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するとそこには信じられない光景が広がっていた。
見たこともない綺麗な女性が佇んでおりその周囲には大量の金貨と宝石類が置かれており更には金銀財宝までもがあった。
こんなものを手に入れた覚えはないんだけど一体どこから来たのか不思議でならなかった。
もしかすると誰かの罠なのかもと思ったけどそれにしてはあまりに手が込み過ぎているというか違和感を覚えるくらいに出来すぎているためその線は薄いかもしれない。
ただ単に偶然この場所に落ちてきただけと考えた方が自然だと思う。
でもそうなるとこの宝箱の中に詰まっているお金はどうやって手に入れたのだろう。
疑問が次々と湧いて出てくるが考えてもわかるものではないと判断した。
とりあえず持ち主が現れなかった場合は全て貰っても構わないと言われているので遠慮なく頂戴することにする。
これだけあれば一生遊んで暮らせるどころか裕福な生活が出来るのではと思ってしまうほど沢山の金額が入っていた。
とりあえず今は必要ないため後回しにしその場を去ることにする。
屋敷に戻ると早速このことを両親に伝えようと考え急いで部屋へ戻ると手紙を書き始めた。
宛先は王都に住んでいる我が家の使用人宛てだ。
内容は至ってシンプルかつ簡単だ。
現在この街に来ているのは父と母だけで使用人は誰もいないため代わりに行って欲しいという内容だ。
本来ならば自分で行けばいいのだろうがあいにく忙しくとてもじゃないが行ける状況ではないため代理として送り込むことにした。
ちなみにだが両親は二人で旅行に出かけている最中なのだ。
表向きは新婚気分を味わいたいという名目になっているが実際の目的は違う。
簡単に言うと婚約破棄をするためにわざとそうしたのである。もちろんこれには理由がありそれは相手の方にある。
その相手とは王子のことだ。
彼が原因である。
というのもそもそも今回の騒動を引き起こした張本人であるためその責任を取ってもらうために自ら犠牲になることを決めたのである。
そのためにまず第一段階として彼に婚約者がいることを知らせた上でこちらには別の好きな人がいることを伝えその上で婚約者とは別れたのでこれからも仲良くして欲しいと言ってきたので了承したということになっている。
だが実際にはまだ別れてはいない。
なぜならばその事を伝えたら逆切れされて殴られた挙句に一方的に罵倒されまくったからである。
その件について私は被害者側なのになぜこのような仕打ちを受けるのか全くわからない。
確かに少しばかりやり過ぎたとは思っているがそこまで怒るようなことではないはずだ。
むしろ謝るべきなのは向こうの方だと思っている。
だって私は悪くないもの。
悪いとすれば全てあいつが悪いのだ。
とにかくこのまま放置しておくと何をされるかわかったもんではないので再び文句を言いに行こうとしたところで運の悪い事に風邪を引いて寝込んでしまった。
さらにタイミングを見計らうようにして例の男が訪ねて来たのだ。
なんとわざわざ見舞いに来てくださるというではないか!
これはチャンスだと思い男が来るまでの間ひたすら待ち続けた。
しかしいざやって来た男は開口一番にとんでもない発言をかましてきた。
なんとその男は自分のことが好きらしく是非とも妻に迎えたいと言うのだ。
しかし当然ながら即答で断るつもりだったのだけど突然のことで頭が混乱してしまい返事に困ってしまう。
ここで断ればきっとまた面倒なことになるに違いない。
それならいっそ付き合ってみて様子を伺うのもありかなと思う。
そこでしばらくデートを繰り返してから結論を出すことにした。
しかし意外にも紳士的で優しくしてくれるので次第に惹かれていった。
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