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「シュバリア、私を愛してる?」
「はい、愛していますよ」
シュバリアは即答する。
「私も貴方だけをずっと愛し続けるわ」
エメアリアはシュバリアの頬にキスをして微笑む。
シュバリアはエメアリアを抱き寄せて、唇を重ねる。
そのまま2人は住処へと戻っていき、寝室へと移動する。
そしてシュバリアはエメアリアをベッドに押し倒す。
シュバリアの瞳に映るのはエメアリアだけであり、
エメアリアの瞳にもシュバリアしか映っていない。
そうして2人は何も言葉を発することなく、ただひたすらに互いを求めるのだった。
そうして、
「うふぅ……」
「ぐぉぁ……」
2人は同時に絶頂を迎えながら抱き合ったままベッドへと崩れる。
荒い呼吸音だけが室内に響いていたが、
その静寂を破ったのはやはりというかエメアリアだった。
「ねえ、今日ってお祭りじゃない?」
「え? あ! そうですね」
「確か最後に大きい花火を上げるらしいからそれを見たいわね」
確かにシュバリアの街では今夜から1週間の間、祭りが開かれることになっている。
10日間の予定で王都から楽団を招聘しての演奏会が行われたり、
3つの大広場で色々行われたりするらしいのだが正直なところシュバリアはあまり興味がない。
しかし、エメアリアと一緒ならば見てもいいかと思ったが、
その表情は暗いままだったことを思いだす。
「エメアリアは……やっぱり見に行きたいですか?」
「そうね、行きたくないと言ったら嘘になるけど…… でも、
私はシュバリアと居られればそれだけで十分よ」
「エメアリア」
シュバリアはエメアリアに覆いかぶさるようにして抱きしめる。
「僕は絶対にあなたから離れません。
だからエメアリアは僕と一緒にいるだけで幸せなんですよ」
「シュバリア……」
「それに、この街は好きになれそうですしね」
そう言ってシュバリアは笑みを浮かべる。
エメアリアはシュバリアの言葉を聞いて心の底が暖かくなっていくのを感じた。
そしてシュバリアの頭を優しく撫でながら、
「そうね、私たちの思い出の場所が増えるんだもの。
嫌いになれるわけが無いわよね」
そうして2人は最後の時間を過ごすのだった。
そうして2人は夕方近くまで愛し合うと、
エメアリアは夕食の準備の為に厨房へ向かい、
シュバリアは寝室の掃除を行う。
寝室の清掃が終わったところで、エメアリアから声がかかる。
「シュバリア、そろそろ支度をするから手伝ってくれるかしら」
「はい、もちろんですよ」
そうして、エプロン姿のエメアリアとシュバリアは夕食の用意を進めていく。
今日のメニューはパンとスープとサラダと、 ごく普通の夕食である。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
2人は食事を始めて、会話を弾ませながら食事は進んでいく。
「そういえば、エメアリアは何か欲しいものとかありますか?」
「んー特にはないかな。
強いて言えばシュバリアが買ってくれるものなら何でもうれしいかしら」
「そういうのが一番困るんですが」
「じゃあ、シュバリアが選んでくれたものがほしいわ」
「分かりました」
そんな他愛もない話をしながら食事を終えると、
2人は食後のお茶を飲みながらまったりと過ごす。
「そうそう、明日は少し街を出ようと思うのだけど、どうかしら?」
「構いませんが、どこに行くのでしょうか?」
「昔、よく行っていた湖があるんだけど、そこに行ってみたいの。
覚えているかしら、初めて出会った場所」
「あ、あそこですか。懐かしいですね。
分かりました。準備しておきましょう」
シュバリアはエメアリアの望みをかなえるべく、
頭の中で必要な物を書き出して整理していく。
(そういえば、あの時もこうやって色々な事を考えていたっけ)
そう思うとシュバリアは自然と笑顔がこぼれた。
翌朝、シュバリアはエメアリアと共に街を出る。
向かう先は街を出て街道を北に10kmほど行ったところにある。
森を抜けると目の前に広がるのは青々とした草原である。
その奥には巨大な山が聳えており、
麓には綺麗な水が湧き出す泉があった。
シュバリアはエメアリアを連れて、
その湖の畔へと向かう。
「ここは変わらないわね」
「ええ、本当に」
2人は湖畔に立つとその風景を眺めていた。
しばらくするとエメアリアが口を開く。
