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俺はそんな彼女に対して
「なぁ、一つだけ聞いてもいいか?」
と言った。
彼女はそんな俺に対して
「んっ、別にいいけど、なんだい?」
と答えた。
俺はそんな彼女に尋ねる。
「どうして俺の前に現れたんだ。それに、どうして今まで黙っていたんだよ」
俺がそう尋ねると彼女は俺に言った。
「まぁ、そんなの決まっているじゃないか。私はユウトの事が好きになってしまったんだ。
だから、ユウトの側にいたかったんだ。でも私はユウトの事を何も知らなかったから、
だからユウトの事を知ろうとしたんだ。
ユウトの事をたくさん知ってからユウトに告白しようと思っていたんだ。
だけど、ユウトは私に何も教えてくれなかったから、
だからユウトの事を知るためにユウトの後をつけたりしていたんだけどね。
ユウトったら全然気が付かないんだもの。私ってば結構頑張っていたんだよ?
それなのに酷いよ!  私って一応は魔王軍の幹部の一人だしそれなりに強いはずなのに!
だから私ってばショックで落ち込んでしまったのよ! 
だって、魔王軍のトップの一人でもある私って実は最強クラスの実力者のはずだもん。
それがあんなに簡単に後をつけられるなんておかしいよ」
彼女はそう言って俺を責めてくる。
しかし俺には言いたいことがあったため反論することにした。
まずは、
「いやいやいやいや、そもそも俺って基本的に自分のステータスを偽装しているから、
俺の実力がどれだけのもんなのか知っている奴はほとんどいないと思うぞ。
そして俺がどんなスキルを持っているのかを知っているのは、俺の仲間ぐらいだと思う。
あとは俺の両親とか、後は俺が信頼を置いている一部の連中だけだな」
俺はそう言い切った。
そんな俺の言葉を聞いてから彼女は言った。
「えっ、じゃあユウトってそんなに強いの?」
俺はそんな彼女に言う。
「いやまぁ、多分普通に戦えばそこそこの強さはあるんじゃないかな。
でも、俺は基本はサポート専門で戦うから、あまり戦闘は得意じゃないよ」
俺がそう言うと彼女は俺に言う。
「そっか、それでもやっぱりすごいね。
ねぇ、今度手合わせしない?  せっかくだからお互いの本気を出してみようよ」
俺はそんな彼女を睨んでから言う。
「いや、絶対に断る。俺は絶対に戦いたくない」
俺は断固として拒否した。
しかし彼女は諦めずに俺に食い下がってくる。
そしてしばらく押し問答を続けた結果、結局は彼女が折れたのだが、
その代わりと言っては何だが彼女が仲間になったのだ。
「というわけで、これからよろしくお願いします」
彼女は俺に向かって頭を下げてきた。
俺はそんな彼女に言う。
「こちらこそ、改めてよろしく頼む。
それと、俺の事は呼び捨てで構わないし、敬語も使わなくて良いよ。
俺達はもう、対等の関係なんだしな。というか、お前は俺より年上なんだろ?」
俺がそう言うと彼女は俺に抱きついてきた。
そして俺の顔を見つめながら
「うん、分かったよ。
これからも宜しくね。
私の事はユリセシアって呼んで」
そう言うのであった。
俺とドラコとユリセシアは王都に戻ると、冒険者ギルドに向かった。
そしてそこで依頼達成の報告をしてから報酬を受け取ると、そのまま宿に戻ることにした。
そして部屋に入ると俺はドラコに話しかける。
「なぁドラコ、お前って俺以外の人間の前では喋れないふりをしているみたいだけれど、
本当は話せるんだろう?  というか話してくれないと困るんだよね」
俺はドラコを問い詰めることにしたのだ。
するとドラコは観念したように話し始めた。
俺はそんな彼女の話を聞き終えると彼女に告げる。
「なるほどな……。お前の正体がバレたら面倒なことになるから正体を隠していたという訳だな?
確かにお前が元勇者パーティーの一員だったというのは少し厄介な問題になるかもしれないからな……。
よし決めたぞ!  とりあえずしばらくはこのままでいこう」
俺はそう言うとベッドの上に寝転がったのである。
するとそんな俺の体に覆い被さるようにしてドラコが乗ってきたので、その頭を撫でてやったのだった。
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