上 下
58 / 737

58.

しおりを挟む
「もし良ければ一緒に冒険をしてみないか?   もちろん強制はしないし断ってもらっでも一向にかまわない。だけど 実際に会えるのであれば出来る限りは便宜を図ってあげたいし お互いにとって利益が生まれる関係になりたいと思う。それが僕の願いだ」
などと提案をしてきたが、 色々とあって断る羽目になったが、 その理由というのが、
「あの……悪いんだけど……冒険はしばらく休みたいなと思っている。俺自身は、 大した人間でもないし、魔法についても初級レベルで満足してしまっているし、そもそも今の俺の状況で冒険者を続けられるかどうかもよく分からないし。何よりも仮に冒険者として 活動している最中に敵に襲われて俺が死ぬ可能性も充分にある。実際、命の危機を感じた場面に遭遇したこともあるから分かるだろ?   こう見えて昔は戦闘経験があるからある程度の対処は可能だと思っていても世の中はそういう理屈通りに物事が進むとは限らないからな」
「ああ、理解は出来た。それでいい、無理強いするつもりはない。それに最初から上手くいく奴なんてこの世にはいないから変に意気込み過ぎるよりは現状維持を目標に頑張ってもらえればいいかなって。ただし、魔法の方はいつか学んでみると良いかもしれないぞ。今後そういった機会が訪れる可能性もあるだろうしあくまで可能性の話でしか無いのだけれどもさ。とにかく人生は何が起こるかわかったもんじゃないんだ。希望を持つだけでも持ち続けてみるのは決して悪くないと自分は思うわけですよハイ!  そう考えた上での結論として今回は身を引くことにした」
というようなやりとりがありそれ以降この本と出会ってからは積極的に活用することにしたのである。
今となっては立派なコレクションの一角になっているが、やはり魔法使いを目指す者が読むべきなのは必須であると
判断するわけです。
そんなある日のことだった。
「ねえ、ちょっと聞きたい事があるの!」
と急に声を掛けられたと思ったら例の女性からのものだった。
一体どうしたというんだろうか……。
とりあえず話を聞いてみることにしよう。
彼女は【名探偵】の称号の持ち主で、その名前はルーナ・ディライト。
とある事情から、今は亡き父親の跡を継いで探偵として活動しているとのこと。
何故に探偵をしているのかというと、この世界では憲兵の代わりに探偵と呼ばれる職業が存在する。
といっても、普通の憲兵もいるにはいるのだが、その性質上、魔物などの討伐を主として活動しており、いわゆるモンスターバスター的な側面が強いので、それ以外の事件や犯罪を主に取り扱うのが
探偵の役割となっている。
当然のことながら、探偵は単独で仕事を請け負うこともあり、
「その報酬としてもらった依頼書の中にその魔道具らしきものが 描かれていたのを見てつい飛びついたのよ。そうしたらここに行き着いた次第で……。そういえばあんたの自己紹介がまだ済まなかったわね。あたしも名前を教えたんだし そっちも教えてくれたらいいわ。あ、ちなみにこれは善意で聞いているだけだから別に深い理由があるとかは気にしないように。ほら早く答えなさい」
「分かった分かった。俺の名前はユウト。
それと詳しい事情は言えないが、旅をしていてな。しばらくの間この村に滞在しようと思っていたところなんだよ」
「ふーん、そう」
いまいち興味を示さずに
自分の推理を語り始めた。
「その店は最近流行っているものなの。噂によればなかなか品揃えが良いみたいだし、それに加えて珍しい商品を置いているっていうことで有名なの。そこに行った人がこいつを売ろうとしていたのを見たの。この紙に書かれているものは魔力を増幅させる指輪であることは間違いないはずよ。その証拠に私が鑑定した結果 ではそう結果が出た。ちなみにこいつの名前はヘルバリングと言うの。そいつを持っていった後にどうなったかも調査済みなの。それによると、どうやら他の客とのやり取りの中で売り渡しちゃっていたことが発覚。つまり、あんたが手に入れたのはこれなの」
「つまりお前の勘違いだということだな?」
「いや……うん。まぁ……ねぇ」
少しばつが悪そうな顔をしている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...