元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音

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59.

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恐らくだが、
「この話はもう終わり!  はい終了!!」
これ以上は喋らないだろうと判断した俺は話を打ち切りにするべく強引に
話題を変えてみたのだがそう簡単には引き下がってくれそうにもないので仕方が無い。
適当にあしらうとするか。
「ところで、ひとつ訊き忘れていたんだがどうしてここまで追いかけてきたんだ」
「えーと、そのー。あれはね」
何故か頬が赤くなっている。
もじもじとしている。
もしかするとお手洗いに行きたかったのかなと思い、
「そう言えば、用件が長引いてすっかり言いそびれていたけど」
そう言いつつスカートに手を掛けようとしている。
「おい待て」
流石にいきなりの展開だったので俺は即座にストップをかけた。
だがこちらの制止の声が届くことなく、目の前でスカートを脱ごうとする姿が映る。
ちなみにこの時俺は素早く目を閉じて視覚情報を遮断していた。
ここで目が慣れてしまうと非常に危険なことになるので本能的に取った行動であった。
そうして、彼女の脱衣シーンが終了した。
ちなみに下着は純白のレースとピンク色の花模様が描かれた代物で見た目だけなら清楚系美少女。
「どうだった私のショーツ姿は?」
「……」
黙秘権を行使させて頂く。
「そっか、そっち方面はあまり好きではないと。となると別の攻め方を考えないといけないか。
こっちの世界では異性愛が一般的だからこういうアプローチの仕方はむしろマイノリティに属するという訳か。
勉強になった。それじゃ改めて聞くことにする」
そこで一度言葉を切り、深呼吸をしてから再び口を開く。
しかも先程以上に声を大きく張り上げて
「ねぇ、抱かせてくれませんか?」
俺は反射的に立ち上がって逃げ出そうとしたが、すぐに回り込まれてしまった。
「ちょ、何で逃げるの。これでもそこそこ名の知れた女なの。捕まえるのは簡単だけど、
後で面倒なことになっても嫌だからきちんと手順を踏ませてもらっただけよ。
というかさっき見たでしょ。私は男に対してはかなり積極的なタイプだからそこは誤解しないで欲しい」
否定はできない。というより嘘偽りのない事実だった。
「正直言うとその気になればいつでもどこでも相手する準備はあるけど、
今はそれより大事なことがある。だからこれからする質問に対して素直に答えることを約束して欲しい。
場合によってはお願いしたいことがある」
俺は渋々了解をした。
「ありがとう。じゃ、早速聞かせてもらうけれど、 あなたは元勇者パーティーにいた雑用係なの?」
唐突にとんでもないことを聞かれた。
どういう訳か俺の正体を見抜いてしまったらしい。
そんな馬鹿な!?
俺はごく平凡な一般人だというのに…… もしかしたら彼女も勇者なのか?
そんな疑問が湧いたが、俺はそれを否定する。
「何を考えているのか知らないけれど、私もれっきとした人間。
生まれも育ちも至って普通。両親も健在だから安心してくれていい」
それを聞けてホッとしたが同時にまた新たな謎が生まれてきた。
俺が混乱していることを悟ったのか、
「説明不足で申し訳無かった。まずはそこから話す必要があるようだね」
そして語り始める。
「私はこう見えても結構凄腕の探偵なの。
だからといってただ単に事件を解決すればいいってだけの単純な仕事じゃない。
時には、尾行をしたり、情報を集めたり、裏工作をしてターゲットを追い詰めたりも したりするの。
そういう地味な作業を地道にこなしていくことで信頼を積み重ねていくのが重要なポイント。
さらに今回の場合は特定の人物が起こした問題を解決するのが一番の目的になる。
そう、今回君が引き受けたのは単なる泥棒退治という訳ではない。
そもそも君の知る窃盗犯は犯人本人ではなく、協力者の方だ。
でも、君の話を聞く限りだと協力してくれる気配は無いと見て良さそうだよね」
俺は小さく首肯する。
「それがそうでもないの。何せ相手が怪盗アルセーヌ。
こいつは厄介極まりないことで有名なの」
何が問題なんだ?   まさかとは思うが……
「彼の使うスキルは相手の記憶を書き換える。そう、文字通りのチート級のもの。
具体的に言うと目撃者の記憶を弄ることだって出来るし、逆に関係者全員を消すことさえも可能。
さらには、その気になりゃ世界をも改変出来るほどの力を持っている。
まさに最強にして最悪の能力の持ち主ってこと」
「なるほど……」
「それだけに対処法も限られてくる。その対策を練るためにもこうして直接接触を試みたってわけ。
それにしてもまさかこんなに可愛い女の子が出てきてくれるなんて思わなかったでしょ」
その通りだ。
「嬉しいこと言ってくれた礼にいいものを見せてあげる。
この薬を使うといい。一時的に身体能力をアップさせることができる」
差し出されたものを飲めば体が軽くなり、力が沸々と湧き出してくる。
「これで大抵の問題は解決できるはずだから」
なるほど、確かにその効果は絶大だ。
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