元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

209.

こうして、俺はアリアを引き取った。
家に帰ると幼いミリアがご飯の支度をしていた。
（ミリアが作ってくれるのか……！）
俺は感動しながら、ミリアを見守った。
ミリアが料理を作っている間、俺はずっと考えていた。
（これからはミリアとアリアの三人暮らしになるわけだし、
しっかりとミリアのことを守れるようにならないとな）
そう思っているとアリアが目を開いてミリアに
「あんた誰よ？」
そう叫んだ。
「ちがうんだ、アリア」
俺は慌てて、誤解を解こうとしたのだが…… アリアは怯えて、
部屋の隅に逃げていってしまった。
俺は仕方なくミリアに事情を説明した。
すると、ミリアは嬉しそうに微笑んでくれた。
ミリアがアリアに近づくと
アリアにこう言った。
「ミリアよ、アリア、おかえりなさい」
そう、それは、母であるミリアの名前だった。
アリアが戸惑えば
「ママなの？」
そう呟いた。
するとミリアは笑顔を浮かべた。
俺はそんな二人を見て、心が温かくなった。
（これでよかったんだ）
俺はほっとしていた。
その後、俺達は3人で食卓を囲んで食事をすることにした。
ミリアが用意してくれたのは、アリアの大好きなものばかりでしかも、
幼い幼女でも、料理の腕は衰えていなかった。
俺は感激しながらも、美味しく頂くことができた。
食事が終わると、俺は2人を寝かしつけた。
疲れていたのだろうか？ 2人はあっという間に眠ってしまっていた。
俺は2人の頭を優しく撫でてから、静かに眠りについた。
（明日は、何をしようかな？）
「貴方？」
「ミリアか、コーヒー飲むか？」
俺はベッドから起き上がると、キッチンへと向かった。
すると、後ろから抱きつかれた。
振り返ると、そこにはパジャマ姿の幼女がいた。
この子はミリアだ。
先日、俺は正式にミリアと籍を入れたのだ。
「私が幼女だとしっていて、酷い人」
コーヒーはお気に召さないらしい。
だが俺も大人なので、素直に謝っておく。
俺はミリアと一緒にリビングへと移動した。
ソファーに並んで座り、一緒にくつろいでいると
、ふと思い出したことを尋ねてみることにした。
それは…… 俺達が結婚した理由だった。
実は俺達はまだ結婚式を挙げていない。
それは、俺の希望によるものなのだが…… その理由というのが、
幼女の姿のミリアと式を挙げるのは気が引けたからだった。
だが…… 最近になって、俺は考えを改めるようになった。
それは…… 今のミリアと結婚式を挙げてもいいのではないか
と思ったからだ。
俺は意を決して、そのことを切り出してみることにした。
すると…… なんと、ミリアも同じ気持ちだったようで、
すぐに準備に取り掛かることになった。
アリアも嬉しそうに賛同してくれた。
早速、次の日に教会で挙式の予約を入れることにした。
ちなみに、費用は俺が全て負担するつもりだ。
何故ならば…… 俺が勇者パーティーに所属していた頃に稼いだ金が残っていたからである。
だからといって、無駄遣いをしているわけではない。
必要最低限の買い物以外はしていないので、
貯金額は相当なものになっている。
これなら、余裕で払えるだろう。