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「おはようございますわ。私の旦那様。もう目覚めてますわよね?」
「ああおはよう。今起きる所だった。だがまだ俺にもう少しだけ時間を残しておいてくれないかな。
君はベッドで横になりながら待っているんだ。そして俺が君を労ってやろう」
「ありがとう、あなた。私の事が大好きなんだから、もっと素直になってもいいと思うの」
「お前にだけだ。他の女の事を考えたことなど一度としてあり得ん。それとおはようの挨拶だ」
「うんっ!」
ちゅっと唇を啄むだけのキスを交わすだけでも私は幸せなのである。
その後お互いに顔を合わせた後は私だけが先にお風呂場に向かうのだが
彼は一緒に入ろうとはせず私をじっと見送るだけだった。
何故だかお腹がチクチク疼いている。
それに最近変な夢ばかり見る。
それはバレッド様とは関係のない夢のはずだと言うのにどうしてもバレッド様と
何か関係のあるものだと思ってしまう。
これはいったいなんですの?
「バレッド様はどうされたんですか?」
私は今、屋敷にて使用人達への命令を下す為に主人の代理を務めているのはご存知の通りでありまして、
身勝手かつ自己中心的な判断によって彼らを危険な目に合わせないために最善を尽くしたいと思っている次第ですわ。
私の大事な人を守るためになら命を差し出しても構わないとも思うぐらいにまで
追い詰められているという事をお分かりいただいたら幸いではあります。
私はこの世で最も愛する男の為にならいくらでも己の命を捨てる事に躊躇がないと
言い切れるくらいにはバレッド様を尊敬している。
「マリアベル、今日のデートが終わって帰宅してから話が―――」
と彼が言いかけたところで私は即座に口を挟むように遮った。
「あら、もしかしてバレッド様。私から告白しようと思っていた事を
言い当てようと思っていたんじゃありませんわよね。
まさか私の心を読んでいるはずがありませんわ。私が貴方をどれだけ
理解しているかを分かっている筈がありませんもの」
「ふーん、そうかなら試させてもらうとするよ」
そう言って突然キスしてくると私の思考を読み取るかのように深く考え込んだ後にバレッド様は答えを出した。
「やはり君の考えていた通りだ。俺は別に君の心が読める訳じゃないけどなんとなく分かるんだよ。
なあ、こんなこと言ったら引くかもしれないけどさ、君にだけは本音で接して欲しいからさ、
偽りはなしにしてほしい、嫌ならはっきりと拒否してくれ!」
バレッド様は不安そうな表情をしながら私の反応を伺っていた。
それはそうだろう。
「はい。勿論、いいですよバレッド様。ただし、バレッド様が私のことを好きで
居続けて下さらないならすぐにでも別れさせていただきたくは思っています。
バレッド様にはその覚悟は御座いましか? ま、バレッド様なら大丈夫だとは思いたいですが」
と口にすると彼は安心してくれたのか笑顔になった。
「ああ、それなら問題ない」
そう口にして私の頭を撫で回すのは本当に可愛いらしい一面を見せて下さるものですね。
でもその程度では騙されませんから!
「でしたら、ここでセックスをして頂けませんか? バレッド様のせいで淫乱ですの」
「分かった」
私達の会話はこれで終わるが、私達はお互いを求めているので性欲を満たすべく身体を交えることにした。
私は下着姿になって仰向けになっているので彼も脱いでくださいねとお願いしたところ、
私の前では衣服を全て取らずには入らないと口を漏らしていた。
それから彼が服を脱ぎ捨てた後、彼は私を抱き寄せてくる。
裸体で肌を合わせる感触がこんなにも気持ちが良いものだと感じたことは一度もなかったわ。
バレッド様は私に対して優しくしてくれるし、とても大事にされているという実感がある。
なので毎日がとても充実していてとても楽なの。
私にとってこれほどまでに素晴らしい男性はいないと断言できるので
彼を手放すことなど考えられなくなってきている。
そう、今の私にとって彼は必要不可欠であり、無くてはならない存在になっているので
彼と引き離されようとしてしまうと発狂してもおかしくはないかもしれない。
「ああおはよう。今起きる所だった。だがまだ俺にもう少しだけ時間を残しておいてくれないかな。
君はベッドで横になりながら待っているんだ。そして俺が君を労ってやろう」
「ありがとう、あなた。私の事が大好きなんだから、もっと素直になってもいいと思うの」
「お前にだけだ。他の女の事を考えたことなど一度としてあり得ん。それとおはようの挨拶だ」
「うんっ!」
ちゅっと唇を啄むだけのキスを交わすだけでも私は幸せなのである。
その後お互いに顔を合わせた後は私だけが先にお風呂場に向かうのだが
彼は一緒に入ろうとはせず私をじっと見送るだけだった。
何故だかお腹がチクチク疼いている。
それに最近変な夢ばかり見る。
それはバレッド様とは関係のない夢のはずだと言うのにどうしてもバレッド様と
何か関係のあるものだと思ってしまう。
これはいったいなんですの?