「ねぇ、ここで結婚式を挙げない?」
「ここで、ですか」
「うん、そうすればシュバリアと私が夫婦だって皆に証明できるわ。
もう、誰も邪魔なんて出来ないわよ」
そう言うエメアリアの表情はとても明るく、
シュバリアはその言葉に喜んで同意する。
そうして2人はこの場で結婚する事を決めた。
まず、シュバリアが地面に魔法陣を描く。
その中央にはシュバリアが描いた紋章があり、
その上にエメアリアが立つことで完成する。
完成した瞬間に2人を光が包み込み、
シュバリアの紋章はエメアリアに、
エメアリアのほうはシュバリアの紋章へと変わっていく。
こうして2人は正式に結婚したのであった。
その後、2人はこの場に残ることを決め、
シュバリアはエメアリアの傍にいる事を決め、
2人で寄り添いながら、
これからの事を話していく。
シュバリアはエメアリアが望む事は全て叶えるつもりだが、
エメアリアの願いはシュバリアの傍にいることなので、
出来る限りの事はするつもりだ。
エメアリアはシュバリアが居てくれれば他には何も要らないと言うが、
シュバリアはエメアリアと自分の子供に会いたいと願った。
エメアリアはシュバリアの気持ちを尊重して、
それについては賛成してくれた。
エメアリアはシュバリアとの間に子供が出来たら必ず産むと約束してくれる。
シュバリアはエメアリアの優しさに涙が出そうになるが、
何とかこらえてエメアリアにキスをして、
その体を優しく抱きしめるのだった。
それから2人は寄り添い合いながら静かに過ごしていたが、
日が暮れてきたので野営の準備を始める。
「エメアリア、テントを張っておくので薪を集めてきてもらえませんか?」
「分かったわ。任せておいて」
エメアリアはそう言って森の中に入っていき、
シュバリアはその間にテントを張る。
しばらくして、エメアリアが戻ってくると、
シュバリアは火を起こして料理を作り始める。
「エメアリア、もう少し待っていてくださいね」
「ええ、楽しみにしてるわ」
そうして、エメアリアはシュバリアの隣に座って一緒に待つことにした。
2人の距離はとても近く、 時折手を重ねて微笑み合う。
シュバリアはエメアリアが傍にいるだけで幸せを感じてしまう。
それが永遠に続くことを祈って。
「はい、愛していますよ」
シュバリアは即答する。
「私も貴方だけをずっと愛し続けるわ」
エメアリアはシュバリアの頬にキスをして微笑む。
シュバリアはエメアリアを抱き寄せて、唇を重ねる。
そのまま2人は住処へと戻っていき、寝室へと移動する。
そしてシュバリアはエメアリアをベッドに押し倒す。
シュバリアの瞳に映るのはエメアリアだけであり、
エメアリアの瞳にもシュバリアしか映っていない。
そうして2人は何も言葉を発することなく、ただひたすらに互いを求めるのだった。
そうして、
「うふぅ……」
「ぐぉぁ……」
2人は同時に絶頂を迎えながら抱き合ったままベッドへと崩れる。
荒い呼吸音だけが室内に響いていたが、
その静寂を破ったのはやはりというかエメアリアだった。
「ねえ、今日ってお祭りじゃない?」
「え? あ! そうですね」
「確か最後に大きい花火を上げるらしいからそれを見たいわね」
確かにシュバリアの街では今夜から1週間の間、祭りが開かれることになっている。
10日間の予定で王都から楽団を招聘しての演奏会が行われたり、
3つの大広場で色々行われたりするらしいのだが正直なところシュバリアはあまり興味がない。
しかし、エメアリアと一緒ならば見てもいいかと思ったが、
その表情は暗いままだったことを思いだす。
「エメアリアは……やっぱり見に行きたいですか?」
「そうね、行きたくないと言ったら嘘になるけど…… でも、
私はシュバリアと居られればそれだけで十分よ」
「エメアリア」
シュバリアはエメアリアに覆いかぶさるようにして抱きしめる。
「僕は絶対にあなたから離れません。
だからエメアリアは僕と一緒にいるだけで幸せなんですよ」
「シュバリア……」
「それに、この街は好きになれそうですしね」
そう言ってシュバリアは笑みを浮かべる。
エメアリアはシュバリアの言葉を聞いて心の底が暖かくなっていくのを感じた。
そしてシュバリアの頭を優しく撫でながら、
「そうね、私たちの思い出の場所が増えるんだもの。
嫌いになれるわけが無いわよね」
そうして2人は最後の時間を過ごすのだった。
そうして2人は夕方近くまで愛し合うと、
