元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音

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そしてその手に感じる感触に……そして握った拳を開けようとしても開かないことに俺は違和感を感じ、
「え……あ……。く……体が勝手に……動いちゃって……」
俺も戸惑ってしまいながら声を上げるとそれと同時に俺は自分が何をしてしまったのかに
ようやく気が付く事になる……俺の口から出た言葉を耳にしたことでだ。
俺は今自分の意思に関係なく……この見知らぬ黒ずくめの鎧姿の男性の体を乗っ取り乗っとしまったようだ。
しかも……。
何故か分からないのだが……俺の意志と関係なくこの男性の動きに合わせようとしているのである。
俺は焦燥しながらも冷静さを欠かずにいられないままだ。
何故なら俺の目の前では既に決着がついているような状態だったからである。
それは勿論……。
「まさか、貴様が裏切るとはな……それもこのような手段を使ってな……。
だがこれでお前が俺に勝てると思わない事……な!」
そう言うと同時にその言葉と共に俺が、その声の主に斬りかかる。
その人物は俺に不意打ちを受けたこともあり俺の一撃を貰ってしまったようで、
よろめいてしまったのだが、なんとか踏み留まると反撃をしようとしたのである。
だが、その時既に遅かった……。
「ぐは!  バカな……。なんだと……」
と叫びつつその場に崩れ落ちていき……やがて、絶命した。
俺が、そいつを殺めたんだ。
だからなのだろう…… 目の前にいる人物が死んだのを確認すると……。
「おい……ちょっとまってくれよ。嘘だろ……。
冗談だと言って欲しいな……。こんなことは。頼むよ、目を開けてくれよ……。ねぇ、聞いてるんだろう?」
俺は必死に声をかけたが返事は無かった……。
それでも尚諦めずに俺は彼女に呼び掛けていた。
ただ…… 俺が彼女の名を呼んだところで反応を示すことはなく……。
彼女は死んだままだ……。
「ふー……。仕方がない、このままにして置けないよな……。どうにかできないのか……」
俺は彼女に呼びかけることをやめるとすぐに、魔法を唱えた。
そうするとみるみると傷は塞がり始めた。
(俺にはこの世界で回復が出来る唯一の力があったはずだ……。
この能力を使い続けれはそのうち治せるようになるかもしれない)
とそう思うと少し安心できた。
(取り敢えず、まずは何が起きたのかを確認しなければならない。そのためにはここを出る必要がある)
そう考えたため扉を開けることにする。
(それにしても、一体誰がこんな事を……。もしかしてこいつは魔王側の人間だったりするのか?)
そう考えるが確証は無いのが現状だ。
「とにかく外に出てから色々と考える事にするか……」
そんなことを考えつつ部屋から抜け出そうとする。
幸いと言うべきか、この部屋の窓らしきものは開くようになっていたためそこから俺は脱出する事にしたのだ。
窓から外へ出る際に気が付いたんだが……どうも俺はこの世界の服装をしているらしく、
白いローブのような物を着させられていたんだ。
そして俺は今いる建物を見渡す。
ここは何処かに作られている施設らしいことが分かり、その作りはかなりしっかりしたもので壁などの素材や、
その見た目からかなりの技術で作り上げられていることが分かる。
それに建物のつくりや広さなどからかなり大きな施設のようである事も分かったんだ。
そんな時に俺は気になったことがあり、この部屋に入ってきた人物が
この施設の研究員だとして……その彼がここに居ないことが不思議でならなかった。
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