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そもそも、バレッド様が彼女を愛していないということは理解しており、
バレッド様も言っていたではないじゃないの。
つまりはこの令嬢とは形だけの結婚だったはずである。
だとしたら何故わざわざ行く必要があるのかという疑問があった。
しかも何のためになのかが分からない。
もしかしたら私のせいかもしれないと思う。
バレッド様がいなくなったのは私が捨てられたからなのではないかと思ってしまった。
もしそうなら、とても辛いが受け入れるしかないとも思っていた。
それからも私はバレッド様の行方について情報を集めてみる事にしたのだった。
だがいくら調べても見つからないので諦めかけていたある日の事だった。
バレッド様の同僚と名乗る男に声を掛けられる。
「あんたがマリアベル嬢かい。俺はバレッドの部下でラザニアっていうもんだよ。
バレッドの居場所なら知ってるぜ」
私は驚きつつも彼にバレッド様の居るところへと案内してもらう。
そこは街から離れた郊外で人気が全くなかった。
そこに小屋のような家が建っているのだが人が住んでいるような気配はなかった。
「バレッド様はここにはいない。今は別のところにいるんでな」
そう言って彼は去っていき、私は一人取り残されてしまった。
私は仕方なく家に上がり込んで中を調べてみるとベッドの上に手紙が置いてあった。
それは紛れもなくバレッド様が書いたものであると分かる。
私は封を開けて読んでみると驚愕するしかなかった。
そこには衝撃的な内容が書かれていたのである。
私はその日を境にバレッド様の元へ訪れるようになっていた。
毎日毎日、彼の帰りを待ち続ける。
そんな日々を過ごし続けていた。
だけど、彼はなかなか戻らないので私は寂しさを感じ始めていたそんなある日のことだった―――ついに
彼が帰ってきたという報告を受けて出迎えに向かった私の目に飛び込んできたのは何と
バレッド様がボロボロだったのです!
「バレッド様、その姿はいったいなにがありましたの」
私は慌てて駆け寄るが彼は疲れ切った様子でその場に座り込む。
私も一緒に座ると彼は口を開いた。
「実は俺、騙されてたみたいなんだ」
彼は語り始めた。
彼が所属していた部隊でとある事件が起きた。
それは部隊が壊滅させられてしまいバレッド様だけが命辛々と逃げ延びたそうだ。
しかも、その際にバレッド様は重傷を負って倒れているところを敵国の連中に
捕まりそのまま奴隷として扱われていたという。
「だから今の俺って訳だ」
自嘲するように笑みを見せた。
「許せない……バレッド様をここまで痛めつけるなんて絶対に、ゆるせない!」
怒りに震えていた私はバタンと倒れると意識を失った。
気が付けば真っ暗闇の空間にいた。
辺りを見回しても何も見えない。
ここはどこなんだろう。
それにどうして私はここに居るのだろうか。
私は戸惑う。
だけどその考えはすぐに消えた。
だってバレッド様に会えたのだから。
だけど私は自分の目を疑ってしまう。
というのも、姿形が変わっていたからである。
そう、以前の彼ではない。
なぜなら、私は裸体だったのである。
「バレッド、さまぁ……」
私が呼ぶと彼は私にキスをしかけてきた。
そして私を抱きしめる。
彼は以前より筋肉がついており、引き締まった体をしていて、
たくましい腕に抱かれて私は思わずドキドキしてしまう。
「会いたかった、ずっと君の事を想っていたんだ」
そう言うと今度は首筋に舌を這わせる。
「あぁっ」
ゾクッと背筋に快感が走る。
すると彼は私から離れていったので名残惜しそうにしていたらまた唇を重ねてくれる。
何度もキスを繰り返しているうちに彼の手はゆっくりと下へと向かっていき私の花弁へと伸びてくる。
そして触れた。
「んぅっ」
それだけでビクンと体が跳ねる。
バレッド様の指先が花弁へと入り込み優しく撫で上げるように刺激してくる。
「ぁぁっ、バレッド様、もっとぉ、お願いしますわぁっ」
快楽を求めるかのように自然と腰を動かしてしまい更なる強い悦楽を求めてしまう。
「君の為に頑張って稼いできたんだ。これからはずーっと二人だけでいよう」
私はバレッド様の首の後ろに手を回し抱きつくと自分から顔を近づけていきキスをする。
舌が絡み合い互いの唾液を交換しながら濃厚に求めあう。
私は幸せだった。
こんなにもバレッド様を愛して貰えるのが。
もう誰にも渡したくない。
例え神が相手であろうとも。
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