元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

146.

そんな風に俺が混乱状態に陥っていると目の前に文字が突如表示されたんだ。
どうやらこれが今の俺が話した言葉で喋ったと言うことになるようなんだが……。
一体何故？   と思い俺がその事について不思議に思って見つめ続けていると……
その女性は何かに気づいたかのように口を開き……とんでもない発言をしたのだった。
その発言のせいで俺が呆然としながら固まってしまうことになるとは知らずに……。
それは俺がつい口に出して叫んでしまった 【俺は……誰なの？】という言葉だったのだった。
その途端に先ほどまでの態度から一変し……真剣な目つきになって
「私が分かるというの？   私の名前も？」
と尋ねてくるので俺は困惑してしまい返事をする事ができなかった。
するとその女性はこう続けたのだ。
「やっぱり覚えていないのですね……。まぁ無理もありませんよね。
でも心配はいりませんよ私は貴方のお側におります。ただ今は少しの間眠りについてもらっていただけなのです。
その間に記憶を取り戻してもらっただけですので……そんなに焦らないで下さい」
と笑顔を見せ俺に抱き着いていた。
俺もその行動を受け入れている自分に違和感を感じながらもされるがままになっているので
問題はなかったのだがその時にこんな会話を交わした。
「名前……。貴方の本当な名前が知りたいんだ……。
それと……俺の名前を……教えてほしいんだが……。
どうして……なのかも。あと……君のことも……。それにさっきの言葉はどういう意味なんだよ？」
その答えが帰ってこないまま、俺は、彼女の手に握られている杖を向けられてしまった。
ただそれが何かは分からずただ見ているだけだ。
それから俺の体に電流が流れる……。
そして俺は痺れて動けなくなってしまったんだ。
それだけでなく何かが俺の中へと入りこんできて俺の心は真っ白になっていく感覚に襲われ、
俺の中の大切な部分が徐々に侵食されていくように変化していき俺は俺でなくなっていったのだった。
「大丈夫？  ……ごめんね？   貴方はもうじき本当の意味で私のものになるんだから
それまでは辛抱してください……。大丈夫。すぐ良くなりましから。
……でも今はゆっくりと休んでおいてもらいましょうか……」
と微笑まれてからしばらく経つと意識を失ってしまったのだ。
そんな状況なのにその女性は平然な顔をしながら笑っておりその女性の姿に
見惚れる俺は自分が何をされているか理解することが出来なかったのだ。
しかししばらくして俺は気づく。
その女性によって洗脳されてしまったのではないかと……。
そう、俺は既にこの国の王の座を奪い取られて操られていたのだ。
それも恐らくその魔法のような物を使って強制的にな……。
「あーっ、やっと手に入れたのです♪ようやく手に入りましたわ
これこそ待ち望んでおりいましたもの、ついに我が主の器となる御方が現れて下さるなんて
本当に運が良いというもの……」
と言ってきているがその意味が全然分からない俺がいるんだぞ……って
俺はまだ夢から醒めておらず、これは夢の中の出来事だったのかとも思い始めたが
どうも現実だったようである、それに彼女は言ったのだ、
「ようっていうより今まさに目覚めたって事ね……」