元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

237.

（あちゃ～完全にキレてやがるか？こりゃ俺でも止められそうにないな。それにミリアが本気で怒った
姿を見るのは初めてだな。
まぁ、それもそうか。俺に捨てられたと思ったのだろう。それで俺が目の前に現れた事で
嬉しさが溢れ出したのかな？）
俺はそう考えながら二人のやり取りを見守っていると いつの間にか二人が喧嘩を始めて
いるのが分かる。
そうして二人は殴り合いを始めてしまう。俺はその様子を呆れた様子で見ていた。
（まったく、子供みたいな奴等だな。
だけどこれでミリアは大丈夫そうだ。
後はあの二人に任せて俺が 一人で行動できる。
ここからが本番なのにここで怪我なんかしちまった日には 元の世界に戻るのがもっと
遅れることに成り兼ねないし慎重に行動する必要がある。
だからこそ俺とミリアの装備を充実させないと駄目なんだがどうするか……。）
俺はそんなことを考えながら、俺とミリアが使うための武器を買うべく街に引き返した。
俺はミリアが使っている槍が壊れかけていることに気付き予備として持っていたもう一本の槍を
手渡すとミリアはそれを使って戦ってくれと頼んできた。
俺はそれを聞き入れ早速試しにモンスターを狩っていくことにした。
すると俺の思惑通り俺が思った通りに動いてくれる。そのおかげで俺はミリアの戦い振りを間近
で見ることに成功したのである。
（ふむ。中々どうして。思っていた以上にやるじゃないか。
この様子なら心配する必要も無いみたいだし安心して任せられそうな雰囲気を出している。
ただ、まだまだ俺が鍛えたほうが良さそうな部分もあるけどそれは俺のスキルを使えばいい。
とりあえずは当面の目的は果たせたのでそろそろ切り上げて家に帰るとしよう。
そう思い俺はミリアに声を掛けようとした瞬間。
何かが俺の耳をかすめた。
そして背後に視線を向けるとそこには明らかに俺に対して敵意を向けたゴブリンが立っていた。
そして俺は咄嵯に回避することに成功するが俺の服の一部が切り裂かれてしまったのである。
（危ないところだったぜ？ まさかこのタイミングで襲われるなんて思ってもいなかったから
反応できなかった。
しかしこいつは厄介だ。
攻撃を避けただけではまた同じ事を繰り返すだけだからどうしたものかね？）
そのように思案している最中にも次々と襲いかかってくる魔物達の攻撃を必死で避けていたのだが
とうとう限界を迎えた時である……。
一瞬意識を失ってしまったようだが再び目を覚ますとその光景を目撃してしまう事になる。
なんとその周囲には複数の魔獣の死体が大量に転がっていたのである。
しかもそれだけでは飽き足らず辺り一面血の海になっている有様だった。
そしてそこで倒れていた一人の少女が俺の姿を確認するなりこちらに向かってくる。
その勢いのまま俺に抱きついて来たと思うとその状態ままの状態で動き出そうとしないため
俺は戸惑いながらもミリアの頭を撫でてやったのであるが、ミリアはそのまま泣き始めてしまったため、
ミリアが落ち着つくまでの間俺はずっとミリアの傍にいるのであった。