元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

154.

「んっ……？」
と俺は彼女の姿を見て違和感を覚えたのだ。
（あれ……？   何だろう……？   どこかで見たような……？）
と俺が思っているとその女性は立ち止まり、振り返ると俺の顔を見てこう言ったのだ。
「おい、お前……！  ちょっとこっちに来い！」
と女性が言うと、隣にいた義理の妹がこう言ったのだ。
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん！？」
しかし、女性は無視して俺の手を掴むとそのまま走り出したのだ。
そして人気の無い路地裏まで来るとようやく俺を離したのであった。
「お前！  もしかして元勇者パーティーにいて、雑用様じゃないのか！」
「あっ！  はい！  そうですよ！」
と俺が答えると赤毛の女性は目を見開いて驚いていたが
すぐに笑顔になるといきなり抱きついてきて胸を触り始めたのである。
俺は女性の行動の意味がわからず困惑していたのだが女性はさらにこう言って来たのである。
そうして俺は女性に引き摺られるように連れて行かれたのであった。
俺は今何故か知らない場所に連れてこられていた。
そこは薄暗い部屋で壁には血のような物が付着していた。
（うわぁ……。なんかヤバそうなところだなぁ……）
と思っていると部屋の扉が開きそこから出てきたのは金髪で青い瞳を持った男性で彼はこう言ったのだ。
「やぁ、よくきてくれたね。僕は君のファンなんだ。だから今日は僕のコレクションを見せてあげるね」
と男性は言うと俺の手を掴んで無理やり連れていく。
そうして連れていかれた先は地下の部屋でそこには無数の人形が飾られてあった。
その光景を見て俺は思わず吐きそうになった。
なぜならその部屋に並べられている人形は全て水着の女の子の物だったのだ。
しかもその人形の全てに首輪が付けられていて、その首輪には鎖が繋がれているので、
まるで犬の散歩をするようにその少女達を連れていたのだ。
その異様な空間を見て俺は思わず吐きそうになる。
「あっ！  そうだ！  せっかくだしユウトさんにもこの子達をプレゼントしてあげようか？」
と金髪の男性が言うと俺は必死になって断った。
そんな俺の様子を見ながらも金髪の男は笑みを浮かべながら俺に近づいてくる。
そして彼は俺にこう言ってきたのである。
「遠慮しなくて良いんだよ。だってユウトさんも僕と同じ趣味を持っているんだろ？」
と金髪の男が言うと彼は俺に顔を近づけてくる。
そして金髪の男は俺の頬を撫で始める。
俺は思わず後ずさるが金髪の男はそのまま俺を壁際に追い込むと、俺の服を脱がせようとしてくる。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
と言うが、金髪の男性は聞いてくれないどころか、
更に力を込めてきてとうとうズボンに手をかけて脱がそうとしてきたのだ。
（マズイな……。このままだと本当に襲われてしまうかもしれないな……）
と思いつつも俺は抵抗できずにいるとそこで義妹の声が聞こえてきたのだ。
そうして現れた義妹は、金髪の男性に向かってこう叫んだのだ。
「もう止めてくださいよ！  この人は私の彼氏なんですから貴方みたいな変態とは付き合わせませんよ！」
と彼女が叫ぶと、それを聞いた金髪の男性は怒り狂った様子になりこう言ったのだ。
「うるさいぞ小娘！！  お前もこいつの仲間なのか！！」
と彼が言うと、今度は俺の義理の妹がこう言い返したのである。
「そうですけど何か文句あるんですか？」
と彼女が言えば、金髪の男性はこう言ってきたのだ。
「そうかそうか。ならお前もこの男の餌食にしてやるよ」
と金髪の男性が言うと彼の手下と思われる男達が二人を取り押さえようとするが、彼女はあっさりと振り払う。
そして彼女はこう言ってきたのだ。
「私を捕まえたいならもっと本気でやって下さいよ」
そうして彼女は俺の方を見ると
「ユウトさん。私がこの人達を倒しますから、安心して下さい」
と彼女は言ってくるので俺はこう答えた。
「いや、大丈夫だよ。俺が自分でなんとかするよ」
と俺は言うと、俺は魔力を解放して、魔剣を出現させると、俺はそれを構えて、
まずは取り巻きの連中を斬り裂くと、次に金髪の男性の方に突っ込んでいく。
そして俺は彼に切りかかろうとするが、金髪の男性は俺の攻撃をもろに受ける。
「ぐふぅ……」
と悲鳴を上げると、俺は彼を蹴り飛ばす。
そして俺は倒れている男性の腹を踏みつけると、
「すまないが、俺には好きな人がいるんでな、じゃあな」
「ま、待ってくれぇ～。金か？  金が欲しいのか？  いくらでも用意してやるから、頼む見逃してくれ」
と彼は言ってきたので俺はこう言った。
「いらんよ。俺が望むのはこの世界からの解放だけだ」
と俺が言うと、
「わ、分かった。なんでもくれてやろう。だから命だけは助けてくれ」
「ああ、別にあんたがどうしようと俺の知ったことではない。
ただ、二度と俺の前に現れないでほしい。もしまた俺の前に姿を現せば、
その時は容赦しないから覚悟しておけよ？」
と俺が言うと、
「わ、わかった。約束しよう。君の前では絶対に姿を見せないと誓おう。だ、だから許してくれ」