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「起きろ」
ガンっと思いっきり頬を叩かれた気がして目が覚める。
父親が必死に剣で魔物と戦いながらこちらに叫んでいる。
「ごめん、なんか、後ろから刺されたような」
「町の人に刺されていたんだよ、治癒魔法で塞いでおいた」
「ありがとう、ヒール」
癒しの呪文で刺された箇所を癒していく。
アリアは、まだ気絶している。
父親も、アリアのことを心配して何度も回復しているようでは
あったが傷が深く致命的だったらしく未だに動けていなかった。
アリアの体を触って確かめるが出血はない。
(血を流し過ぎたか?)
俺は、自分の荷物の中から水筒を取り出し、アリアの口に少しずつ流し込んで行く。
アリアは苦しそうだが、それでも飲ませていくと、段々と落ち着きを取り戻して来たようだ。
アリアは目を擦るようにしてゆっくりと目を開けていた。そして一言
「ここどこ?」
そう聞いてきた。そこでアリアはやっと状況を理解し始めたようである。
俺にしがみつくようにして震えていたのだった。
「どうしようパパが死んじゃう」
「大丈夫、パパはぴんぴんしているだろう?」
そう問いかけてみると確かにと首を傾けていたので、アリアを宥めてあげると落ち着いてくれた。
そうすると、周りに大量の気配を感じるようになってきたので
「敵が近くにいます。皆さん警戒をお願いします」
「何!分かった」
と言うと武器を構える音が複数響き渡っていた。
するといきなり俺達の方に炎の玉と岩が飛んでくるがそれを水の精霊の力で防ぐ。
そして目の前に姿を現したのは巨大な魔族のような生き物であり、
翼があるドラゴンの様であった。
俺達はその姿を見ただけで、自分達では全く歯が立たないことがすぐにわかる。
それほどの圧倒的な存在感を出していたのだ。
だがそこにアリアが立ちはだかると、
「ドラゴンテイム」
魔法を唱えるとドラゴンが懐いてしまった。
「ほ、ほ、ホワイトドラゴンがぁ」
そう父親は驚いていたがすぐに我を取り戻したみたいで アリアの元へ近づいて行き、
膝立ちになると両手を広げ、懇願するようにアリアの瞳を見つめながら言葉を口にしていた。
「お願いアリアちゃん助けて欲しいんだ、村のみんなの為にも、俺の妻や娘の為にも、どうか……」
「嫌です、絶対に協力しません。もし、協力して欲しいならこの条件だけは飲んで貰えますか?」
「わかった。なんでも言ってくれ!何でも言うことをきく、それで許してもらえるなら!
頼むアリアちゃん、この通り」
「分かりました。それでは貴方の首をいただきましょうか?」
アリアは父親の返事を聞くとニヤリと微笑みながらそう告げてくるのであった。
「はい?」
「冗談ですよ、叔父様」
そう言いながらニッコリと微笑む。
その顔を見て父親は
「おい、お前の娘は本当にお前にか?」
そう俺の耳元でこそっと伝えてくる。
「ああ俺に似てしまったせいなのか性格が変わってしまっていて」
という風に誤魔化しておいてアリアの方を振り向いた時には既にいつもの様子に戻っており
「それでは今からパパには村に行ってもらいたいの、私の変わりに村人を守って欲しい」
と頼み込んでいたのだった。
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