからないし、その情報が正しいとして人間が
その魔族と呼んでいる者達との戦争はどちらが勝っていてもおかしくはない。
しかし戦争は数が多くて強力な武器を持っている人間の方に軍配が上がる。
それぐらいは俺でも分かる。
いくら俺が世界最強だといっても数の暴力の前では弱い。
だが、どんな形であろうと勝利者になり得たものが本当の勝者だ。
俺がその戦争でどちらの立場に立ったとしても、俺は俺自身が正しかったと言える選択をする。
それが例え悪だと言われても俺は、後悔のない人生を歩んでいきたいと 思う。
だからこそ、俺は知らなくてはならない。
俺の知る中でこの世界に存在するたった一人の愛しい妻のことを……
転移した時に違う土地に降ろされてしまったのだろう。
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