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しかし男は、首を左右に振って否定したのだ、
「それじゃあ意味がなくなるだぞ!」
そう怒鳴りつけるが男は冷静な口調で説明をする
勇者を打ち倒すには魔王の力が必要になる。
しかしその為に必要な魔王はもういない。
「本来ならば、お前が魔王を殺さなければ、娘がこういう目に逢う事も無かった」
「ならどうしようというんだ」
「非常に成れユウト、魔王が居ないのなら、お前が勇者を打つしかない」
俺に勇者を討つ事ができるのか自信がなかったがやるしかなかったのだ。
そして魔王が目覚めるのは500年後だという だからそれまでに魔王に匹敵する力を持たなければならない
そうして、それから10年修行を続け遂に力を身につける事ができた。
しかし その間、勇者が俺の国に攻め入ることはなかった。
「神よ、嘘では無いのか?」
あんなものは、幻想だったのだと知る。
「お前は優しい紙では無い、混沌を振りまく邪悪神だ」
そう叫ぶと洞窟が霞んで行く。
「え?」
「邪悪神とは、侵害だな、魔王がどうして生まれると思う? 
それは強いヒトへの憎しみに心が落ちる時、そうすると人は不の感情に支配され、
魔王となる、お前は無理だったようだが、妻は良い感じみたいだぞ」
そう言えば、ミリアの姿が亡くなっていた。
俺は膝から力が抜け落ちて地面に手をつけ座り込んでしまうと涙を流すしか出来なかった。
俺は、こんな世界は間違ってるとそう叫びたかった。
俺が、そう思っていると、背後に何か気配を感じる振り向いた先には大きな人の形をした
影のようなものがいるのを視認できた。
そしてそれが魔物のような存在ではなく、魔王と呼ばれる存在である事が解るのだ。
俺は震える足を叩き立ち上がると剣を構え対峙する形をとったのだ。
「ミリア、俺だ分かるか?」
このままミリアを行かせたら、新たな魔王軍が誕生してしまう。
それだけは避けたくて、俺はミリアに話し続けた。
「お前を置いて何処かに消えた俺なんかの為に泣いてくれるんだな、本当にすまなかった」
そう言って俺が謝罪しているとミリアは静かに涙を流し始めてきた。俺はそっと手を
ミリアの手に伸ばし握ってみたのだ。
俺の気持ちを少しでも伝えようとするように、俺の手は温かくて優しく包まれる。
そんな状況でも俺は必死に話しかけ続けていた。
「お前と出会えたおかげで俺は変われたんだ、ありがとう」
俺の話を聞いていたのかどうかは分からないけれどミリアが反応を示すようになった。
まだ完全には正気に戻せていないけどそれでも希望があると信じているからこそ、諦めたくはなかったのだ。
「俺と一緒の世界にいかないか?きっと俺と一緒にいれば、幸せになれると思うから」
そう告げるとミリアは嬉しそうに俺の胸に顔を埋めると俺に甘えるような仕草を見せるのだった。
そんな様子を満足そうに眺めていたのだが、突然ミリアの体が淡白く発光し始めたので俺は驚いていた。
ミリアが消える?
俺はそう思って必死になって声を掛け続けると次第にミリアが消え始める。
そして最後には俺の腕に抱いていた筈の感覚が無くなっていしまい俺は絶望に打ちひしがれていた。
そうして俺の意識が途切れていくと、またあの男が現れ語り掛けてくるのだが既に聞こえなくなっていた。
「お父様大丈夫ですか?」
その言葉に戸惑う。
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