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「どうしたの、急に俺に近づいてきて?」
と言われ、私は我に返る。
自分としては特に深い意味もなく自然に行動していたことなのでそれを指摘されてから少し慌ててしまう。
バレッド様に対して、私のことを可愛いと思ってくれるのだろうか、
私のことを抱いてくれたりするのだろうかと考えてしまっている自分に嫌気が差してくる。
(ダメよ!  いくら私がバレッド様のことが大好きといっても、
それで周りが見えなくなってしまえばバレッドに迷惑をかけちゃうんだから!
ちゃんとしなくてはいけない事はしない駄目なの、しっかりして!  マリアベル=レアード!)
「いえ、ただバレッド様と触れ合いたかっただけです。ごめんなさい」
私は謝罪をしてから名残惜しげに組んでいたその手を離そうとするのだが、
彼は私と手を繋ぐとその状態で私を抱き寄せる。
私は急な展開に驚きと動揺を隠せない。
「君は俺といるときはいつでも自由に触れていいんだよ?
俺はマリアの全部を受け入れたいんだから。
それが出来ない関係に俺たちはなるつもりは無いよ」
バレッド様の言葉に私は救われるような気がしてきたの。
「私達がどれだけ幸せかをアピールするためにこの関係を周囲に知らしめるためにも
私たちは今まで通りに過ごしていけば良いだけなんだ!
それだけで私たちが幸せだということはこの国中のみんなに伝えられるんだから!」
そう考えてみると何だか肩に入っていた力が抜けてきたような感覚になり自然と
笑みが溢れてきたのです。
バレッド様もそんな私の反応を見たのか口許を抑えて笑い始めたのだった。
「全く…………ほんと、マリアベルには敵わないな」
「へ?」
私がきょとんとしていると彼は立ち止まってこちらを振り返るとこう言ってくるのでした。
「あ、間違えてしまった。君のその綺麗で素敵な姿にはどんな宝石よりも輝いているよ。
例えどんな言葉を使ってでも足りないくらいに美しい。俺はそんなマリアベルのことが好きすぎて堪らない。
世界中の誰にでも見せびらかすつもりでマリアベルを自慢したいと思っている。
それにその瞳で俺以外を見るのは辞めて欲しいとさえ思ってしまう。
マリアベルのことを独占欲丸出しで俺は嫉妬に溺れてしまいそうだよ。
でも、それでも、俺はマリアベルの事を世界でたった一人の愛おしい女性だからね。
俺が愛する女性はマリアベル、ただ一人だけだ。そのことに間違いは一切無いから、
どうかその辺りは勘違だけは絶対にしてくれていないでくれ!」
彼の真剣な態度に一瞬気圧されそうになるが私は気を引き締め直すと彼と目を合わせてから
その想いにしっかりと応えていく。
そして二人で寄り添いながら私達の住んでいる皇宮へと戻るのでした。
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