元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音

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「う……頭が痛くなる……。やっぱり記憶は戻ってないみたいだな。
ただ……この場所についての知識は残っている。確かこの施設は……」
俺は頭を抱えつつも何とか耐える。
この知識がどこから来ているものかを思い出そうとしたのだが、上手くはいかなかった。
ただそのことについては余り重要ではない気がしたため一旦放置することにした。
それより大事なことがあるからだ。
俺は辺りの様子を探っていると人の気配を感じた。
しかもそれは一人じゃないように思える。
俺は慎重にその方へ向かっていったんだ。
すると……やはりそこには、俺と同じように逃げて来たとしか見えない男女数人がいるではないか。
ただそこでおかしな点があることに俺は気づくことになる。
その者達の中に子供や若い女性の姿が見えることから恐らく、
「避難しに来た人達か……もしくは研究をしていた人って感じか。
でもおかしいぞ、一体どうやってこんなところに……一体どうなって」
そんなことを俺は考えているとそこに
「大丈夫か?  どこか怪我をしたりしていないか?  よし、問題なさそうだね。じゃあいこうか」
と俺に優しく語り掛けてくる者が現れたんだ。
「君は……。うぅ……。すまないな。俺は今、君の知っている名前を名乗るわけにはいかないんだ……。
それに俺自身もまだ……どういった立場に居るかが分かってなくてな……。
だけど一つ分かるのはこの場にこのままいていいはずがないということだ。君たちは一体……」
俺が疑問を口にしようとする。
彼は、優しく微笑みかけると、
「詳しい説明をしてやりたいところなんだが、今は急ごう。このままだと追っ手が来る可能性があるんでね……」
(俺のことを気にしている割に随分あっさりしてるというかさっきの対応がまるで別人みたいな態度だ……。
本当にこいつも俺と同じなのかわからないが……でも確かに俺の記憶の中の誰かに似ているんだよ。
何なんだこれは……。
う……なんか頭痛が……酷い……何か大切なことを忘れてしまっている感覚に陥る……。
でもそれは今の俺にとって何よりも大事だってのはわかる。きっと忘れたらダメなことに違いない。
でも俺はどうしても思い出せない)
「うぅ……ダメか……く……また酷くなっているな。俺ももう限界か……。
悪いがこれ以上君を庇う余裕は無さそうなんだ。さぁ早くここから離れよう」
と俺に手を伸ばしてくるが……。俺は彼の差し出した手を払い除けるように
してから俺は自分で歩こうとするがどうにもならないくらい体に痛みを覚えている。
そんな時であった……。
「うぅ……。体が……いうことを聞いてくれない。クソ!  俺の体め!  動けって言ってんだろう!  うぅ……」
と苦しんでいると、俺が動かせていないと思っていた体はどうしたことか動くようになっており、
俺の意思通りに動き出すと……俺は俺に近づいてきた彼に向けて蹴りを放つ。
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