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そして行為が終わると私に抱きついてきたまま余韻に浸っていたのだが
しばらくすると離れてしまい寂しく感じながらも身なりを整えていく。
それからしばらくしてバレッド様が私を抱き寄せると唇を重ねてきて何度も繰り返しキスをした。
こうして幸せなひと時を過ごしていたのだがバレッド様のお仕事の邪魔に
ならないように私は部屋を出ていくことにする。
そしてお城に戻る途中、私はある男に遭遇する。
それは私が料理を作ることになった際にアドバイスをしてくれた人だった。
彼は私の事を気に入り、何度も迫ってきたのだがそれをバレッド様が助けてくれたのであった。
そうして事なきを得たかと思っていたがやはりそうは問屋が卸さなかったのだ。
あの時の男、料理長が再び姿を現して私は拘束されるとバレッド様から引き離した。
そうして連れて来られたのは地下室だった。
ここで何をされるのか分からないけどきっと酷いことをするつもりなのだと悟った。
そして彼は包丁を取り出すと私の腕に当ててスッと引いたのだ。
傷口から溢れ出す鮮血が地面を濡らし、私は悲鳴を上げる。
すると今度はもう片方の腕を切りつけていく。
何度も、何度も。
そうして私は意識を失いかけていたが、突然、激痛が走り意識を取り戻すと
男が馬乗りになっていて刃物を突き立てられていることに気づいた。
そしてその痛みに耐えきれず叫び続けるが徐々に感覚が無くなっていき身体を動かすことができなくなった。
それから私は彼に抱き寄せられると胸を押し当てられる。
そしてその状態で血を吸い取られていき貧血を起こしたのか視界が真っ暗になって倒れ込むと
そのまま気絶してしまうのだった。
それから数時間が経った頃だろうか?
意識を取り戻していくと見知らぬ部屋のベッドの上で寝ていることに気付いた。
起き上がることもできずにいると扉が開かれ一人の女性が入ってきて私を見ると駆け寄ってくる。
それから脈を計ったり体温を確認したりしてくる。
それから医者を呼びに行くと言い残しその場から去って行く。
しばらくしてやって来たお婆さんは聴診器を使って調べ始める。
そうこうするうちにバレッド様が駆けつけてきてくれたのだが私は声を出せずにいた。
なぜなら出血し過ぎた影響から声を出す体力がなくなってしまったせいである。
それでもどうにか声を出そうとして頑張っているうちに眠くなってしまい私は目を閉じてしまった。
次に目が覚めた時には夜になっていた。
どうやら眠ってしまったみたいだ。
するとバレッド様はお父様と話をしている。
私はどうなったのか尋ねるとお医者様によるとこのまま安静にしていれば助かるとのことらしい。
しかし私の血を大量に飲んだ男は命を落としてしまったのだった。
それから数日が経過し、私はすっかり元気になったのだけどバレッド様はとても責任を感じており、
申し訳なさそうにしているので私は笑顔で大丈夫だからと励ましてあげた。
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