222 / 236
222.
しおりを挟む
そしてその日は解散する事になったのである。
(ルミナスに相談したら、解決するかもしれない)
そう思った俺は彼女に相談する事にしたのだった。
「あのさ、ルミナスに相談があるんだけど」
と聞くと彼女は快く応じてくれたのだ。
そこで先程父に言われた事を話してみると、やはり彼女も様子がおかしかったと言う事なので何か知っている可能性が高いと判断したのである。
「とりあえず、明日の朝もう一度訪ねてみましょう」
と言う彼女の言葉に頷くと、その日は解散する事にしたのだった。
翌朝、ルミナスと共に父の部屋を訪れたのだが、やはり父はいなかったのだ。
代わりに母が出てきて言ったのである。
「ごめんね、あの子今出掛けているの」
(どこ行ったんだよ!)
そう思いながらも仕方がないので待つことにした俺達だったのだが結局その日中に戻ってくることは無かったのだ……。
そして次の日の朝になると、母は深刻な表情でこう言ったのである。
「リュート君、貴方に会いたいという魔族の方がいるのだけれど……」
そう言われた瞬間に俺は嫌な予感を感じていたのだが断るわけにもいかず仕方なく会う事にしたのである。
「はじめまして、あなたがリュート君ですね?」
そう言って話しかけてきたのは魔族の少女であり、その表情は非常に穏やかだった。
どうやら悪い人物では無さそうだと思い、挨拶を交わす事にした俺は彼女に話しかけようとしたのだが、それよりも先に彼女が口を開いた。
「私はルミエールと申します」
そう名乗った彼女は優雅な仕草で一礼した後に俺に向かって微笑んだのだ。
その表情を見て思わず見惚れてしまいそうになってしまったが、すぐに気を取り直して彼女に話しかけた。
すると彼女は驚いたような表情を見せた後に納得したように頷くとこう言ってきたのである。
「あら、あなたには人間の血が入っているのね? 私と同じ魔族の血を引く者……そんな貴方が俺達の魔王になるなんて思いもしなかったわ」
と言う彼女の言葉を聞いて俺は困惑してしまったのだが、
「何、言っているんだ、魔王は父さんだろう」
と答えると、彼女は笑みを浮かべながらこう言ったのだ。
「そうね、貴方は何も知らないのよね……いいわ、教えてあげる」
その言葉に思わず身構えた俺を見てクスクスと笑った後、こう続けたのである。
「貴方を魔王に育て上げる、その為の準備をしていたのよ……さあ行くわよ」
そう言って俺の手を取るとそのまま歩き始めたのである。
(一体何が起こっているんだ?)
戸惑いながらも彼女に付いていくことにしたのだが、その時に見た彼女の横顔はとても嬉しそうだったのを覚えている。
そして連れてこられた先は何故か俺の部屋だったのだが、そこには一人の女性が待っていたのだ。
その女性は俺を見ると満面の笑みで出迎えてくれたのだった。
「御父様がお会いになるそうです」
「お前、魔族だな」
そう尋ねると彼女は驚きながらも嬉しそうに頷くとそのまま魔王の間に通された。
そこで待っていたのは、父クロードとその補佐官だった。
「父さん、ルミエール、これは一体どういう事なんだ?」
と尋ねると父も母も黙ったままだったので、仕方なく話を聞こうと思ったのだが……。
「お前には、魔族領地、エルフィに行って貰いたい」
と唐突に切り出された為、何の事やら理解できなかったので、聞き返そうとしたその時だった。
「えっ!?」
という声が聞こえたかと思うと背後で物音がしたと思ったらルミエールが後ろに立っていたのだ。
「エルフィに行くのは反対です、魔王クロード様、貴方は自分の子がかわいくは無いのですか?」
「勇者としての力を見込んでの事だ、父の代わりに、出向いてくれ、リュートよ」
父の言葉と共に、俺はエルフィへと旅立った。
俺の両親から、お前とルミエールを娶る事を許すと言われて、頭が真っ白になった所で我に返ったのを覚えている。
(いやいやいや、ちょっと待って下さいよ!)
そんな俺の心情とは裏腹に話はどんどん進んでいったのだった……。
リュート達が住む国は魔族に支配されていますが比較的平和です。
魔王城にいる将軍は人懐っこく世話焼きな性格で領民からの評判も良く、領民からの信頼も厚く慕われていましたが反乱が起きた
際は容赦なく鎮圧したのですがその際に多くの犠牲が出てしましました。
「なあ、リーゼ。メイドとして雇うには言葉遣いも礼儀作法もなってないから、仕事はないな」
俺とマリーは二人で過ごしているし、王女だったことは王城でも隠し通せたので侍女ではなくメイドが必要だと母親に伝えに行くと即答されてしまった。
まあ俺は自分の面倒も見切れないし、今までこうしてきたのだから問題ないと思う。
と言うよりこんなに可愛いのだからこのまま逃したくないというのが本心だ。
幸い見た目はまだ少女だが成長すれば大丈夫だろうと軽く考えていたのだが……その考えは甘かったようで、後々わかることでもあった。
「ひ、人外が住む森。」
目の前の森を見て俺は絶望した。
確かにゲームの中ではダンジョンが存在し、リュートはそこに向かうことになるのだが、
今いるこの森は明らかに怪しい雰囲気を醸し出している。
何故なら夜になったというのに一向に暗くならず、むしろ明るくなっているからだ。
普通ならあり得ない現象であり、これは何かあると警戒を強めるのが普通だが
俺の呟きにリーゼがビクッと震えたのが分かったので彼女を抱き締めると安心させるように言うのだ。
「大丈夫、俺が守ってやるさ。」
先程まで王女だった少女はというと今にも泣きそうな表情を浮かべながらも笑顔を見せて言ったのだった。
すみませんその見た目で子供っぽいのはずるいです。
