悪役令嬢は隣国へ嫁ぐようですよ!?~私は旦那様に愛されてそして生まれるRhapsody~

一ノ瀬 彩音

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だから結局私は考えを放棄することにしたのよ。
どうせ考えたところで分からないものは分かりっこないものね。
だから、私はそれ以上考えることを止めたのよ。
そして、始業式は滞りなく終了したわ。
その後は各自の教室に戻って簡単な説明を受けた後、
「それでは皆さん、また明日会いましょう」
と言って解散となったわ。
それから私とリリスは一緒に寮へと戻ったわ。
そして部屋に戻るとまずは二人でお茶をすることにしたわ。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。いただきます」
私がカップを手渡すと彼女はそれを受け取って口をつけたわ。
「どうかしら?」
「美味しいですわ」
よかった。
口に合ったみたいね。
私もそれを飲む。
うん、我ながら上出来だわ。
こうして二人きりでゆっくりするのは久しぶりだし、
「ねえ、あなたって好きな人はいるのかしら?」
と聞いてみた。
すると彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまったわ。
あら、可愛い反応ね。
これは脈ありなのかしら?
そんなことを聞いてきた理由はもちろんあるわ。
だって私はアレン様一筋なのだから。
「別に隠す必要はないわよ。私には婚約者がいるのだけど、彼はとても素敵な方なの。
それでね、できれば彼と結ばれたいと思っているんだけど、なかなか上手くいかなくて困っているのよ」
私がそう言うと彼女は何故か目を輝かせて身を乗り出して来たわ。
一体どうしたのかしら?
まさかとは思うけど――。
いえ、きっと私の思い過ごしでしょう。
「あ、あの!  もしよろしければ相談に乗りますよ!」
やっぱりそうなるのね。
まあ、いいわ。
ちょうど誰かに相談したいと思っていたところだったし。
でも、その前に一つだけ確認しておかないとね。
「あの、念のために聞くけれど、もしかしてあなたにも婚約者がいたりするの?
例えばアレン様とか」
すると彼女は苦笑して首を横に振ったわ。
「違いますわ。私の婚約者は別の方ですよ」
あら、残念。
せっかく良い話相手が見つかったと思ったのに。
「あ、でもアレン様が嫌いというわけではないんですよ。
ただ、その、なんと言いますか、私には少しばかり刺激が強いといいますか……」
なるほどね。
そういう事なのね。
確かにアレン様って見た目はとても素敵だけど、中身はかなり変態だものね。
「なっ!?  そ、そこまではっきり言わなくてもいいじゃないですか!
酷いですわ!  マリアベルさん!(プンスカ)」
あらあら、怒らせちゃったかしら?
でも怒った顔も可愛いわね。
思わず抱きしめたくなっちゃうわ。
「ごめんなさい。でも、あなたのことが心配だったのよ。だって、アレン様って変態でしょう?」
「うぐぅ!  た、確かに否定できませんが……で、でもそれはマリアベルさんだって
人の事言えた義理ではないと思いますよ!
何しろあなたは―」
う~ん、そう言われると何も言い返せないわね。
「そうね、お互い人のことを言える立場ではなかったわね。でも安心して、もう私は吹っ切れたから」
「ふ、ふーん、そうなんですか。まあ、それなら別に構いませんが」
彼女はそう言って視線を逸らす。
どうやら機嫌が直ったみたいね。
良かったわ。
さて、これから彼女とは仲良くやっていけそうね。
「そう言えばあなたはどうしてこの学園に来たのかしら?」
「あ、はい。実は私、病気がちであまり学園に通ったことがなかったのですが、
最近ようやく体調が良くなってきたのでこの度入学することになりました」
「へぇー、そうだったの。大変だったわね」
「はい、ですので今からとても楽しみなんです」
そう言って笑う彼女の笑顔はとても可愛かったわ。
「ふふ、そうね。私もとても楽しみだわ」
それから私達は色々な話をして盛り上がったわ。
彼女の家は王都にあるらしいわ。
なんでもアークライト侯爵家といえば王国内でも有名な名家で、この国でも指折りの大貴族だとか。
そんな大貴族の娘ともなれば、きっと凄く苦労してきたんだろうな。
そう思うとなんだか親近感が湧いてきたわ。
そして、しばらく雑談した後、私は彼女に別れを告げることにしたわ。
「じゃあそろそろ私は帰るわね。今日は楽しかったわ。また明日会いましょう」
そう言うと彼女は少し寂しそうにしていたわ。
そして私は寮の部屋を出て、自分の部屋へと向かった。
そうすると廊下でアレン様と鉢合わせになるのですが、アレン様は隣国の王太子なのですけれど、
隣には何故か知りませんが父様が勝手に話を進めた婚約者のバレッズ皇帝がいるのです。
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