「バレッド様はどうされたんですか?」
私は今、屋敷にて使用人達への命令を下す為に主人の代理を務めているのはご存知の通りでありまして、
身勝手かつ自己中心的な判断によって彼らを危険な目に合わせないために最善を尽くしたいと思っている次第ですわ。
私の大事な人を守るためになら命を差し出しても構わないとも思うぐらいにまで
追い詰められているという事をお分かりいただいたら幸いではあります。
私はこの世で最も愛する男の為にならいくらでも己の命を捨てる事に躊躇がないと
言い切れるくらいにはバレッド様を尊敬している。
「マリアベル、今日のデートが終わって帰宅してから話が―――」
と彼が言いかけたところで私は即座に口を挟むように遮った。
「あら、もしかしてバレッド様。私から告白しようと思っていた事を
言い当てようと思っていたんじゃありませんわよね。
まさか私の心を読んでいるはずがありませんわ。私が貴方をどれだけ
理解しているかを分かっている筈がありませんもの」
「ふーん、そうかなら試させてもらうとするよ」
そう言って突然キスしてくると私の思考を読み取るかのように深く考え込んだ後にバレッド様は答えを出した。
「やはり君の考えていた通りだ。俺は別に君の心が読める訳じゃないけどなんとなく分かるんだよ。
なあ、こんなこと言ったら引くかもしれないけどさ、君にだけは本音で接して欲しいからさ、
偽りはなしにしてほしい、嫌ならはっきりと拒否してくれ!」
バレッド様は不安そうな表情をしながら私の反応を伺っていた。
それはそうだろう。
「はい。勿論、いいですよバレッド様。ただし、バレッド様が私のことを好きで
居続けて下さらないならすぐにでも別れさせていただきたくは思っています。
バレッド様にはその覚悟は御座いましか? ま、バレッド様なら大丈夫だとは思いたいですが」
と口にすると彼は安心してくれたのか笑顔になった。
「ああ、それなら問題ない」
そう口にして私の頭を撫で回すのは本当に可愛いらしい一面を見せて下さるものですね。
でもその程度では騙されませんから!
「でしたら、ここでセックスをして頂けませんか? バレッド様のせいで淫乱ですの」
「分かった」
私達の会話はこれで終わるが、私達はお互いを求めているので性欲を満たすべく身体を交えることにした。
私は下着姿になって仰向けになっているので彼も脱いでくださいねとお願いしたところ、
私の前では衣服を全て取らずには入らないと口を漏らしていた。
それから彼が服を脱ぎ捨てた後、彼は私を抱き寄せてくる。
裸体で肌を合わせる感触がこんなにも気持ちが良いものだと感じたことは一度もなかったわ。
バレッド様は私に対して優しくしてくれるし、とても大事にされているという実感がある。
なので毎日がとても充実していてとても楽なの。
私にとってこれほどまでに素晴らしい男性はいないと断言できるので
彼を手放すことなど考えられなくなってきている。
そう、今の私にとって彼は必要不可欠であり、無くてはならない存在になっているので
彼と引き離されようとしてしまうと発狂してもおかしくはないかもしれない。
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