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「ん?  私のことが知りたい?  ……だったら少し付き合ってくれるかな?(ニコッ)」
「えっと……それってもしかして」
「そう、君の身体が欲しいんだけどね。嫌かい?(チラッ)」
俺は少しの間考える。そして決断をした!!
まぁ断る理由もないし大丈夫だろうと考えたからだ。
何より俺は男だから当然そういう行為は経験がない。
つまり、俺にとってはこれが初体験になる訳だ。
なので、内心では不安に感じるところもあるが、
俺の気持ちを察してくれた彼女は俺の緊張を和らげるために優しい口調で語り掛けてくれているのが伝わってくる。
そしてついにそのときが訪れたのである。
まずは軽くキスを交わしたのちに彼女の舌先がゆっくりと俺の口の中へ入ってくるのを感じる。
俺は恥ずかしさを覚えつつも、必死でそれを我慢して受け入れたのだった。
「もういいからやめろっ!?」
「フフッ わかったよ。でもまだ君には教えていないこともあるのだよ?」
「な、なんの話をしているんだ……」
「それは私の正体のことさ!  でも安心してほしい。
私は絶対に貴方の秘密を守り抜いてみせると約束をするさ」
と言って、今度は俺の顔に向かって自分の鼻を押し付けて来ると匂いを思いっきり吸い込むのを感じた。
「すははは、はは、ははははは。
なんて甘い良い香りなんだろう!  は、はは、興奮する。
ううん違う、するするするする、してくるする、するする、くる!!!!(ブシュ)」
と意味不明な事を言って彼女は気絶したのだから、これには流石に驚いてしまったが、
すぐに彼女は目を覚まし再び話しかけてきたのだ。
だが、彼女はまだ余韻が残っているのか頬は紅潮したままだ。
だが俺は特に気にせず彼女のことを観察しているとあることに気が付付くことになる。
彼女が手に持っていたものが剣ではなく鞭だったということに……。
その鞭の先端が蛇のように伸び、そして生き物のごとく動き回り獲物を捉える。
その一撃で魔物は絶命してしまう程の威力を誇っているらしくて非常に危険な代物でもあるそうだ。
しかし彼女にとって一番の脅威はその攻撃力では無い。
実はこの人って、とんでもない変態さんかもしれない……いや、確実にそうなんじゃないかな。
俺はこの日ほど恐怖というものを強く実感したことはなかったのであるからね。
彼女の行動原理は基本的に、全てにおいて俺のためだと断言することができると思う。
例えば……、
「今日は天気が良いからピクニックでもしよう。きっとユウトにとっても有意義な時間となるはずだ。
なぜなら私が常に側についていてあげることができるから」
とか、
「私が食事を作ってきた。美味しいかどうかは分からないけど、それでも一生懸命作ってきた。食べてほしい」
と言って差し出してきて……でも結局俺はそれを食べないわけだけれど、
何故かというと俺は食べることが出来ない。
という風に見せかける必要があるからである。
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