元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音

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「お前はどんな感じなんだ?」
俺の言葉にドラコは答える。
「ええ、私も勇者と同じです。ただ私の場合は賢者を選んだんです」
俺の言葉に彼女は答える。
俺は勇者に一つだけ聞きたい事ができた。
なので質問することにした。
「お前さ、あいつらに俺を殺さないと自分が殺されるとか言ったんだって?
本当にあんな馬鹿げたセリフ信じてしまったのか?
というよりお前ってばあの勇者を愛せるのか?
正直、俺は今でもお前と勇者の関係って理解できていないんだぞ」
俺の言葉に彼女はこう返事をしてきた。
「うーんそうだね、彼は凄く魅力的。だから私も本当は彼に惚れてしまっているんだと思う。
でもね、これは彼の為でもあるんだよ。彼はもう人間ではないの。
そう、ゾンビなんだよ。
腐敗してしまって動く死体になってしまった。
彼はもう元の彼に戻ることはない。
死人となってしまったの。
そんな彼を救い出すことが出来るのは、その聖剣の力に頼ることしか方法がないの。
彼が生きている内に救うことは出来るかもしれない。
だけど時間が経つにつれてその可能性はどんどんと低くなっていく。
そうなってしまった以上、例え命が尽きる直前であっても、少しでも早く終わらせてしまうべきなの。
そのためだったらたとえ世界中が敵に回ったとしても構わないわ。
それに私が世界を平和に導けば、きっと皆わかってくれるもの」
そう答えてくれた。でも俺は思う。
もし仮に勇者を救うことが出来たとして、果たしてお前の心は救われることができるのか?
勇者の事を考えるのならば、いっそ何もかも諦めるべきじゃないのか?
お前はそれでも勇者を取り戻そうとしている。
お前がそこまでする理由がわからない。
どうして勇者にそれほどまでに執着するのか?
「なぁ、なんでお前はそこまでして」
俺はそう尋ねようとしたのだが、その瞬間にユリセシアは黙ったまま涙を流し始めてしまい、
結局は聞くことができなかった。
彼女の涙の意味が分からない。
こんな時に、ドラコが声を掛けてきた。
「ユウトさん、その話はまた後でゆっくりすればいいんじゃ無いの」
彼女の言葉を受けて俺は自分の意思で口を閉じる。
その後にドラコがユリセシアの頭をなでていた。
ユリセシアは泣き止むとドラコにお礼を言う。
その光景を見て少し羨ましいと感じてしまった。
俺がドラコとユリセシアの仲の良い様子を見ていたら、
「ユリセシア、お前は何故泣いていた?」
そう言いながらユリセシアの元へと歩いていき、目の前に立つとそのまま抱きしめたのだ。
ユリセシアはそんなドラコに対して感謝を伝えると、俺とドラコの二人がかりによる能力の確認が始まった。
まず最初にドラコが俺のステータスを確認した後に、俺の右手を掴むと彼女は俺のステータスを確認する。
その次にドラコが俺のステータスを確認して、最後にドラコが俺のステータスを覗き込むという流れになった。
その最中もユリセシアは俺のステータス画面から目を離そうとはしなかった。
その様子はまるで子どもが玩具に夢中になっているかのようで可愛かった。
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