元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

175.

幸いここは人気のない場所だったので良かった。
しかしこれは一体？ アリアがどうしてここに居るんだろうか。
不思議に思った俺が問いかけてみると アリアは 何でも俺が寂しげな顔をしていたため話しかけづらく、
俺を探していたらしいとのことだったが俺としてはそういう表情をしていた自覚はなかった為
少し困惑してしまうと
俺の様子の変化に気付いたようで心配してきたのであった。
ただそれでも少しぎすぎすしてしまいそうな雰囲気を感じたのか、
俺はその場から離れることに決めたのだ。
だが離れようと動いた瞬間、腕を捕まれてしまう。
そのままの状態で固まってしまい動けなくなると、 何か言わないとと思い咄嵯に言葉が出て来て
こんなことを口走ってしまったのであった、
『アリア、父さんは忙しいんだ、母さんの所に行ってなさい』
気付いたら大声で叫んでいた、自分でもそのことに気付き慌ててしまうが、 だがそんなことなど
今は些細な問題にしか過ぎなかった……。
だって俺はこの子の将来に不安を感じてしまって仕方がないのだ。
だって娘のいた街までかなりあるんだぞ、１人でソロで追いかけてきたことになる。
「アリア、道中どうやって来たんだ？」
1番大事なことだがやはりそこを聞いておくべきだろうなぁと思って尋ねてみると意外な返事が返ってきた。
「アリアが倒して来たんだよ」
倒した！？
魔物でも襲ってきて撃退してここまでやってきたというのか、
だとしたらすごいが、この子がそんな強いとは知らなかったので驚く。
そうか、 だがそのおかげで助かったのか、
そう思いつつ俺は納得しつつさらに詳しく聞いてみたところモンスターの大群が御比五掛かって来た。
「アリア危ない」
次の瞬間アリアが何かを呟くと巨大な魔法陣が地面に拡散されて行く。
「え？」
「ウイング・ジャッチメント」
行き成り広範囲の風魔法を悠々と発動し始めた。
（これがこの村を治める領主の一族の力……凄まじい）
ただただ驚いているしかなかったが、 それとは別に心の中では、
（ああやっぱり親子だなー。なんか似てんもん。血筋かな？）
などと呑気に考えてたりしていたが。
そのあとアリアは次々に詠唱を唱え、 炎属性、雷、土、水と連続で繰り出していくがまるで
歯が立っていない様子。
さすがにおかしいと疑問に思う。
アリアに尋ねるとこの程度の敵は瞬殺だと言うがそれでも数が多いから倒しきれなかったのだろう、
しまいに泣き出してしまったのでさすがにまずいと思った瞬間。
「アンタ達なんて大っ嫌い、みんな消えちゃえっ! エレメントバースト」
そう泣きながら叫んだ瞬間魔物の群れがあっと言う間に散となった。
「うそ」
呆然と眺めていることしかできなかったがその魔法の力の前に戦慄を覚えるとともに
驚愕を隠しきることができなかったのである……。
そしてこの時すでに自分の中での優先順位を変え始めていたことは否めないであろう。
それは娘であるアリシアとアリサを護るということから。
そしてアリシアには出来る限り妻として、幸せを送ってほしいと思うと同時に
もし万一危険が訪れた時には必ず助けることを改めて決心すると心に誓うのであった。
そしてこれから起こるであろう大きな戦いに備え、俺も戦う決意を固めたのである……。
そう全てはアリシアのために！
娘の境地に驚きを隠せなかったのは、俺だけでは無いらしい、妻のアリシアも驚いて、
アリアを見つめていた。