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どれも重要な案件ばかりであり、俺が国王になる前から決まっていたものだ。
俺の国王としての手腕が評価された結果だろう。
俺が仕事を頑張っていると、部屋の扉がノックされた。
俺は返事をすると、一人の女性が入ってきた。
その女性は俺の妻の一人だ。
彼女は俺に近づくと、こう告げてきた。
「そろそろ休憩しませんか? お茶の準備が出来ていますので」
俺はその言葉に甘えることにして、仕事を中断することにした。
俺と妻は庭に出ると、椅子に座って、ティータイムを楽しむことにした。
しばらくすると、俺のところに訪問者が現れた。
「王、アリア姫がまた」
「え? ミリアは」
「正妃様の手には負えません」
「ぐぬぬぬっ」
(何があった?)
(あの子ももう16歳か)
(アリアは最近、極端にミリアに対して反抗期だな……)
(仕方ない)
俺は席を立つと、部屋を出る。
(さて、今度はどんな理由で暴れたのか)
(まあ、大体予想はつくけど)
扉を開けた途端に強い爆風が巻き起こっている。
「いい加減になさい、アリア」
そうミリアの怒鳴り声が聞こえる所を見れば
「こんなすさまじい親子喧嘩、俺達では無理です」
と兵士達も戦々恐々としている。
俺はアリアとミリアの間に割って入ると、アリアを抱きしめる。
アリアは俺に抱きつくと泣き出した。
どうやら、俺がいない間にミリアに怒られたらしい。
俺はアリアを落ち着かせると、ミリアに向き直る。
「少しは、アリアの事を考えたらどうだ? 妻だろうに」
そっと抱き寄せてやればミリアも泣き出してしまう。
きっとアリアの前で泣かないと努力していたのだろう。
しばらくすると、アリアも落ち着きを取り戻したようだ。
俺はアリアを連れて部屋に戻ろうとすると、ミリアもついてきた。
どうやら、まだ言い足りないらしい。
俺はアリアと別れると、ミリアを抱きしめる。
すると、ミリアも泣き出し、
「ごめんなさい、貴方」
「いいんだよ、今度は何があった?」
「アリアが、その、お父様に甘えたいって」
俺は苦笑する。
どうやら、アリアの事を思って叱ったらしい、そしたら、高位魔法が御返しに飛んで来たのだろう。
まあ、アリアの気持ちも分からなくもない。
俺だってミリアに甘えたくなる時があるのだから。
俺はミリアを抱き寄せると、優しく頭を撫でてやる。
ミリアも落ち着いたようで、そのまま眠りについてしまった。
俺はミリアを抱き上げると、
「ゆっくりお休み、俺の大切な奥さん」
俺はミリアの部屋まで運ぶと、ベッドに寝かせた。
俺はアリアとミリアの仲が悪いわけじゃない事を知っている。
ただ、アリアが素直になれていないだけだ。
ミリアはアリアを溺愛しているが、アリアは恥ずかしくて反発しているだけだろう。
「親の気持ち子知らずか」
何とかしてやりたいがそれは二人の問題である。
(夫の俺が手を出すのはちがうよな)
そんな事を想いながら添い寝していれば扉が開く音が聞こえた。
どうやら、アリアが起きたようだ。
俺はアリアの方を見ると、こう言った。
アリアは俺に抱きついてくると、こう告げた。
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