元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

189.

（あっ、終わった。）
そしてその勢いのまま俺は気絶させられて運ばれて行くことになる。
目が覚めた時には既に夕飯の準備ができていて、食卓に着くなり早速食事を頂こうとするが、何故か二人にジト目で見られる。
その視線が凄すぎて俺は萎縮して食べずに黙って待っている。すると
「はやく食え、この馬鹿が。」
「そうです。せっかく作ったのですから温かい内に食べるのが美味しいと思います。」
「……おいしそう……たべる……」
という声とともにようやく解放された。
俺はゆっくりと一口ずつ味わい、完飲した後は、そっとボロボロの服を見ていると
「貴方、買い物行くわよ、おごってね」
「は？」
「放浪した結果、カボチャは？」
「ないです」
「アリア、もう一発いいわよ」
「わわわっ、分かったよ」
と言った後に
「グハッ」
俺はそのまま膝をつくことになった。
そしてそれを見ていたのかセリアナの方からクスリと言う笑いが漏れているのを 耳に入れてしまい思わず殺意を覚える俺だった。
しかし俺はこの程度のダメージにめげるような軟弱者ではないのだ！
俺はなにも悪くは無いはずなんだ。
全てはこいつの仕組んだ作戦なのだ。
それを俺は見破ったに過ぎない！
そうして無理やりな理屈を考えて納得させた俺は外に出るために身支度をするべく席を
外すとすぐに終わらせてから皆のもとに戻ることにしたのであった。
すると案外時間が掛からなかったことに疑問を感じたらしい2人がこちらを見ているのである！
そしてすぐさま俺は行動に出た……。
すなわち逃げたしたからである！！
「あ、こら、待ちなさい、ウイングロック」
そう叫ぶと魔法陣が現れて俺の身体を風の魔法が拘束する。
「うそぉ」
「これでも、私も現役の冒険者ですからね、さてと、何処に行こうとしたのかな？　ユウト？」
ニコニコ顔でミリアが近付いて来る。
「い、いや、これ解いてくれない」
「そうね、野菜スープがある高級店でお食事デート、そうそう、アリアのお子様ランチもよ、あ、後、赤ワインとぶどうジュースもね」
（俺の命日は今夜になったのかな？）
そう考えながらもこの場で抵抗するのは良くないと判断した俺は諦めることにした。
俺の奢り確定した瞬間だった！
（たしかに、放浪したのは認めるけど……俺が悪いのかね……普通は俺のことを探そうとしてくれるもんだと思うんだが……。
それにミリアのヤツ俺の財布の紐を完全に掌握しようと企んでいやがんな……。俺の貯金額は50000ゴールドしかないんだぜ……。
ああ……俺の手持ちで足らないのは知っているから、金がないから逃げようとしていたことを悟られたようだな……。）
と考えていると突然
「何ボーとしてんるのよ？　行くわよ、ユウト」
「あれ、ミリア呼び方戻ってね」
「貴方と呼んで欲しいのなら、ちゃんとしましょうね、ユウト・・・」
「は、はい」
結婚した後、初めて見た、妻の黒い笑みなのだが、恐怖よりも綺麗と感じてしまうあたり俺もおかしいと思う。
そして俺たち三人とセリアナは外へ出たのであった。
そして街の中へ着くと辺り一面は既に夜の暗さに染め上げられていたのであった。
街はとても賑わいを見せているようであり 多くの屋台が並び賑やかな状態となっていたのだ。
そんな中、人混みの喧騒から離れたところに位置する小さな店を見つけた。
そこへ向かう途中セリアナは小声で
「ここよ、この店のメニューにある料理は全てが最高級品、だけど値段も最低金額が高いから」
「お……おう（こいつも冒険者として稼いでいるからそこまで問題はないということなんだろう）」
「ところで、ユウト君、今いくらあるの？」
セリアナ義姉さんが心配してくれる。