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だけど私はその真心を信じることが出来なくなっていた。
なぜなら私はもう彼のものにはならないからだ。
そしてバレッド様以外の人と子を生すことになるだろう。
つまりもう私達の関係は終わりを迎えているということだ。
そして今日がその当日だった。
バレッド様から呼び出されたのだが、私を呼び出すこと自体何か重要な意味があるに違いないと
警戒してしまっていたので待ち合わせ場所である喫茶店に着いたときには
すでに不安が押し寄せ始めていた。
店内に入り奥へ進むと見慣れた金髪の青年を見つけ、
安心感を覚えたが彼の様子が普段と異なっていたため一瞬躊躇ってしまう。
「バレッド様」
そう呼びかけるが反応は無く席についているはずの姿が確認できない為、
周囲を確認しようと思い首を動かす。
すると隣で手を繋いでおり一緒に座っている銀髪の女性を発見した。
彼女の外見はとても美しいのだが何故か私の中で不快感を
覚えてしまい戸惑っていたがすぐに我に返るとバレッド様に
挨拶をしてから空いている隣の座席へ腰掛ける。
「遅れてしまってごめんなさい。それとこんにちはですわ、ミネット様」
彼女は私の問いかけに返事をする代わりにバレッド様の頭を撫で始めた。
その姿を間近に見てしまったのもあって嫉妬してしまった私は
少し不機嫌になってバレッド様に質問をしてみることにする。
「それでバレッド様、私を呼んだ理由をお聞かせください」
それに対してバレッド様は嬉しそうな笑みを見せながら答える。
「簡単なことさ、マリアベルは俺の妻だよな、しかし、他に好きな人がいるだろう。
でな、離婚はしないが、その変わりに、その好きな人と一緒に毎日溺愛し、可愛がって
骨抜きにしてあげようじゃないか」
「そ、それがどういう事か分かって言っているのですか、バレッド様!」
私はそう叫び、立ち上がったのだが体が熱くなり動かなくなり、
バレッド様を見上げる事しかできなくなってしまった。
それを察したかのようにバレッド様は椅子から立ち上がり私の元にやってくる。
「俺は本気であるぞ、それにお前はそんな体になってしまったんだから 諦めることだ。
どう足掻いてもお前が元に戻る方法はないから無駄であるとだけ言っておくか」
「バレッド様、私が一体何をしたというの?
ただ好きになっただけでどうして酷い目にあわされなくてはいけないの?」
「俺だってお前をこんな風にしたくない、だからこれからは俺だけを想ってくれ。
でないとその綺麗な体は二度と使えなくなる事になる」
私はその意味を聞こうとするも上手く口を動かせず、
首を縦に振った。
私の目には涙が次々と溢れてきて、視界はどんどん滲んでいき 頬を濡らす雫は止まらなかった。
だがそれも仕方ないだろう。
私は既に心まで堕とされてしまっているのだから、
今の自分にできることは目の前の男性に全てを捧げ、
「どうか私を愛してくださいませ、旦那様♡」
と懇願する事だけだった。
そうして、数日後……。
「おい、しっかりと膣内を締め付けてくれよ、マリアベル」
「はい。承知致しました。精一杯頑張ります!」
私は今、バレッド様の命令通り性処理を行っている最中であった。
今では私達二人の関係が逆転してしまっており、
私が彼を喜ばせる事に尽力し続けているという状況にあるのだが、
不思議と苦ではなかったりする。
なぜなら私はもう彼のものにはならないからだ。
そしてバレッド様以外の人と子を生すことになるだろう。
つまりもう私達の関係は終わりを迎えているということだ。
そして今日がその当日だった。
バレッド様から呼び出されたのだが、私を呼び出すこと自体何か重要な意味があるに違いないと
警戒してしまっていたので待ち合わせ場所である喫茶店に着いたときには
すでに不安が押し寄せ始めていた。
店内に入り奥へ進むと見慣れた金髪の青年を見つけ、
安心感を覚えたが彼の様子が普段と異なっていたため一瞬躊躇ってしまう。
「バレッド様」
そう呼びかけるが反応は無く席についているはずの姿が確認できない為、
周囲を確認しようと思い首を動かす。
すると隣で手を繋いでおり一緒に座っている銀髪の女性を発見した。
彼女の外見はとても美しいのだが何故か私の中で不快感を
覚えてしまい戸惑っていたがすぐに我に返るとバレッド様に
挨拶をしてから空いている隣の座席へ腰掛ける。
「遅れてしまってごめんなさい。それとこんにちはですわ、ミネット様」
彼女は私の問いかけに返事をする代わりにバレッド様の頭を撫で始めた。
その姿を間近に見てしまったのもあって嫉妬してしまった私は
少し不機嫌になってバレッド様に質問をしてみることにする。
「それでバレッド様、私を呼んだ理由をお聞かせください」
それに対してバレッド様は嬉しそうな笑みを見せながら答える。
「簡単なことさ、マリアベルは俺の妻だよな、しかし、他に好きな人がいるだろう。
でな、離婚はしないが、その変わりに、その好きな人と一緒に毎日溺愛し、可愛がって
骨抜きにしてあげようじゃないか」
「そ、それがどういう事か分かって言っているのですか、バレッド様!」
私はそう叫び、立ち上がったのだが体が熱くなり動かなくなり、
バレッド様を見上げる事しかできなくなってしまった。
それを察したかのようにバレッド様は椅子から立ち上がり私の元にやってくる。
「俺は本気であるぞ、それにお前はそんな体になってしまったんだから 諦めることだ。
どう足掻いてもお前が元に戻る方法はないから無駄であるとだけ言っておくか」
「バレッド様、私が一体何をしたというの?
ただ好きになっただけでどうして酷い目にあわされなくてはいけないの?」
「俺だってお前をこんな風にしたくない、だからこれからは俺だけを想ってくれ。
でないとその綺麗な体は二度と使えなくなる事になる」
私はその意味を聞こうとするも上手く口を動かせず、
首を縦に振った。
私の目には涙が次々と溢れてきて、視界はどんどん滲んでいき 頬を濡らす雫は止まらなかった。
だがそれも仕方ないだろう。
私は既に心まで堕とされてしまっているのだから、
今の自分にできることは目の前の男性に全てを捧げ、
「どうか私を愛してくださいませ、旦那様♡」
と懇願する事だけだった。
そうして、数日後……。
「おい、しっかりと膣内を締め付けてくれよ、マリアベル」
「はい。承知致しました。精一杯頑張ります!」
私は今、バレッド様の命令通り性処理を行っている最中であった。
今では私達二人の関係が逆転してしまっており、
私が彼を喜ばせる事に尽力し続けているという状況にあるのだが、
不思議と苦ではなかったりする。
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