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エメアリアとシュバリアはまずは朝食を食べるために宿屋へ戻りました。
そうして、食堂へ向かうとメニュー表を見ながら注文をします。
「すみません、この店で一番の目玉料理を二つ下さい」
「かしこまりました」
シュバリアは店員に一番高いメニューを頼むと、エメアリアはシュバリアに尋ねます。
「シュバリア、どうしてそんなにお金を持っているのですか?」
「実はな、こういう時のために用意していたんだ」
「なるほど、そういう事でしたか」
「ああ、たまには贅沢もいいだろう?」
「そうですね、では、私はデザートにアイスを希望します」
「了解」
2人が注文を終えるとすぐに食事が運ばれてきました。
2人は食事を済ませて再び外へ出ると今度は街で遊び回ることになりました。
街で遊ぶと言ってもただブラついているだけではつまらないので、
2人は適当に目についた店を冷やかしながら時間を潰していきます。
そうしていくうちに時間が経ち始めた頃、エメアリアがこんなことを言い出します。
「そろそろ時間なので戻りましょうか」
「そうだな」
エメアリアとシュバリアは一通り街の中を歩き回った後で宿へ戻ることにしました。
そして、2人の泊まっている部屋に戻ってくるとエメアリアはシュバリアにこう告げました。
「それじゃあシュバリア、私と一緒に露天風呂へ行きましょう」
「いいぞ」
シュバリアは快諾すると早速、2人は浴室へ向かいました。
2人は服を脱いで裸体になると体を洗ってから浴槽に入ります。
2人は向かい合うように座るとシュバリアはエメアリアに話しかけました。
「気持ちいいな」
「そうですね」
「エメアリア」
「何ですか?」
「今日は本当に楽しかったな」
「ええ、とても充実した一日になりました」
「俺も同じだよ」
「そうですか、それはよかったです」
そうして、しばらくの間、2人で話をしているとやがて話題が無くなってきたのか
会話は途切れてしまいました。そうなってくると自然と沈黙の時間が訪れます。
しばらくの間、無言の状態が続いた後にシュバリアが口を開きました。
「なあ、エメアリア、一つ聞いても構わないかな?」
「はい、どうしましたか?」
「お前はこの先もずっと俺の傍に居てくれるか?」
シュバリアの問いに対してエメアリアはすぐに答えを出しませんでしたが、
しばらく考えた末に自分の想いを口にします。
「あなたの方こそ私の前から消えないでくださいね」
「消えるわけないだろう」
「本当ですか?」
「ああ、嘘じゃない」
「そうですか、安心しました」
「俺はお前の事が好きだから絶対に消えたりしない」
「私だって同じです」
「そうか、ありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
シュバリアはエメアリアに感謝の言葉を告げると、
エメアリアはシュバリアにこんな提案を持ち掛けます。
「シュバリア、これから2人でどこかへ出かけませんか?」
「いいぞ」
「ありがとうございます」
シュバリアはエメアリアの誘いに乗ると2人は浴場を上がって服を着ると
荷物を持って宿を出ました。
そうして、2人は街中を歩いているとふとシュバリアがエメアリアに声をかけます。
「エメアリア、一つ頼みがあるのだが」
「なんでしょうか?」
「お前と一緒に写真を撮りたい」
「写真とはどういう物なのでしょうか?」
「紙に絵を描いてそれを焼き付けたものだ」
「なるほど、分かりました」
エメアリアはシュバリアの提案を受け入れると2人で記念撮影をすることになりました。
シュバリアはエメアリアと肩を並べて歩くとカメラを構えてシャッターを切ります。
そうして、2人は撮ったばかりの写真を眺めて微笑みを浮かべました。
そうして2人はデートを終えて宿に戻ると部屋に戻って就寝しました。
翌日、目が覚めたエメアリアが隣を見るとそこには既に起きていたシュバリアの姿がありました。
「おはようございます、シュバリア」
「おはよう、エメアリア」
2人が起きてから少し経ってから2人の元に1人の女性が現れました。
その女性は2人に向かってこんな言葉をかけます。
「おはようございます、お客様」
「おはようございます」
「お部屋の方に朝食をお持ちしてもよろしいでしょうか?」
「お願いします」
シュバリアは女性に返事を返すと、女性の持ってきた朝食を食べ始めます。
そうしている間に女性が朝食を片付けて去っていった後でエメアリアに声をかけます。
「エメアリア」
「どうしましたか?」
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