悪役令嬢は隣国へ嫁ぐようですよ!?~私は旦那様に愛されてそして生まれるRhapsody~

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
上 下
44 / 134

44.

しおりを挟む
「バレッドさまぁ」
そう呟けば彼は優しく髪を撫でてくれている。
とても心地が良く、ずっとこのままでいたかったが彼はゆっくりと離れていってしまう。
もう終わりなのかと悲しく思ってしまうが彼の口から出ていた言葉を思い出しては納得していたの。
「まだ時間も遅くないしもう少しデートを楽しまないか?」
私は笑顔で返事をした。
すると今度は腕に抱きついてもいいと言ってくれたので私は迷わずに飛びつくように抱きついていた。
彼は優しい。
それは出会った時から分かっていた。
だって私に対して凄く親切で優しかったんだもの。
「ねぇ、今度はどこにいくの?」
と聞けば彼は私の髪に指を通してきたのでドキドキしながら顔を真っ赤にさせているとクスっと笑われたわ。
彼は恥ずかしがっている私にキスをしてくると今度は耳元で囁いてくれる。
「俺の部屋に行かないか」
私はコクンと黙って静かに首を縦に振っていた。
するとまた手を繋いでくれて引っ張られるような形で歩いていき私達が向かう先は、このお城の一番上にある階だそうだ。
そこにある部屋の扉が開かれる。
中は綺麗に整えられていて、私の部屋より広く感じられた。
「今日はここで一緒に寝てくれないかな?
俺、もう抑えられそうもないんだよ」
そう言うやいなや、私の体を持ち上げたかと思った次の瞬間にはお姫様抱っこされていたのである。
ベッドの上に優しく置かれるとバレッド様が上に乗ってきて私の顔に手を伸ばすと撫でるように触れていた。
そして彼は頬にキスをしかけてくるとその行為は次第に下に下がっていき、私の首筋へと移動してきた。
くすぐったくてビクつくもバレッド様はそのまま舌を使って鎖骨から肩に掛けて舐めてくるとそのまま吸い付く様にキスをするの。
「あぅ、んん、ダメェ、痕付けちゃ駄目なのぉっ」
と、そう口にすれば、彼は顔を赤く染めながら困った顔を見せる。
彼は私の事を大事にしてくれるし、傷つけるような事はしないと分かっているので安心しているのだが、もし仮に痕が残ってしまったらと想像してしまうだけで体が震えるの。
それなのにこの人は私が嫌と言うことを分かっておきながらこうして痕を残すのである。
バレッド様は独占欲が強いの。
それを知っている私は彼にされるがままになってしまうのである。
でも、この人が好きだという想いだけは変わらないの。
例えバレッド様にとって私は都合の良い女に過ぎないと言われても構わないわ。
ただ、側にいてさえくれるのであればそれでも私は幸せなのだから―――そうしてこの日は二人で朝まで肌を重ねた後に同じベッドの中で眠っていったの。
翌日になり目を覚ますと隣にはバレッド様がいてくれたのである。
昨晩の事を思い出すと恥ずかしくなりながらも、嬉しさを噛みしめていたわ。
そうしてしばらくすると私はベッドの上で横になって天井を見ていたのだけど、そこで私は思い出してしまった。
私はこの世界に来てからというもののバレッド様の寵愛を受けてばかりで、この国の為には何もしていないのではないだろうか。
そんな風に思うようになっていたのである。
私はこの国を愛していたしバレッド様だって同じように愛してくれていると思っていたので、この国の為になることがしたかったの。
しかしバレッド様の愛情に甘えてばかりではいけないと思い立ち、この国に恩返しをしていかなければと考えたのである。
まずはこの国の歴史を知ることから始めようと思って本を読むことにしたわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko
恋愛
この国の宰相であるお父様とパーティー会場に向かう馬車の中、突然前世の記憶を思い出したロザリー。この国一番の美少女と言われる令嬢であるロザリーは前世では平凡すぎるOLだった。顔も普通、体系はややぽっちゃり、背もそこそこ、運動は苦手、勉強も得意ではないだからと言って馬鹿でもない。目立たないため存在を消す必要のないOL。そんな私が唯一楽しみにしていたのが筋肉を愛でること。ボディビルほどじゃなくてもいいの。工事現場のお兄様の砂袋を軽々と運ぶ腕を見て、にやにやしながら頭の中では私もひょいっと持ち上げて欲しいわと思っているような女の子。せっかく、美少女に生まれ変わっても、この世界では筋肉質の男性がそもそも少ない。唯一ドストライクの理想の方がいるにはいるけど…カルロス様は女嫌いだというし、絶対に筋肉質の理想の婚約相手を見つけるわよ。 ※設定ゆるく、誤字脱字多いと思います。気に入っていただけたら、ポチっと投票してくださると嬉しいですm(_ _)m

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫

梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。 それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。 飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!? ※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。 ★他サイトからの転載てす★

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。祝、サレ妻コミカライズ化
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

処理中です...