(ルミナスに相談したら、解決するかもしれない)
そう思った俺は彼女に相談する事にしたのだった。
「あのさ、ルミナスに相談があるんだけど」
と聞くと彼女は快く応じてくれたのだ。
そこで先程父に言われた事を話してみると、やはり彼女も様子がおかしかったと言う事なので何か知っている可能性が高いと判断したのである。
「とりあえず、明日の朝もう一度訪ねてみましょう」
と言う彼女の言葉に頷くと、その日は解散する事にしたのだった。
翌朝、ルミナスと共に父の部屋を訪れたのだが、やはり父はいなかったのだ。
代わりに母が出てきて言ったのである。
「ごめんね、あの子今出掛けているの」
(どこ行ったんだよ!)
そう思いながらも仕方がないので待つことにした俺達だったのだが結局その日中に戻ってくることは無かったのだ……。
そして次の日の朝になると、母は深刻な表情でこう言ったのである。
「リュート君、貴方に会いたいという魔族の方がいるのだけれど……」
そう言われた瞬間に俺は嫌な予感を感じていたのだが断るわけにもいかず仕方なく会う事にしたのである。
「はじめまして、あなたがリュート君ですね?」
そう言って話しかけてきたのは魔族の少女であり、その表情は非常に穏やかだった。
どうやら悪い人物では無さそうだと思い、挨拶を交わす事にした俺は彼女に話しかけようとしたのだが、それよりも先に彼女が口を開いた。
「私はルミエールと申します」
そう名乗った彼女は優雅な仕草で一礼した後に俺に向かって微笑んだのだ。
その表情を見て思わず見惚れてしまいそうになってしまったが、すぐに気を取り直して彼女に話しかけた。
すると彼女は驚いたような表情を見せた後に納得したように頷くとこう言ってきたのである。
「あら、あなたには人間の血が入っているのね? 私と同じ魔族の血を引く者……そんな貴方が俺達の魔王になるなんて思いもしなかったわ」
と言う彼女の言葉を聞いて俺は困惑してしまったのだが、
「何、言っているんだ、魔王は父さんだろう」
と答えると、彼女は笑みを浮かべながらこう言ったのだ。
「そうね、貴方は何も知らないのよね……いいわ、教えてあげる」
その言葉に思わず身構えた俺を見てクスクスと笑った後、こう続けたのである。
「貴方を魔王に育て上げる、その為の準備をしていたのよ……さあ行くわよ」
そう言って俺の手を取るとそのまま歩き始めたのである。
(一体何が起こっているんだ?)
戸惑いながらも彼女に付いていくことにしたのだが、その時に見た彼女の横顔はとても嬉しそうだったのを覚えている。
そして連れてこられた先は何故か俺の部屋だったのだが、そこには一人の女性が待っていたのだ。
その女性は俺を見ると満面の笑みで出迎えてくれたのだった。
「御父様がお会いになるそうです」
「お前、魔族だな」
そう尋ねると彼女は驚きながらも嬉しそうに頷くとそのまま魔王の間に通された。
そこで待っていたのは、父クロードとその補佐官だった。
「父さん、ルミエール、これは一体どういう事なんだ?」
と尋ねると父も母も黙ったままだったので、仕方なく話を聞こうと思ったのだが……。
「お前には、魔族領地、エルフィに行って貰いたい」
と唐突に切り出された為、何の事やら理解できなかったので、聞き返そうとしたその時だった。
「えっ!?」
という声が聞こえたかと思うと背後で物音がしたと思ったらルミエールが後ろに立っていたのだ。
「エルフィに行くのは反対です、魔王クロード様、貴方は自分の子がかわいくは無いのですか?」
「勇者としての力を見込んでの事だ、父の代わりに、出向いてくれ、リュートよ」
父の言葉と共に、俺はエルフィへと旅立った。
俺の両親から、お前とルミエールを娶る事を許すと言われて、頭が真っ白になった所で我に返ったのを覚えている。
(いやいやいや、ちょっと待って下さいよ!)
そんな俺の心情とは裏腹に話はどんどん進んでいったのだった……。
リュート達が住む国は魔族に支配されていますが比較的平和です。
魔王城にいる将軍は人懐っこく世話焼きな性格で領民からの評判も良く、領民からの信頼も厚く慕われていましたが反乱が起きた
際は容赦なく鎮圧したのですがその際に多くの犠牲が出てしましました。
「なあ、リーゼ。メイドとして雇うには言葉遣いも礼儀作法もなってないから、仕事はないな」
俺とマリーは二人で過ごしているし、王女だったことは王城でも隠し通せたので侍女ではなくメイドが必要だと母親に伝えに行くと即答されてしまった。
まあ俺は自分の面倒も見切れないし、今までこうしてきたのだから問題ないと思う。
と言うよりこんなに可愛いのだからこのまま逃したくないというのが本心だ。
幸い見た目はまだ少女だが成長すれば大丈夫だろうと軽く考えていたのだが……その考えは甘かったようで、後々わかることでもあった。
「ひ、人外が住む森。」
目の前の森を見て俺は絶望した。
確かにゲームの中ではダンジョンが存在し、リュートはそこに向かうことになるのだが、
今いるこの森は明らかに怪しい雰囲気を醸し出している。
何故なら夜になったというのに一向に暗くならず、むしろ明るくなっているからだ。
普通ならあり得ない現象であり、これは何かあると警戒を強めるのが普通だが
俺の呟きにリーゼがビクッと震えたのが分かったので彼女を抱き締めると安心させるように言うのだ。
「大丈夫、俺が守ってやるさ。」
先程まで王女だった少女はというと今にも泣きそうな表情を浮かべながらも笑顔を見せて言ったのだった。
すみませんその見た目で子供っぽいのはずるいです。
0
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説