エメアリアは夕食の準備の為に厨房へ向かい、
シュバリアは寝室の掃除を行う。
寝室の清掃が終わったところで、エメアリアから声がかかる。
「シュバリア、そろそろ支度をするから手伝ってくれるかしら」
「はい、もちろんですよ」
そうして、エプロン姿のエメアリアとシュバリアは夕食の用意を進めていく。
今日のメニューはパンとスープとサラダと、 ごく普通の夕食である。
「いただきます」
「はい、どうぞ」
2人は食事を始めて、会話を弾ませながら食事は進んでいく。
「そういえば、エメアリアは何か欲しいものとかありますか?」
「んー特にはないかな。
強いて言えばシュバリアが買ってくれるものなら何でもうれしいかしら」
「そういうのが一番困るんですが」
「じゃあ、シュバリアが選んでくれたものがほしいわ」
「分かりました」
そんな他愛もない話をしながら食事を終えると、
2人は食後のお茶を飲みながらまったりと過ごす。
「そうそう、明日は少し街を出ようと思うのだけど、どうかしら?」
「構いませんが、どこに行くのでしょうか?」
「昔、よく行っていた湖があるんだけど、そこに行ってみたいの。
覚えているかしら、初めて出会った場所」
「あ、あそこですか。懐かしいですね。
分かりました。準備しておきましょう」
シュバリアはエメアリアの望みをかなえるべく、
頭の中で必要な物を書き出して整理していく。
(そういえば、あの時もこうやって色々な事を考えていたっけ)
そう思うとシュバリアは自然と笑顔がこぼれた。
翌朝、シュバリアはエメアリアと共に街を出る。
向かう先は街を出て街道を北に10kmほど行ったところにある。
森を抜けると目の前に広がるのは青々とした草原である。
その奥には巨大な山が聳えており、
麓には綺麗な水が湧き出す泉があった。
シュバリアはエメアリアを連れて、
その湖の畔へと向かう。
「ここは変わらないわね」
「ええ、本当に」
2人は湖畔に立つとその風景を眺めていた。
しばらくするとエメアリアが口を開く。
「ねぇ、ここで結婚式を挙げない?」
「ここで、ですか」
「うん、そうすればシュバリアと私が夫婦だって皆に証明できるわ。
もう、誰も邪魔なんて出来ないわよ」
そう言うエメアリアの表情はとても明るく、
シュバリアはその言葉に喜んで同意する。
そうして2人はこの場で結婚する事を決めた。
まず、シュバリアが地面に魔法陣を描く。
その中央にはシュバリアが描いた紋章があり、
その上にエメアリアが立つことで完成する。
完成した瞬間に2人を光が包み込み、
シュバリアの紋章はエメアリアに、
エメアリアのほうはシュバリアの紋章へと変わっていく。
こうして2人は正式に結婚したのであった。
その後、2人はこの場に残ることを決め、
シュバリアはエメアリアの傍にいる事を決め、
2人で寄り添いながら、
これからの事を話していく。
シュバリアはエメアリアが望む事は全て叶えるつもりだが、
エメアリアの願いはシュバリアの傍にいることなので、
出来る限りの事はするつもりだ。
エメアリアはシュバリアが居てくれれば他には何も要らないと言うが、
シュバリアはエメアリアと自分の子供に会いたいと願った。
エメアリアはシュバリアの気持ちを尊重して、
それについては賛成してくれた。
エメアリアはシュバリアとの間に子供が出来たら必ず産むと約束してくれる。
シュバリアはエメアリアの優しさに涙が出そうになるが、
何とかこらえてエメアリアにキスをして、
その体を優しく抱きしめるのだった。
それから2人は寄り添い合いながら静かに過ごしていたが、
日が暮れてきたので野営の準備を始める。
「エメアリア、テントを張っておくので薪を集めてきてもらえませんか?」
「分かったわ。任せておいて」
エメアリアはそう言って森の中に入っていき、
シュバリアはその間にテントを張る。
しばらくして、エメアリアが戻ってくると、
シュバリアは火を起こして料理を作り始める。
「エメアリア、もう少し待っていてくださいね」
「ええ、楽しみにしてるわ」
そうして、エメアリアはシュバリアの隣に座って一緒に待つことにした。
2人の距離はとても近く、 時折手を重ねて微笑み合う。
シュバリアはエメアリアが傍にいるだけで幸せを感じてしまう。
それが永遠に続くことを祈って。
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