私のバラ色ではない人生
野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。

王命って何ですか?
まるまる⭐️
恋愛
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************

【完結】正妃に裏切られて、どんな気持ちですか?
かとるり
恋愛
両国の繁栄のために嫁ぐことになった王女スカーレット。
しかし彼女を待ち受けていたのは王太子ディランからの信じられない言葉だった。
「スカーレット、俺はシェイラを正妃にすることに決めた」

離縁したいオメガの話
のらねことすていぬ
BL
オメガのリエトは、騎士団長の夫に愛されていない。
だったら他の男の妻になってしまえと、離縁を切り出すけれど……?
※文学フリマ東京で無料配布したペーパーの再掲です。

婚約破棄の現場に遭遇したので私から求婚することにしました!白豚と嘲笑った皆様には誠心誠意お返しさせていただきます!
ゆずこしょう
恋愛
父母に言われ、無理矢理夜会に参加することになったメロライン。
壁の花に徹していると…突然女性が誰かを糾弾し始めた。
「私、貴方のようなデブで吹き出物だらけの豚とは結婚できませんわ!」
「そ、そんな…そんなこと言わないでくれ…」
女性に縋り付く男性をもう1人の男が勢いよく蹴り上げる。
「残念だったな…オルラフィオ王太子殿下。お前とパルサティラの婚約は今日この日を持って破棄させてもらおう。」
一人の男が鼻血を出しながら膝から崩れ落ちた。
「フッ…なんだ。あんな性根の腐ったヤツらなんて放っておけ。オルラフィオ王太子殿下いいことを考えたぞ。私と婚約するのはどうだろうか。」
閃いたとばかりにメロラインはオルラフィオに求婚を迫ったのであった。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

余四郎さまの言うことにゃ
かずえ
BL
太平の世。国を治める将軍家の、初代様の孫にあたる香山藩の藩主には四人の息子がいた。ある日、藩主の座を狙う弟とのやり取りに疲れた藩主、玉乃川時成は宣言する。「これ以上の種はいらぬ。梅千代と余四郎は男を娶れ」と。
これは、そんなこんなで藩主の四男、余四郎の許婚となった伊之助の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる